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  • 昭和30年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 各所管別の不当事項および是正事項|
  • 第7 農林省|
  • (一般会計)|
  • 不当事項|
  • 補助金

国庫補助金の経理当を得ないもの


(1539)−(1631)国庫補助金の経理当を得ないもの

 (組織)農林本省 (項)農村振興総合施設補助 ほか7科目

 (組織)林野庁 (項)林業振興費

 (組織)水産庁 (項)水産業振興費

 農林省所管国庫補助金のうち公共事業関係を除く一般補助については、昭和29、30両年にわたり主として都道府県、市町村等を経由して末端の事業施行者に交付される農村振興、農産物増産助成、畜産、蚕糸または水産業振興費等の継続的補助金と風水害、冷害の災害対策費補助金を選び、その交付状況および補助事業実施の効果と補助金の使途を各府県および市町村の一部と各種組合につき検査したが、その結果については既に28、29両年度の検査報告に掲記したとおり事業の実施ならびに補助金の使用当を得ないものが多数見受けられたので、本年においても前年に引き続きこの種補助事業についてその実態を調査し是正改善をはかることが必要と認め、29年度国庫補助金のほか、新たに30年度国庫補助金のうち農村振興総合施設整備費補助金ほか26費目4,933,537,619円について検査することとした。
 右検査は、31年2月以降北海道ほか27府県および市町村の一部4百余と各種組合について実施したが、その結果は一部改善の跡の見受けられたものもあるが、なお補助金を市町村等が使用しないで保有していたり、補助の目的外に使用していたり、地元負担の全部または一部をしないで事業を実施していたため事業量が不足していたものなど不当な事例が少なくない状況である。

 しかして、検査の結果これら補助金の経理当を得ないと認められたものは820件116,030,692円(うち30年度分186件18,831,849円)に上っており、これを態様別に示すと次表のとおりであるが、このうちには補助対象事業の全部または一部を実施していないにもかかわらず、補助金の交付を受けていたものが採種圃補助、開拓事業費補助等で70余件520余万円発見された。また、既に昭和28年度決算検査報告に掲記してその是正を促したにもかかわらず、その後交付された同種の補助金についても同様の経理を繰り返し是正の跡がほとんど見受けられないものが福島県の農作物病虫害防除事業、宮崎県小林市の土壌改良事業、栃木県那須郡那須村横沢牧野管理農業協同組合の牧野改良事業等で10件2千5百余万円あった。
 いま、補助種目別に検査の結果と1件の国庫補助金20万円以上の不当事項をあげると次のとおりである。

(1) 農作物病虫害防除費補助

(1539)−(1559) 農作物病虫害防除費補助金は、水稲および麦等の病虫害の防除に要した農薬購入費の全額または2分の1以内を、また、防除器具購入費補助金は、防除器具の購入に要した経費に対しその2分の1以内をそれぞれ交付するもので、国庫補助金の総額は1,432,271,300円(うち29年度分1,095,208,00

態様 不使用のまま保有しているもの 不適当な方法により配分したもの 補助の目的外に使用したもの 事業量が不足しているもの 積算が過大なもの
件数金額 件数 金額 件数 金額 件数 金額 件数 金額 件数 金額 件数 金額
検査済団体数
補助種目

農作物病虫害防除費補助

626

70
千円
2,519

35
千円
3,513

132
千円
32,274

4
千円
737

千円
241
千円
39,045
水稲健苗育成費補助 135 4 623 33 13,921 7 2,083



44 16,629
稲苗確保対策費補助 56 4 13 1 26 4 324 4 30

13 394
採用圃補助 574 47 842 8 193 89 5,465 8 193

152 6,694
臨時救農対策施設費補助 61



4 629 15 2,457 11 1,022 30 4,109
農村振興総合施設および施設災害復旧費補助 60 1 43

15 2,600 13 827 13 565 42 4,036
土壌改良事業費補助 216 4 415 2 510 3 116 66 6,190 4 95 79 7,328
牧野改良その他畜産関係補助 126 3 196

3 179 86 6,071 5 179 97 6,626
開拓事業費補助 666 12 3,387

18 5,118 20 4,465 11 16,331 61 29,304
水産増殖事業費補助 37



1 386 14 569 1 40 16 996
森林病害虫駆除予防費補助 53 4 177

39 607

2 81 45 866
2,610 149 8,219 79 18,165 315 49,786 230 21,543 47 18,316 820 116,030

