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  • 昭和30年度|
  • 第3章 政府関係機関その他団体の会計|
  • 第2節 各団体別の不当事項|
  • 第2 日本国有鉄道|
  • 不当事項|
  • 工事

予定価格の積算が過大なためひいて工事費が高価となっているもの


(2144)−(2151) 予定価格の積算が過大なためひいて工事費が高価となっているもの

 (工事勘定)(項)諸設備費

 予定価格の積算にあたっては、現地の実情や施行の実態を十分調査して適正な歩掛りを採用し、また、使用材料等の価格については、市況の実情に即した妥当な価格によることが必要であるが、これらの配意が十分でなかったり、実情に沿わない高率な経費率を採用したなどのため予定価格が過大となり、ひいて工事費が高価となっていると認められるものが少なくないが、そのおもな事例をあげると次のとおりである。

(ずい道掘さく用電力料および火薬等の積算が過大に失しているもの)

(2144)  日本国有鉄道大阪工事事務所で、昭和28年12月から31年4月までの間に、指名競争契約または随意契約により赤穂線第5、6、7工区の建設工事を西松建設株式会社ほか2会社に総額725,685,960円(うち28、29両年度分304,320,080円、31年度分18,453,272円)で請け負わせ、31年6月までにそれぞれ施行しているが、予定価格の積算にあたりずい道掘さく用火薬類および電力等の所要量の算定が適切を欠いたため工事費が約4900万円高価となっていると認められる。
 右工事は、赤穂線日生、伊部間を第5、6、7の3工区に分けて施行する建設工事で、その予定価格を第5工区246,646,321円、第6工区249,511,327円、第7工区199,875,715円とし、第5工区245,870,000円で西松建設株式会社に、第6工区246,874,684円で株式会社大林組に、第7工区199,134,449円で株式会社鴻池組にそれぞれ請け負わせたものであるが、この予定価格の積算にあたり、第7工区片上ずい道ほか5ずい道の掘さく工事費184,273,477円(設計変更増の分を含みずい道覆工等に要する材料費および労務費等を除く。)の算定が当を得ないため次のとおり過大となっている。

(ア) ずい道箇所の地質は地上踏査等によりすべて硬岩と判定し、導坑掘さくは立米当り火薬1.76キログラムから1.92キログラムとして747円から815円(いずれも導火線等を含む。)、坑夫等1.64人から1.78人として788円から859円計1,535円から1,674円とし、切拡げについては導坑掘さく単価の約70%として、1,055円から1,155円とし、立米当り掘さく費を1,179円から1,218円と積算しているが、ずい道箇所の地質については、当局において施工の方法等を調査するため、第7工区片上ずい道について地質調査をし、その結果、調査箇所の岩質は大部分が岩の第二種(軟岩)であることが判明していたものであるから、工事費の積算にあたっても、この調査結果を考慮することが必要であったと認められ、また、他のずい道箇所の地質についても岡山県で作成した地質図によれば片上ずい道箇所と同種の岩質となっているから、片上ずい道の調査結果を十分考慮すべきであったと認められるのに、掘さくを全部硬岩として積算したのは妥当な処置ではなく、現に、施行の結果も相当量が軟岩であった状況である。当局が実施した地質調査による地質からみると導坑掘さくは立米当り火薬1.32キログラムとして532円、(導火線等を含む。)、坑夫等1.42人として756円計1,288円程度、切拡げについては右導坑掘さく単価の65%837円として掘さく費立米当り平均915円程度を積算するのが相当であったと認められる。

(イ) 電力料については、ずい道施行所要工事期間を当初第5工区23箇月、第6工区25箇月および第7工区18箇月と予定し、この間各工区とも1日23時間、1箇月25日、100馬力のコンプレッサー2台を全容量で運転するものとして、各工区の所要電力量を立米当り74キロワット時から86キロワット時とし、それぞれ2,246,327キロワット時、2,569,044キロワット時および1,614,379キロワット時とし計6,429,750キロワット時、電力料総額44,564,098円を積算しているが、ずい道工事は導坑掘さく、切拡げ、畳築等の諸工事が全期間を通じていっせいに行われるものではなく、使用電力量も通常は工期の始期と後期にはきわめて少量であり、また、最盛期においても負荷率はかなり低下するのが通常であるから、このような電力使用の実情を十分考慮して積算すべきであったと認められるもので立米当り34キロワット時程度、各工区別の所要電力量はそれぞれ880,912キロワット時、1,175,764キロワット時および679,150キロワット時で計2,735,826キロワット時程度が相当と認められる。
 いま、仮に当局が実施した前記片上ずい道の地質調査の結果を基礎としある程度の硬岩の混こうを考慮して工事費を計算すれば左のとおり

