(項)食糧買入費
食糧庁で、昭和30年度中、日綿実業株式会社ほか25会社から台湾、中共、イタリー、スペイン等の外米652,460トンを40,689,158,124円(うち31年度分8,828,783,153円)で購入しているが、購入計画が適切でなかったため多量の在庫品を生じて長期に保管することとなり、多額の保管料を支払う結果となっている。
右外米は、30年度の準内地米買付必要量を66万1千余トンと見込んで購入したものであるが、年度内に39万7千余トンが売り渡されたにすぎず、23万2千余トンの在庫を生じている。
このように多量の在庫を生じたのは、30年10月から31年3月までの業務用の需要量を170,000トン(昭和17年から19年までの平均年間配給実績340,000トンの6箇月分)と推定し100,000トンを購入したのに対し配給実績はわずか2千余トンにすぎなかったことと、一般配給用の30米穀年度需給計画にあたり、29米穀年度からの持越量が43万2千余トンあったにもかかわらずこれを336,000トンと見込み需給推算上不足する117,000トンを購入したことによるものである。
しかし、業務用の需要量の算定にあたり、食糧事情の相違していた戦時中の配給実績をそのまま見込んだのは適当でなく、また、一般配給用の持越量を9万6千余トンも過少に計算したのは需給計画がずさんであったものと認められ、このため前記のように準内地米だけでも23万2千余トンの多量を翌年度に繰り越し在庫となっていて、前記見込違いによる購入分19万4千余トンについて31年10月末までの間に約4億5800万円に上る多額の保管料を支払っている計算となり、その処置当を得たものとは認められない。
なお、本件買付にかかるイタリー、スペインおよび中共米のうち7万2千余トンは、その水分含有量が外米を正常の状態で保管することができる限度(外米購入規格14.5%)を超過しているため、長期保管に伴う変質、自然減耗等が予測される状況である。