0円)に上っているが、北海道ほか27府県、319市町村、280組合の補助金84,723,697円についてその実地を検査したところ、平常発生分のほか災害対策分もあわせて交付されたため補助金が実際の使用量を上回っているところが多く、剰余を生じた補助金を翌年度以降の農薬購入費に充てたり、使用しないで別途に保有していたものがあったほか、実際の農薬使用量が計画に比べ不足していたり、または防除の実績を確認しないで補助の目的に沿わない方法により耕作面積割等で適宜配分したり、あるいは市町村等が帳簿外に経理してその一般財源としているものなど補助金の使用当を得ないと認められるものが福島県ほか171団体で241件国庫補助金39,045,152円に上っている。

道県名 年度 事業内容 事業主体 事業費 交付済国庫補助金 同上のうち除外すべき国庫補助金相当額 摘要
(1539) 北海道 29 農作物病虫害防除 石狩郡石狩町 2,796,750 262,800 262,800 目的外使用
(1540) 福島県 福島県 48,287,000 24,143,500 24,143,500
国庫補助金24,143,500円の交付を受け、県費4,651,400円を合わせ28,794,900円を防除を実施した者に交付したこととしているが、実は農薬は28年度の補助金で購入したもののうち29年度に持ち越した77,830,276円を現物交付しただけで、補助金を30年度以降使用の農薬購入代金に充てていた。
(1541) 愛知 〃 知多郡東浦町 669,200 237,293 237,293 不使用
(1542)  同 西春日井郡春日村 651,217 320,553 2 55,008 目的外使用
(1543) 和歌山県 海草郡和佐村 678,175 239,000 238,218 不適当配分
(1544) 広島県 29 じゃがいも蛾防除 加茂郡安浦町 1,018,845 1,018,845 728,475 目的外使用
国庫補助金1,018,845円の交付を受け、農薬1,018,845円を購入して圃場131町の防除および馬れいしょ72,000貫のくんじょうを実施したこととしているが、実際は290,370円を防除に使用しただけで残額728,475円は30年度の農薬購入費に充てていた。
(1545) 香川〃 30 防除機具 仲多度郡満濃町 1,139,550 275,000 275,000 不使用
(1546) 愛媛 〃 29 農作物病虫害防除 伊予郡松前町 690,250 320,965 299,775 目的外使用
(1547)  同 温泉郡荏原町 615,470 286,194 286,194
(1548) 長崎県 大村市 4,486,976 1,004,459 351,905 不使用
(1549)  同 西彼杵郡西海村 553,196 248,287 226,033 目的外使用
(1550)  同
30
じゃがいも蛾防除 西彼杵郡瀬川村 1,813,930 1,813,930 653,040 事業量不足
国庫補助金1,813,930円(うち29年度分815,910円)の交付を受け、農薬1,813,930円を購入して馬れいしょ作付面積145町その他の防除を実施したこととしているが、実際は1,160,890円で防除を実施したにすぎない。
(1551)  同 29 農作物病虫害防除 南高来郡吾妻村 5,421,490 540,495 540,495 目的外使用
国庫補助金540,495円、県補助金76,725円計617,220円の交付を受け、農薬5,421,490円を購入して防除を実施した者に配分したこととしているが、実際は補助金を29年度農薬購入費補助に充てることなく617,220円のうち314,903円を30年度農薬購入費に使用し、22,126円を防除機具購入費に充て、280,191円は村の一般財源に繰り入れていた。
(1552)  同 農作物病虫害防除 南高来郡西郷村 1,636,701 269,290 269,290 目的外使用
(1553)  同 南高来郡西有家町 1,957,478 272,049 272,049
(1554)  同 南高来郡西有馬町 2,477,430 317,475 317,475
(1555)  同 南松浦郡三井楽町 620,500 291,601 291,601
(1556) 熊本県 阿蘇郡阿蘇町 1,165,920 582,960 582,960 不適当配分
国庫補助金582,960円の交付を受け、同額の町費を合わせ農薬1,165,920円を購入して防除を実施したこととしているが、実際は補助金だけを内牧ほか7農業協同組合に作付面積割で交付し、交付を受けた代川ほか6組合では事業の実績と関係なく471,642円を各小組合ごとに全耕作面積割で配分して経費に使用させ、また、内牧農業協同組合では交付を受けた111,318円のうち97,230円を防除機具負担金として県に納付し、14,088円は使用しないで保有していた。
(1557) 鹿児島〃 加世田市 477,980 238,990 238,990 不適当配分
(1558)  同 姶良郡姶良町 745,493 281,150 270,022 目的外使用
(1559)  同 揖宿郡頴娃町 2,340,600 279,600 279,600 不適当配分
80,244,151 33,244,436 31,019,723