掘さく労務費
(火薬類を含む。)
電力料 支保工材料費 支保工労務費

第5工区

{

当局の積算

31,681,251

15,669,268

8,771,440

5,191,957

61,313,916
本院の計算 23,719,095 6,386,617 10,478,218 6,167,945 46,751,875
第6工区 { 当局の積算 41,645,913 17,834,473 11,337,054 6,770,268 77,587,708
本院の計算 31,685,116 8,500,775 14,212,728 8,394,014 62,792,633
第7工区 { 当局の積算 23,665,381 11,060,357 6,696,853 3,949,262 45,371,853
本院の計算 18,251,756 4,883,088 8,057,596 4,722,822 35,915,262
{ 当局の積算 96,992,545 44,564,098 26,805,347 15,911,487 184,273,477
本院の計算 73,655,967 19,770,480 32,748,542 19,284,781 145,459,770
取扱経費27%を加算した当局の積算額の合計 234,027,315
本院の計算額の合計 184,733,907
差額 49,293,408

であって、当局の積算額合計184,273,477月に比べ支保工については増加するが、掘さく労務費、電力料等において著しく減少するため、掘さく工事費は総額145,459,700円となり、前記ずい道掘さく費積算額は49,293,408円(一般経費27%を含む。)過大であって、結局、前記請負額は総額において約4900万円高価となる計算である。

(高価な鋼材価格を採用したため工事費が高価となっているもの)

(2145)  日本国有鉄道札幌工事事務所で、昭和30年1月、随意契約により札幌用品庫改築その8工事を鉄道建設興業株式会社に総額46,394,595円(当初契約額46,499,376円)で請け負わせ9月完成しているが、主要材料である鋼材の価格調査が十分でなかったため予定価格が過大となり、工事費が約420万円高価となっていると認められる。
 右工事は、札幌用品庫改築工事の一部で、その予定価格46,550,896円の積算にあたり、く体コンクリート工事に必要な鋼材406.05トンについては八幡製鉄株式会社の建値によったものとしてその価格をトン当り9ミリメートルもの42,500円、13ミリメートルもの42,000円、16ミリメートル以上のもの41,500円(それぞれ規格料1,000円、切そろえ料500円を含む。)とし、諸経費(20%)を合わせ総額20,346,661円としているが、29年から30年にかけての鋼材市況は変動が激しく、29年12月以降八幡製鉄株式会社の建値も事実上廃止されていたもので、本件契約とほぼ同時期において日本国有鉄道資材局で購入したものの価格はトン当り13ミリメートルもの30,200円(以下価格については規格料1,200円、切そろえ料500円を含む。)、19ミリメートルもの29,300円となっており、また、富士製鉄株式会社または株式会社日本製鋼所等の取引価格のうち高値をとってみても9ミリメートルもの33,700円、13ミリメートルもの33,200円、16ミリメートル以上のもの32,700円程度であった状況であるから、多量の鋼材を使用する本件工事の予定価格を積算するにあたっては実情に即した価格を採用すべきであったと認められる。
 いま、仮に当時の取引価格のうち高値と認められる前記富士製鉄株式会社または株式会社日本製鋼所の取引価格を基礎として本件工事費を積算したとすれば鋼材費は約1,600万円、工事費は約4,200万円となり、前記請負金額はこれに比べ約420万円高価となる計算である。

(高架橋基礎くい打工事の工事費が高価と認められるもの)

(2146)  日本国有鉄道東京工事事務所で、昭和29年7月、指名競争契約または随意契約により清水建設株式会社ほか2会社に神田駅高架橋新設その他その17第3鍛治町橋新設その他工事ほか2工事を総額81,770,929円で請け負わせ、30年9月までに完成しているが、予定価格の積算にあたりコンクリートくいの市場価格のは握が十分でなかったなどのため、工事費が約790万円高価となっているものと認められる。
 右工事は、いずれも神田駅高架橋の基礎くい打を施行するもので、左のとおり

