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  • 昭和30年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 各所管別の不当事項および是正事項|
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公共事業に対する国庫負担金等の経理当を得ないもの


(1952)−(1961) 公共事業に対する国庫負担金等の経理当を得ないもの

(組織)運輸本省 (項)港湾災害復旧事業費 ほか2科目

 地方公共団体が施行した港湾工事費に対する国庫負担金または国庫補助金(以下「国庫負担金」という。)は、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法(昭和26年法律第97号)等の根拠法規に基いて交付されるものであるが、本院においては、その経理および工事施行の状況について、全国の工事現場1,609箇所のうち青森県ほか17都府県の919箇所を実地に検査したところ、関係当局の指導監督の強化および事業主体の自覚等により従来に比べ相当改善の跡が認められたが、なお、表面上は実施設計額と同程度の額で請け負わせ施行したこととして国庫負担金の交付を受けていながら実際はこれより低額に請け負わせて施行し事業主体が正当な自己負担をしていないものもあり、その他工事の出来高が不足しているもの、工事費の精算当を得ないものなどが見受けられ、国庫負担金を除外すべきことの判明したものが愛知県ほか7府県において除外すべき額1工事10万円以上のものは12工事5,186,262円で、これを事項別に分類して示すと左のとおりである。

類別
府県名
改良工事その他国庫負担の対象としてはならないもの 工事の出来高が不足しているもの 事業主体が正当な自己負担をしていないもの
工事の出来高が不足しているもの その他
工事数 金額 工事数 金額 工事数 金額 工事数 金額 工事数 金額

愛知県

千円
1
千円
204

千円
千円
1
千円
204
大阪府 1 1,743





1 1,743
兵庫県





1 268 1 268
島根〃

1 243



1 243
岡山〃 1 735





1 735
香川〃



3 1,093

3 1,093
愛媛〃 1 107 1 209

1 466 3 783
長崎〃

1 113



1 113
3 2,586 4 771 3 1,093 2 735 12 5,186

 右不当事項12工事のうち国庫負担金を除外すべき額1工事20万円以上のものをあげると別表第8のとおり10件4,965,263円になっており、その代表的な事例は次のとおりである(各項末尾の( )内の数字は別表第8に掲記した番号を示す。)。

(1)岡山県が15,896,851円(国庫負担金10,603,199円)で施行した宇野港災害復旧は、29年9月の台風により被災沈没した鋼製浮桟橋を引揚げのうえ復旧したものであるが、同県は引揚物件のうち浮かん等は使用に耐えないとしてコンクリート製浮かんに変更して施行したもので、これにより発生した鋼製浮かん等の廃材は30年8月1,103,000円で売却処分して代金を既に収納しているのに、右に対する国庫負担金相当額の返還の処置をとっていない。(改良その他国庫負担の対象としてはならないもの)(1956)

(2)高松市(旧弦打村)が1,865,000円(国庫負担金1,318,555円)で施行した弦打港災害復旧は、防波堤延長60メートルの捨石832立米、同ならし832立米を施行したこととしているが、実際は捨石404立米、同ならし404立米を施行したにすぎないなどのため工事は国庫負担金を下回る1,186,000円で施行されていて、同村はその負担したとしている546,445円を全く負担していないばかりでなく132,555円の剰余を生ずることとなっている。(出来高不足、事業主体負担不足)(1959)