(2) 水稲健苗育成費補助

(1560)-(1580)温床苗代設置費補助金は、北海道における昭和29年の風水害により災害を受けた温床苗代の復旧に要する温床紙、障子框の講入費に対し、また、水稲健苗育成費補助金は30年播種にかかる水稲保温折衷苗代に要する温床紙の購入費に対し、それぞれ定額を交付するもので、国庫補助金の総額は416,056,838円(うち29年度分41,093,000円)に上っているが、北海道の135市町村に対する国庫補助金50,345,696円についてその実地を検査したところ、事業の実績を確認しないで補助金を耕地面積割等で部落ごとに配分し部落の経費に充てていたもの、補助金を事業実施者に交付しないで農業協同組合の出資金、諸経費、不良講買品の欠損補てん等に充てていたものなど補助金の使用当を得ないと認められるものが岩見沢市ほか34市町村で44件国庫補助金16,629,053円に上っている。
道名 年度 事業内容 事業主体 事業量 交付済国庫補助金 同上の除外すべき国庫補助金相当額 摘要
(1560) 北海道 29 温床苗代復旧 岩見沢市 29,061 1,063,994 1,063,994 目的外使用
国庫補助金1,063,994円の交付を受け、温床苗代29,061坪を復旧した者に配分したこととしているが、実際は補助金を復旧面積を確認しないで、当初の設置面積161,166坪に応じて4農業協同組合を通じ交付し、組合ではうち721,918円を出資予約貯金としていた。
(1561)  同 江別市 11,241 500,639 500,639 不適当配分
(1562)  同 厚田郡厚田村 7,574 273,470 273,470
(1563)  同
30
温床苗代復旧および設置 石狩郡石狩町 96,662 2,874,298 2,874,298
国庫補助金2,874,298円の交付を受け、温床苗代96,662坪を復旧または購入した者に配分したこととしているが、実際は耕作面積に応じて配分していた。
(1564)  同 29
30
石狩郡新篠津村 24,673 612,352 612,352 不適当配分
(1565)  同 29 温床苗代復旧 岩内郡共和村 17,977 678,900 678,900
(1566)  同 浦河郡荻伏村 5,708 222,869 222,869
(1567)  同 樺戸郡新十津川村 26,928 950,226 950,226
(1568)  同
30
温床苗代復旧および設置 亀田郡亀田村 27,574 693,680 617,140 目的外使用
(1569)  同 29 温床苗代復旧 静内郡静内町 9,285 346,517 346,517 不適当配分
(1570)  同 瀬棚郡今金町 11,910 431,072 431,072
(1571)  同 空知郡北村 23,287 928,019 254,077
(1572)  同 空知郡栗沢町 21,573 1,093,935 1,093,935
国庫補助金1,093,935円の交付を受け、温床苗代21,573坪を復旧した者に配分したこととしているが、実際は耕作面積に応じて部落ごとに配分し、部落ではその一部を経費に使用していた。
(1573)  同 空知郡滝川町 10,425 358,102 358,102 不適当配分
(1574)  同
30
温床苗代復旧および設置 千歳郡恵庭町 60,987 1,217,445 1,217,445
国庫補助金1,217,445円の交付を受け、温床苗代60,987坪を復旧または購入した者に配分したこととしているが、実際は補助金を耕作面積に応じて配分していた。
(1575)  同 29
30
檜山郡上ノ国村 19,511 411,412 411,412 不適当配分
(1576)  同 29
30
三石郡三石町 35,088 959,175 959,175 不使用
(1577)  同 29 温床苗代復旧 夕張郡栗山町 13,823 717,687 717,687 不適当配分
(1578)  同 夕張郡長沼町 41,607 2,085,593 467,310
(1579)  同 夕張郡由仁町 9,542 412,300 412,300
(1580)  同
30
温床苗代復旧および設置 勇払郡鵡川町 50,152 1,038,731 1,038,731
国庫補助金1,038,731円の交付を受け、温床苗代50,152坪を復旧または購入した者に配分したこととしているが、実際は補助金を復旧面積を確認しないで、耕作面積に応じて部落ごとに配分していた。
554,588 17,870,416 15,501,651

(3) 稲苗確保対策費補助

(1581)  稲苗確保対策費補助金のうち西南地方等水田生産力増強施設費補助金は、西南地方における水稲特殊早植事業の実施に要する早生種子の導入費、保温折衷苗代用油紙の購入費、めい虫防除費の一部に対し交付するもので、国庫補助金の総額は102,748,069円(うち29年度分57,454,450円)に上っているが、愛知県ほか7府県の56市町村の国庫補助金4,181,723円についてその実地を検査したところ、種子の播種量、農薬の施用量や苗代坪数が不足しているなどのため剰余を生じた国庫補助金を農業協同組合の損失補てんに充てたり、補助対象外の防除機具購入費や次年度の農薬補助に使用しているものが見受けられたほか、補助金を使用しないで保有していたり、事業の実績を確認しないで水稲作付面積に応じて配分しているものなど補助金の使用当を得ないと認められるものが高知県長岡郡大篠村ほか10市町村において13件国庫補助金394,525円ある。
県名