工事 予定価額 請負金額 請負人 施行時期
年月
神田駅高架橋新設その他その17第3鍛治町橋新設その他 34,999,279 34,977,527 清水建設株式会社 29.7から
30.9まで
神田駅高架橋新設その他その16第1鍛治町橋新設その他その2 18,781,140 18,773,181 大成建設株式会社 29.7から
30.5まで
神田上野間高架橋新設その他その6高架橋基礎新設その他 28,063,088 28,020,221 佐藤工業株式会社 29.7から
30.7まで
81,843,507 81,770,929

いずれも予定価格とほぼ同額で請け負わせたものであるが、予定価格の積算にあたり、直接工事費の68%から75%を占めるコンクリートくいの価格を、大同コンクリート工業株式会社ほか1会社の販売価格表の価格に工場から都内の工事現場までの運送費として692円(4メートルもの)から1,313円(10メートルもの)を加算し、上ぐい5,892円(4メートルもの)から15,213円(10メートルもの)、下ぐい4,992円(4メートルもの)から14,313円(10メートルもの)とし、総数5,347本で総額50,112,724円を積算しているが、本院において取引の実情を調査したところ、工事現場が東京都内の場合はとくに運賃を見込むことなく工事現場持込で取引され、その価格も大量の場合は前記販売価格表の価格より相当低価であるのが通常であり、現に、本件くいを請負人が大同コンクリート工業株式会社ほか1会社から購入している価格は高値をとっても現場持込1本当り上ぐい5,200円(4メートルがもの)から13,950円(10メートルもの)、下ぐい4,450円(4メートルもの)から12,600円(10メートルもの)となっている。

 また、工事請負人の一般経費としてくい価額の15%、くい運送費の22%または23%相当額7,921,021円を積算しているが、前記のとおりくいは工事現場持込で取引され、工事施行者の使用に応じで適時搬入されるものであり、その製品の性質からして保管その他取扱に特別の経費を要するものではないなどの事情を考慮すれば、前記経賃率は相当低減の余地があるものと認められる。

 いま、仮にくい価額を工事現場持込の前記取引価格により算出し、一般経費としてその10%相当額を見込んで積算したとすれば総額49,984,583円となり、これにその他の経費を加算して予定価格を決定すれば総額73,794,495円となるものであって、前記請負金額はこれに比べ約790万円高価となる計算である。

(コンクリートブロックの製作費等を過大に見積ったため工事費が高価とな、ているもの)

(2147)  名古屋鉄道管理局で、昭和29年12月、指名競争契約により名鉄工業株式会社に名古屋、枇杷島間367.2キロメートル法改良(甲)工事を32,484,612円(当初契約額31,997,544円)で請け負わせ30年7月完成しているが、予定価格の積算にあたりコンクリートブロックの製作費が過大であるなどのため工事費が約390万円高価となっていると認められる。

 右工事は、豪雨により前記区間の築堤に崩壊、き裂が生じたためその防止対策として排水こう延長1,635.3メートルおよび土留擁壁965.5平米をコンクリートブロック積で新設するなどの工事で、コンクリ−トブロック(U型ほか5種)33,100個を1個当り178円から1,062円(支給扱のセメント代価を含め立米当り9,736円から20,204円)総額9,064,739円(一般経費22%を含む。)とし、予定価格を32,000,000円と積算しているものである。しかして、右コンクリートブロックの製作費についてみると、砂利(径25ミリメートルのもの)および砂はその価格を立米当りそれぞれ950円および800円としているが、当時の市場価格からみてそれぞれ860円および550円程度が相当と認められ、型わくは10回使用とし所要石数を502石と計算しているが、この種型わくは50回程度は使用することができるもので所要石数は補修材を考慮しても110石程度で足りる計算であり、型わく組立に使用するボールトもトン当り80,000円で50回使用することとして1回当り1円92から72円と計算しているが、これは誤計算であって0円19から7円20となるものと認められ、また、鉄筋はその価格をトン当り40,000円から45,000円としているが、31,000円から37,000円程度が相当と認められるなど過大に算定しているものが多く、結局、コンクリートブロックの製作費は1個当り97円から677円程度が相当と認められ、これにより計算すれば総額約600万円となり約310万円が過大となる計算である。

