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  • 昭和30年度|
  • 第3章 政府関係機関その他団体の会計|
  • 第2節 各団体別の不当事項|
  • 第2 日本国有鉄道|
  • 不当事項|
  • 工事

工事の経理が適正を欠いているもの


(2142)−(2143) 工事の経理が適正を欠いているもの

 (損益勘定)(項)修繕費

 (工事勘定)(項)建設費 ほか3科目

 工事の施行に関する経理および工事費の会計経理は、いずれも施行の事実に即して適正に行う必要があるが、会計検査の結果によると、担当職員が事実に合致しない経理をし、工事費の精算内容を確認することができないもの、施行が設計と相違しているものなど工事経理が適正を欠くと認められるものが次のとおりある。

(2142)  日本国有鉄道岐阜工事事務所で、昭和30年度中、直営により施行した樽見線0.9キロメートル−22.0キロメートル間軌道整備その他工事ほか22工事の工事費として決算した9,274,357円のうち5,954,278円は、30年4月から31年3月までの間に使用した直用人夫延12,087人に対する人夫賃として所定の賃金単価により計算して支払ったこととしているが、この人夫賃支払額は事実に相違しているものである。当局の説明によれば、実際は大垣工事区事務助役が任意に出づら簿等を作成して所定の賃金単価により計算した額を同工事事務所分任会計長に要求し現金を受領して保有し、これを人夫賃として支払ったほかその一部を切投工事の請負代金、工事用雑品の購入代金、開業のための監査関係費用、一部人夫の退職金等に使用したとのことであるが、その支払を確認する資料がないため、31年4月本院会計実地検査当時所持していた現金102,105円を除き、支払内容を確認することができない状況である。

(2143)  日本国有鉄道静岡鉄道管理局で、昭和30年11月、指名競争契約により日本電設工業株式会社に工事費1,957,600円で請け負わせた飯田線小和田、沢渡間電車線路支線改修工事はすべて設計どおりしゅん功したこととして経理しているが、31年8月本院会計実地検査の際の調査によると、総数418個所を取り替えたとしている支線台付工事において、設計箇所が過年度工事で施行済となっている箇所と重複するものが53箇所、設計箇所と相違する箇所に施行したと称するものが87箇所あり、実際に施行したとしている箇所についても42箇所は過年度において施行したこととなっている箇所と重複している状況であり、また、総数610箇所を取り替えたとしている支線工事についても同様他の箇所に施行したと称するものが130箇所の多きに上っているなど全般的に工事施行の実態を確認することができない状況である。このように設計にあたり施行箇所の検討も行わず、また、工事の検収にあたり現場について確認を行なった形跡が認められないのは処置当を得ない。