年度

事業内容 事業主体 事業費 交付済国庫補助金 同上のうち除外すべき国庫補助金相当額 摘要

高知県

29

水稲特殊早植

長岡郡大篠村

1,061,200

530,600

244,913

目的外使用

(4) 採種圃補助

(1582)-(1588)  採種圃補助金は、主要食糧および特殊農作物肥飼料作物等の生産確保をはかるため、種子生産圃場および井同育苗圃の設置経営に要する経費に対し定額を交付するもので、主要食糧農作物原採種圃事業費補助金、特殊農作物増産費補助金、飼料作物採種圃設置費補助金および農作物種子確保費補助金を合わせた国庫補助金の総額は908,782,180円(うち29年度分464,295,950円)に上っているが、北海道ほか27府県の574団体の国庫補助金60,701,221円についてその実地を検査したところ、圃場設置経営の実績を確認するととができないため補助金を使用しないで保有していたり、作付面積に応じて配分していたり、圃場設置面積が不足しているものがあるほか、補助金を農業協同組合連合会を経由して交付することとしたため関係団体により手数料等の名義でその一部が差し引かれ、会議費、飲食費等団体経費に流用されたもの、または補助金を採種圃設置者に交付しないで種子の出荷奨励金として交付していたり、農業協同組合の欠損補てん金や町村の一般経費に充当しているものなど補助金の使用当を得ないと認められるものが北海道空知生産農業協同組合連合会ほか94団体で152件国庫補助金6,694,049円ある。
道県名 年度 事業内容 事業主体 事業費 交付済国庫補助金 同上のうち除外すべき国庫補助金相当額 摘要

(1582)

北海道

29

農作物採種圃

十勝農業協同組合連合会

617町6反

4,385,600

438,560

目的外使用
(1583)  同
30
空知生産農業協同組合連合会 833〃8〃 7,816,600 781,660
国庫補助金7,816,600円(うち29年度分3,834,000円)の交付を受け、岩見沢市農業協同組合ほか37組合を通じ農作物の採種圃833町8反の設置者に配分したこととしているが、実際は同連合会は指導費781,660円を差し引き7,034,940円を各組合に交付していた。
(1584)  同 29
30
緑肥作物原種圃 浦河郡荻伏村酪農業協同組合 68町6反 954,142 294,205 目的外使用
(1585)  同 29
30
河東郡音更町農業協同組合 39〃 555,750 403,842
(1586) 北海道 29
30
緑肥作物原種圃および農作物採種圃 新冠郡新冠村農業協同組合 20町1反 207,925 207,925 目的外使用
(1587)  同 29
30
緑肥作物原種圃 檜山郡厚沢部村農業協同組合 43〃2〃 641,250 641,250
国庫補助金498,750円(うち29年度分489,750円)の交付を受け、緑肥作物原種圃43町2反の設置者に配分したこととしているが、実際は590,100円を大豆種子552俵の出荷者に配分し、51,150円を保有していた。
(1588) 山形県 29
30
紫雲英採種圃 西村山郡河北町河北紫雲英採種組合ほか1 80町 790,000 511,620 目的外使用
国庫補助金790,000円(うち29年度分190,000円)の交付を受け、紫雲英採種圃80町の設置者に配分したこととしているが、実際は278,380円を配分しただけで、294,000円を県および郡紫雲英採種組合連合会負担金に充て、149,222円を紫雲英種子出荷者に配分し、33,798円を組合経費に使用し、34,600円を使用しないで保有していた。
1,702町3反 15,351,267 3,279,062