 さらに、コンクリートブロックの製作以外に使用する砂利(径40ミリメートルのもの)944立米、砂519立米、ぐり石1,689立米の価格についても立米当り砂利950円、砂800円およびぐり石950円としているが、右は当時の市場価格からみてそれぞれ820円、550円および800円程度が相当と認められ、また、コンクリートブロック製品の輸送はトラック重量制運賃によっており、そのうちには積卸料が含まれているのに積卸人夫賃を別途計上したなどのため約90万円が過大に積算されている。
 右のほか、同鉄道管理局が30年8月、指名競争契約により名鉄工業株式会社に5,499,738円で請け負わせた稲沢構内線路側こう新設工事も、予定価格5,501,400円の積算にあたりコンクリートブロック(U型)8,384組について1組当り363円から432円総額3,229,962円としているが、前記同様その積算が適切でなく1組当り282円から328円程度が相当と認められ、これにより計算すれば約70万円が高価となっていると認められる。

(特別高圧用ケーブル新設その他工事の工事費が高価と認められるもの)

(2148)  日本国有鉄道東京電気工事事務所で、昭和30年度中、指名競争契約により武蔵境変電所、荻窪変電所間特高ケーブル新設その他工事ほか2件の同種工事を日本電設工業株式会社に総額56,050,000円で請け負わせ施行しているが、予定価格の積算にあたり現地の実情や作業の実態についてのは握が不十分なため、少なくとも約430万円が過大な積算となっているほか、設計に対し約60万円相当額の工事が施行不足となっているものがある。
 右工事は、東京付近特別高圧用ケ−ブルが取替工事の一環として東京都内所在一部変電所間に特別高圧用ケ−ブルの新増設を行なったもので、左のとおり

工事 予定価格 請負金額 請負人 施行時期
武蔵境変電所、荻窪変電所間特高ケーブル新設その他
25,717,081

25,700,000
日本電設工業株式会社 年月日
31.1.5から〃
3.31まで
東中野変電所、荻窪変電所間特高ケーブル新設その他 22,987,886 22,900,000 30.12.27から
31.3.31まで
大井町変電所、新橋変電所間特高ケーブル新設その他 7,458,383 7,450,000 30.7.14から〃
11.26まで
56,163,350 56,050,000

いずれも予定価格とほぼ同額で請け負わせたものであるが、予定価格のうちトラフ敷設費およびトラフ取替改修費総額22,009,617円の内容についてみると、高さ265ミリメートルから275ミリメートルのトラフの敷設のための根掘や、厚さ100ミリメートルの基礎コンクリートの打込みに土留型わくを使用することとして約9,400平米約320万円を積算しているが、このように浅い根掘や厚さの薄い基礎コンクリートには土留型わくを使用しないのが通常であり、現に、請負業者も使用していない実情であるからこれを積算する要はなかったものと認められ、また、トラフ内に深さ100ミリメートルから160ミリメートルに入れる設計となっている砂の数量を誤って約190立米約50万円を過大に積算しており、そのほか根掘および砂利のかき上げ、かき下しの数量も過大で、これらを合わせ約430万円が過大な積算となっていると認められるほか、各工種を通じ労務費、材料費等の算定に実情に沿わないものが少なくない状況である。
 また、大井町変電所、新橋変電所間の工事において、設計図面によれば既設トラフの基礎コンクリートを取りこわし、新たに規格に適合した基礎コンクリートを施行することとなっているのに、実際は既設トラフの基礎を利用しているなど施行が設計図面と相違しているため約60万円相当額の工事が施行不足となっている。

(線路増設工事の工事費が高価と認められるもの)

