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  • 昭和30年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 各所管別の不当事項および是正事項|
  • 第12 建設省

(一般会計)


(一般会計)

 建設省の支出した河川改修、総合開発事業、道路改良等の直轄工事および災害復旧国庫負担工事等に要した経費は1101億4千3百余万円であり、54億8千9百余万円を翌年度に繰り越し、18億4千2百余万円を不用額としている。

(直轄工事について)

 直轄工事の事業費は345億3千5百余万円で、そのうちおもな経費は河川等事業費97億4千1百余万円、河川総合開発事業費等53億1百余万円、道路事業費46億3千9百余万円である。これらの工事について実地に検査した結果、セメントの購入にあたりその運搬費の積算を誤ったものがある。
 河川総合開発事業費等で施行した多目的ダム建設工事(北海道開発局施行分を含む。)のうち昭和30年度までに完成したものは田瀬堰堤ほか2箇所、工事中のものは桂沢堰堤ほか13箇所である。しかして、工事中の14箇所に対する30年度中の経費は7,958,093,088円(うち北海道開発局施行分1,063,026,813円、共同事業者の出資額1,629,340,053円)で、そのうち11箇所について実地に検査した結果、右金額のほかに工事に直接従事した国の職員の給与等1億1千余万円を全額国費で支弁しているが、この経費は共同事業者がそれぞれ受益の限度において負担すべきもので、仮に現在の負担割合によって計算すれば国の負担分は8,480余万円となる。また、既に完成した田瀬、石淵両堰堤の管理費として29、30両年度において3千1百余万円(うち29年度分1050余万円)を全額国費で支弁しているが、完成したダムは共同事業者と共有であるからこの経費も共同事業者がそれぞれ負担すべきであって、前記同様の負担割合によって計算すれば国の負担分は2480余万円(うち29年度分840余万円)となる。
 右の趣旨については、昭和29年度決算検査報告に掲記して改善を要望したところであるが、まだその運びとなっていない。

(公共事業に対する国庫補助の経理について)

 地方公共団体が施行する公共土木施設の建設改良および災害復旧ならびに公営住宅の建設等に対する国庫補助金または国庫負担金の支出済額は700億4千9百余万円で、建設省所管支出済歳出額の63%に当っている。
 右に対する検査については、従来災害復旧事業に重点を置いて実施しており、昭和30年における検査の結果は既往年度に比べ改善の傾向が認められたところであるが、なお相当数の不当事項を指摘したので、31年においても引続き右事業に重点を置いて検査を実施した。
 その結果、不当事項として指摘したものは、国庫補助を除外すべき額1工事10万円以上のもので93工事2千7百余万円であって、前年度に比べさらに減少しており、改善の跡が見受けられた。
 また、工事完成前に査定の内容を検査し是正を促すため主として30年発生災害について早期に検査を行なったところ、同様改善の跡が見受けられたが、なお建設省において本院の注意により工事費において4千7百余万円(うち28、29年発生災害分2千4百余万円を含む。)を減額是正することとなった。

(昭和28、29両年度の検査報告掲記事項の事後処理状況について)

 昭和29年度決算検査報告で指摘した不当工事のうち、国庫補助を除外すべき額1工事20万円以上のものは114件であるが、このうち当局において国庫補助を返還または減額することとしたものは41件、この処理に代えて手直しまたは補強することとしたものは59件、一部を返還または減額し、一部を手直しまたは補強することとしたものは14件である。
 右のうち国庫補助を返還または減額することとしたもの55件については31年9月末現在43件が処理済となっている。また、昭和28年度決算検査報告に掲記したもののうち国庫補助を返還または減額することとしたもので30年9月末現在処理未済となっていた17件については、31年9月末現在なお処理未済となっているものが7件ある。

 また、手直しまたは補強することとしたもののうち、秋田県ほか16府県内の昭和29年度決算検査報告掲記の分45箇所、昭和28年度決算検査報告掲記の分47箇所につきその施行状況を31年2月から8月までの間に現地について検査したところ、29年度分については、工事が完成していたものは28箇所にすぎず、9箇所は工事中であり、8箇所は未着工であったが、工事中の9箇所のうちには、検査があることを知り急きょ着工し、工事現場に資材を準備した程度にすぎないものまたは出来高が20%にも満たないものが見受けられた。また、28年度分については、実地検査当時なお未着工のものおよび工事中のものが秋田県内においてそれぞれ1箇所あった状況である。つぎに手直し工事等が完成したもの73箇所、工事中のもの10箇所計83箇所について検査した結果は、大部分のものは設計どおり工事を施行し、その効果があがっているものと認められたが、なお、手直しまたは補強の効果が十分あがっていないものが8箇所(うち28年度分7箇所)見受けられた。
 しかして、検査当時工事中または未着工となっていた19箇所のうち、31年9月末現在工事を完成した旨の報告のあったものは12箇所となっており、28年度分の2箇所についてはまだ報告に接していない。