(5) 臨時救農対策施設費補助

(1589)−(1593) 臨時救農対策施設費補助金は、冷害を受けた地方の被害農家に労賃収入を与え、その再生産をはかることを目的とするもので、昭和28年度以降北海道、東北地方等に交付しているが、北海道に対する29年度国庫補助金160,000,000円のうち厚岸郡浜中村ほか60市町村の53,177,000円についてその実地を検査したところ、事業主体が正当な負担をしていないため事業量が不足しているものや、事業計画が現地の実情に沿わない過大なものとなっているものがあるため計画額を下回る事業費で工事を完成しているものが多く、なかには補助金の一部を土地改良区等の団体が受益者に交付しないで寄付金として徴収したり、地元負担分として借り入れた農林漁業資金を使用しないで農業協同組合等に預金したり他に使用しているものも少なくない状況であるばかりでなく、受益者を設計額より著しく低価な賃金で就労させてその労賃収入に寄与せず本事業の趣旨に沿わない結果となっているものなどがあり、補助金の使用当を得ないと認められるものが勇払郡鵡川町ほか22市町村で30件事業費8,309,940円国庫補助金4,109,057円ある。
道名 年度 事業内容 事業主体 事業費 同上に対する国庫補助金 不当事業費 同上に対する国庫補助金相当額 摘要
(1589) 北海道 29 客土 河東郡音更町 2,140,000 1,070,000 667,182 333,591 事業量不足
(1590)  同 農道 河西郡川西村 1,860,000 930,000 1,017,585 508,792
農道4,812メートルを1,860,000円で土地改良区に委託し実施したこととして国庫補助金930,000円の交付を受けているが、実際は路面かきならしおよび敷砂利が不足しているなどのため工事費は補助金を下回る842,415円にすぎす、剰余を生じた87,585円は部落において雑費その他に使用していた。
(1591)  同 客土ほか3 上川郡清水町 4,200,000 2,100,000 1,134,267 567,138 事業量不足
客土48町1反、農道1,320メートル、明きょ1,000メートル、橋りょう1箇4,200,000円で土地改良区に委託し施行したこととして国庫補2,100,000円の交付を受けいてるが、実際は客土、農道の切盛土および明きょの切土が不足しているなどのため工事3,065,724円にすぎない。
(1592) 北海道 29 客土 沙流郡平取町 1,600,000
800,000

880,000

440,000
目的外使用
(1593)  同 農道ほか1 勇払郡鵡川町 2,600,000 1,300,000 1,218,000 609,000 積算過大
農道1,965メートルおよび橋りょう2箇所を2,600,000円で施行したこととして国庫補助金1,300,000円の交付を受けているが、実際は切土の運搬距離および歩掛りが過大であったり、盛土量が不足しているなどのため工事費は1,382,000円にすぎない。
12,400,000 6,200,000 4,917,043 2,458,521

(6) 農村振興総合施設および施設災害復旧費補助

(1594)-(1599) 農村振興総合施設費補助金は、積雪寒冷単作地帯等の後進地域における農業経営の改善をはかるため市町村等が施行する共同集荷所、農用運搬施設、家畜管理所等の各種共同施設に対しその事業費の一部を交付するもので、国庫補助金は572,129,016円(うち29年度分117,000,000円)に上っているが、北海道ほか10府県の35市町村、14組合に対する国庫補助金24,368,700円についてその実地を検査したところ、共同作業所、家畜管理所を新築したこととしていながら、実際は部落集会所を新築していたり、施設の更新を行なっていたり、在来の施設を補助の対象に乗り替えたものなど補助金を目的外に使用したものや、事業主体が地元負担金の全部または一部を負担していないため計画どおりの事業を施行していないものなどがあり、補助金の使用当を得ないと認められるものが福島県田村郡西田村逢隈農業協同組合ほか25市町村、9組合で35件事業費10,759,607円国庫補助金3,248,422円となっている。
 右のほか、風水害等により被災した農業協同組合倉庫、農畜舎、共同利用施設等の復旧事業費補助金を愛知県ほか3府県の11組合について実地に検査したところ、災害復旧とは認められない事務所を新築したものや、復旧計画当を得ないため補助金を下回る範囲内で事業を施行し、剰余を生じた補助金を補助目的外に使用しているものなどが京都府加佐郡大江町農村工業農業協同組合連合会ほか6組合で7件事業費984,206円国庫補助金788,234円ある。
道府県名 年度 事業内容 事業主体 事業費 同上に対する国庫負担金 不当事業費 同上に対する国庫補助金相当額 摘要
(1594) 北海道 29 農用運搬施設 雨竜郡北竜村農業協同組合 535,000 250,000 535,000 250,000 目的外使用
(1595) 福島県 共同集荷所ほか1 安積郡三穂田村穂積農業共同組合 1,230,000 450,000 900,000 285,000
(1596)  同 共同集荷所ほか1 田村郡西田村逢隈農業協同組合 1,785,505 450,000 1,785,505 450,000
(1597) 愛知県 網干場災害復旧 幡豆郡幡豆町東幡豆漁業協同組合 500,000 405,000 321,245 244,120
(1598) 京都府 製油工場および事務所災害復旧 加佐郡大江町農村工業農業協同組合連合会 821,000 738,000 292,795 262,615
(1599) 山口県 共同作業所 玖珂郡本郷村 756,000 270,000 756,000 270,000
5,627,505 2,563,000 4,590,545 1,761,735