(2149)  日本国有鉄道東京工事事務所で、昭和30年7月、随意契約により飛島土木株式会社に上野、田端間その28田端駅構内土工その他その2工事を66,729,261円(当初契約額67,936,000円)で請け負わせ施行しているが、予定価格の積算にあたり掘さく土の捨土費を過大に積算したため工事費が約310万円高価となっているものと認められる。
 右工事は、上野、田端間線路増設工事の一環として田端駅構内の路盤拡幅を行うもので、当初30年2月、上野、田端間線路増設その19田端駅構内土工その他工事として、指名競争契約により前記会社に22,980円で請け負わせ施行したところ、切取部分に土砂くずれを生じたため工法を変更する必要を生じ、7月出来高7,235,139円で工事を打ち切り、未施行部分の契約を解除して新たに工事設計を変更し、同月随意契約により右会社に予定価格とほぼ同額の67,936,000円で請け負わせたものであるが、予定価格の積算にあたり、掘さく土砂7,886立米の捨土費については、当初契約において立米当り375円(諸経費を含む。)としていたものを757円(諸経費を含む。)に増額し総額5,966,705円を積算しているが、本件工事は実質的に前工事の継続であって、発生土砂の処分は前工事と同様工事施行業者の自由としているなど捨土の条件に変更はなかったものであり、また、このような捨土は専門業者に施行させる例が多く、経済調査会の調査資料によれば、その捨土費は当時立米当り260円程度であり、ことさら高価な単価に改訂する要はなかったものと認められる。
 いま、仮に捨土費について単価を改訂増額しなかったとすれば、掘さく数量8,233立米で約310万円低額となる計算である。

(工事材料の生コンクリート価格について過大な経費を積算したもの)

(2150)  日本国有鉄道東京工事事務所および東京鉄道管理局で、昭和29、30両年度中、佐藤工業株式会社ほか12会社に神田、上野間その26高架橋く体新設その他工事ほか23件の工事を請け負わせ31年10月までの間に総額482,908,217(うち29年度分79,352,570円、31年度54,333,408円)を支払っているが、生コンクリートの価額87,236,789円について過大な経費を見込み予定価格を算定したため工事費が約740万円高価となっていると認められる。
 右は、工事に使用する生コンクリート17,239立米を請負人持ちとし予定価格の積算において前記価額に諸経費15%から20%を見込み総額101,449,233円と算定しているが、生コンクリートは工事の工程に従い必要のつど所要量を製造業者から工事現場に搬入させ、直接コンクリート打設用バケットにあけることにより受渡しするなど、工事請負人において取扱にほとんど手数を要しないものであるから生コンクリート価格に対し前記のような高率の経費を見込むことは著しく過大に失するものと認められる。
 いま、仮に生コンクリート価格に7%の経費を計算したとすれば93,977,513円となり、本件工事費は約740万円低額となる計算である。

(油入遮断器修繕工事の工事費が高価と認められるもの)

(2151)  日本国有鉄道東京鉄道管理局で、昭和30年7月および9月、指名競争契約により日本電設工業株式会社に大宮変電区油入遮断器修繕工事ほか2工事を総額10,773,000円で請け負わせているが、套管価格の調査が十分でなかったなどのため予定価格が過大となり工事費が約160万円高価となっているものと認められる。
 右工事は、大宮ほか2変電区の油入遮断器の套管48本(大宮24本、大船、湯河原各12本)を新品と取り替えるもので、予定価格合計10,910,000円の積算にあたり、套管価格については大阪陶業株式会社の見積額1本当り185,000円から5%減額し176,000円として総額8,448,000円、また、これに対する一般経費としてその16%相当額1,352,600円を積算しているが、套管については右大阪陶業株式会社だけでなく他の生産業者からも見積りを徴するなどして価格を検討すれば、日本国有鉄道の規格により、特別に製作するとしても1本当り150,000円を出ないで十分調達することができたものと認められ、また、本件工事においては材料である套管の価額が直接工事費の約90%を占めており、しかも、套管は現場持込で取引され現場倉庫等の必要もないなど取扱上さほど経費を要するものではなく、かつ、作業も套管を取り替える程度の簡易なものであるなどの事情を考慮すれば、前記一般経費率16%は相当低減の余地があるものと認められる。
 いま、仮に套管価格を1本当り150,000円とし、一般経費としてその10%(労務費等に対しては別に25%)を積算することとすれば、修繕費は1本当り189,692円総額9,105,222円となり、前記請負額はこれに比べ約160万円高価となる計算である。