(7) 土壌改良事業費補助

(1600)-(1608) 土壌改良事業費補助金は、秋落水田、酸性土壌、特殊土壌その他の不良耕土を改良するため施用する含鉄土、石灰、りん酸肥料等の資材の購入費に対し国および都道府県が合わせて2分の1以内を交付するもので、国庫補助金の総額は516,020,020円(うち29年度分286,367,000円)に上っているが、北海道ほか18府県の158市町村、58農業協同組合に対する国庫補助金42,658,675円についてその実地を検査したところ、地元負担金の全部または一部を負担しないで事業を実施しているものや、計画を下回る価格で資材を購入することができたため補助超過となっているものが多く、なかには国庫補助金以下でわずかな資材を購入しているにずぎなかったり、補助対象外の耕地を含めて事業を施行したため指定地域に対する土壌改良が不十分となっているものなど補助金の使用当を得ないと認められるものが北海道石狩郡当別町農業協同組合ほか23組合、40市町村で79件国庫補助金7,328,909円ある。
道県名 年度 事業内容 事業主体 事業費 交付済国庫補助金 同上のうち除外すべき国庫補助金相当額 摘要
(1600) 北海道 29
30
酸性土壌 虻田郡真狩村農業協同組合 4,262,240 1,062,353 370,066 事業量不足
(1601)  同 29
30
石狩郡新篠津村農業協同組合 1,227,495 308,023 240,413
(1602)  同 29
30
石狩郡当別町農業協同組合ほか1組合 4,633,695 1,204,917 1,036,123
耕地423町に炭酸カルシウム2,553トン4,633,695円を施用したこととして国庫補助金1,204,917円(うち29年度分778,250円)の交付を受けているが、実際に施用したものはわずか310トン562,650円にすぎず残余の2,243トン4,071,045円は補助対象外の耕地に施用していた。
(1603)  同 29
30
磯谷郡蘭越町農業協同組合 1,298,175 308,551 308,551 不使用
(1604)  同 29
30
岩内郡共和村前田農業協同組合ほか1組合 3,296,525 760,930 573,341 事業量不足
耕地258町に炭酸カルシウム1,415トン、消石灰12トン3,296,525円を施用したこととして国庫補助金760,930円(うち29年度分301,500円)の交付を受けているが、実際に施用したものは炭酸カルシウム275トン623,299円にすぎず、残余の1,152トン2,673,226円は補助対象外の耕地に施用していた。
(1605)  同 29
30
札幌郡豊平町東部農業協同組合 1,029,900 247,731 227,352 事業量不足
(1606)  同 夕張郡栗山町農業協同組合 1,816,450 371,417 206,472
(1607) 山口県 29 秋落水田 玖珂郡周東町(旧米川村) 1,776,521 525,333 332,155
(1608) 宮崎〃 秋落水田ほか1 南那珂郡北郷村 1,980,400 585,867 363,867
21,321,401 5,375,122 3,658,340

(8) 牧野改良事業その他畜産関係補助

(1609)-(1613)牧野改良事業費補助金は、市町村等が管理する牧野の障害物除去、土壌改良、飼肥料木植栽等の経費に対しその3割以内を、また、牧野災害復旧費補助金は28年の水害により被災した牧野の復旧費に対しその5割を交付するもので、国庫補助金の総額は201,589,861円(うち29年度分156,934,196円)に上っているが、北海道ほか17県の71市町村、55組合の国庫補助金43,431,855円についてその実地を検査したところ、事業量が不足しているものがあるほか牧野としては不向な泥炭地または湿地帯を補助の対象としているため現物補助した土壌改良用資材も使用しないで他に転売されているものもあるなど補助金の使用当を得ないと認められるものが熊本県阿蘇郡阿蘇町ほか42市町村、40組合で97件事業費23,021,186円国庫補助金6,626,684円ある。
道県名 年度 事業内容 事業主体 事業費 同上に対する国庫補助金 不当事業費 同上に対する国庫補助金相当額 摘要
(1609) 北海道 29 牧野改良 後志生産業農協同組合連合会 1,986,899 505,650 1,174,547 261,944 事業量不足
(1610)  同 勇払郡早来村東遠浅牧野農業協同組合 2,689,200 781,950 961,000 263,490
(1611) 栃木県 那須郡那須町横沢牧野管理農業協同組合ほか1組合 3,708,670 1,111,732 1,794,506 537,483
牧野146町の改良を3,708,670円で施行したこととして国庫補助金1,111,732円の交付を受けているが、実際は113町を施行したにすぎないため事業費は1,914,164円で足りていた。
(1612) 熊本〃
30
牧野災害復旧 阿蘇郡阿蘇町 6,815,400 3,407,700 1,778,337 889,169 事業量不足
牧道44,920メートルおよび索道1,000メートルを6,815,400円で復旧したこととして国庫補助金3,407,700円(うち29年度分893,900円)の交付を受けているが、実際は切土、盛土量が不足していたり、路側コンクリートの配合が粗悪となっているなどのため事業費は5,037,063円で足りていた。
(1613)  同 29
30
阿蘇郡一の宮町 3,363,627 1,681,813 1,173,992 586,997 事業量不足
牧道22,919メートルを3,363,627円で復旧したこととして国庫補助金1,681,813円(うち29年度分1,218,057円)の交付を受けているが、実際は切土、盛土量が不足しているなどのため事業費は2,189,635円で足りていた。
18,563,796 7,488,845 6,882,382 2,539,083

(9) 開拓事業費補助

(1614)-(1629) 開拓事業費補助金は、開拓地の開畑、開田および土壌改良費、分教場、入植者住宅の建築費等に要する経費に対しその2分の1以内または定額を交付するもので、国庫補助金の総額は5,089,297,426円(うち29年度分2,730,216,500円)に上っているが、北海道ほか21県の666団体の国庫補助金1,102,403,594円についてその実地を検査したところ、開拓地酸性土壌改良事業を計画どおりの事業費で実施したこととしていながら実際は資材を低価に購入することができたもの、開墾または住宅補助金の全部または一部を交付しないで保有していたものおよびその事業量が不足していたものなど国庫補助金の使用当を得ないと認められるものが高知県幡多郡大内町大内開拓農業協同組合ほか45団体で61件国庫補助金29,304,169円ある。なお、開拓農業協同組合連合会等のうちには各種補助金を開拓者に交付するにあたり、その一部を特別賦課金、寄付金、開拓者連盟負担金等の名義で差し引いているものが少なくなく、差引額が1割以上に及んでいるものが100件13,964,953円に上っているが、補助金から多額の賦課金、負担金等を徴収することは補助の効果を減殺するばかりでなく開拓者の営農を困難にするおそれがあるものと認められる。
道県名

年度

事業内容 事業主体 事業費 交付済国庫補助金 同上のうち除外すべき国庫補助金相当額 摘要

(1614)

北海道

29
30

酸性土壌改良

道開拓農業協同組合連合会

552,578,368

275,319,000

14,820,463

積算過大
事業費552,578,368円をもって開拓地酸性土壌改良資材炭酸カルシウム90,690トン、燐酸肥料11,209トン等を購入し、これを開拓者に配分したこととして国庫補助金275,319,000円(うち29年度分140,415,000円)、道補助金49,456,300円計324,775,300円を受領しているが、実際は資材を低価に購入することができたなどのため事業費は520,997,074円で足りていた。
(1615)  同 29 分教場 川上郡標茶町 832,000 500,000 500,000 目的外使用
小学校分校1むね32坪を832,000円で増築したこととして国庫補助金500,000円の交付を受けているが、実際は既設のものを改築したものである。
(1616) 秋田県
30
酸性土壌改良 県開拓農業協同組合連合会 24,486,305 12,250,000 245,801 積算過大
(1617) 埼玉〃 29 入植者住宅 熊谷市綾威ケ原開拓農業協同組合 1,485,000 720,000 720,000 目的外使用
国庫補助金720,000円、県補助金22,500円計742,500円の交付を受け、入植者住宅9戸を建築した者に配分したこととしているが、実際は240,000円を地区外からの移住者8名に交付し、13,500円を県開拓農業協同組合連合会の手数料に充て、残額489,000円を全組合員に均等配分し、これから土壌改良負担金、保証協会出資金、組合長手当として178,200円を差し引いていた。
(1618)  同
30
入間郡高萩村高富ケ原開拓農業協同組合 2,114,000 730,000 389,225 目的外使用
(1619) 神奈川県 29 入植者住宅ほか2 足柄上郡山北町高松山開拓農業協同組合 5,010,600 2,356,000 1,206,657
国庫補助金1,113,000円、県補助金13,000円計1,126,000円の交付を受け、事業費2,255,000円で入植者住宅7戸、災害住宅6戸を新築または復旧した者に配分したこととしているが、実際は入植者住宅補助金630,000円は未配分であり、災害住宅は補助金相当額469,000円で復旧していた。また、同組合で国庫補助金1,243,000円の交付を受け、開畑26町を実施した者に配分したこととしているが、実際は17町2反に対し908,571円を配分したにすぎず、剰余を生じた補助金334,429円は組合経費、電気導入負担金等に充てていた。
(1620) 愛知〃 入植者住宅 豊橋市天伯原開拓農業協同組合 1,278,225 400,000 200,000 目的外使用
(1621) 和歌山〃 酸性土壌改良 県開拓農業協同組合連合会 3,240,000 1,620,000 307,517 積算過大
(1622) 香川〃 開墾作業 香川県 1,828,139 745,500 745,500 不使用
国庫補助金745,500円の交付を受け、開畑15町5反を実施した者に配分したこととしているが、実際は補助金の全額を使用しないで保有していた。
(1623) 香川県 29 入植者住宅 観音寺市柞田村外4箇村拓農業協同組合 2,461,100 960,000 240,000 目的外使用
(1624) 愛媛〃
30
酸性土壌改良 県開拓農業協同組合連合会 15,994,000 7,971,600 333,812 積算過大
(1625) 高知〃 29 開墾作業 吾川郡名野川村名野川開拓農業協同組合 1,287,800 515,100 281,500 事業量不足
(1626)  同 開墾作業ほか2 幡多郡大内町大内開拓農業協同組合 19,743,281 8,113,600 3,562,641 目的外使用
国庫補助金3,488,600円の交付を受け、開畑46町8反を実施した者に配分したこととしているが、実際は21町6反に1,660,509円を配分したにすぎず、補助金の残額1,828,091円は組合経費等に充てていた。また、同組合で国庫補助金4,625,000円、県補助金105,000円計4,730,000円の交付を受け、入植者住宅46戸、災害住宅11戸を新築または復旧した者に配分したこととしているが、実際は入植者住宅38戸および災害住宅5戸に2,924,500円を配分したにすぎず、残額1,805,500円は486,000円を補助対象外の入植者175名に災害見舞金として配分し、1,319,500円を組合経費等に充てていた。
(1627) 長崎県 酸性土壌改良 県開拓農業協同組合連合会 27,274,740 13,637,370 326,109 積算過大
(1628)  同 開墾作業 南松浦郡岐宿町二本楠開拓農業協同組合 1,134,666 510,550 212,940 事業量不足
(1629) 宮崎県 30 開墾作業ほか1 南那珂郡北郷村開拓農業協同組合 1,727,069 768,680 551,070 目的外使用
国庫補助金241,680円の交付を受け、開畑4町6反を実施した者に配分したこととしているが、実際は補助金の全額を組合経費に充てていた。また、同組合で国庫補助金527,000円の交付を受け、災害住宅7戸を復旧した者に配分したこととしているが、実際は217,610円を配分しただけで残額309,390円は組合経費等に充てていた。
662,475,293 327,117,400 24,643,235

(10) 水産増殖事業費補助

(1630)  水産増殖事業費補助金は、魚類の増殖をはかるため内水面に対しては稚魚の放流費、外水面に対してはコンクリートブロックの沈設および投石費に対しその一部を交付するもので、国庫補助金の総額は272,722,324円(うち29年度分127,837,000円)に上っているが、北海道ほか6府県の2漁業協同組合連合会、35漁業協同組合に対する国庫補助金7,307,232円についてその実地を検査したところ、コンクリートブロックの沈設量および投石量が不足していたり、補助金を目的外に使用しているものなど補助金の使用当を得ないと認められるものが京都府淡水漁業協同組合連合会ほか15団体で16件国庫補助金996,125円ある。
府名 年度 事業内容 事業主体 事業費 交付済国庫補助金 同上のうち除外すべき国庫補助金相当額 摘要

京都府

29

内水面資源維持

京都府

1,965,294

750,000

386,270

目的外使用

(11) 森林病害虫防除費補助

(1631)  森林病害虫防除費補助金は、森林の保全をはかるため樹木等に損害を与える松くい虫、松毛虫、くり玉蜂その他政令で定める病害虫の駆除およびまん延防止に要する経費の一部を交付するもので、30年度の国庫補助金の総額は198,559,414円となっているが、北海道ほか6県の53市町村の国庫補助金6,936,947円についてその実地を検査したところ、事業を実施した森林組合において、農薬散布または樹木伐倒により所定の事業を実施したこととしているが、実際は防除計画量が過大であったため補助超過となっていたり、補助金の一部を手数料等の名義で差し引き組合の運営費に充てていたり、なかには補助金を使用しないで別途に預金しているものなど補助金の使用当を得ないと認められるものが愛媛県伊予郡中山町森林組合ほか32団体で45件事業費2,261,830円国庫補助金866,313円ある。