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  • 昭和30年度|
  • 第3章 政府関係機関その他団体の会計|
  • 第2節 各団体別の不当事項|
  • 第2 日本国有鉄道|
  • 不当事項|
  • 工事

工事の施行にあたり契約処置が適切でないため不経済となっているもの


(2152)-(2153)工事の施行にあたり契約処置が適切でないため不経済となっているもの

  (損益勘定)(項)修繕費

 工事の施行にあたり契約相手方の選定が適切を欠いたり、材料を支給扱とした方が著しく有利であるのにこれを請負人持ちとしたなどのため不経済となったと認められるものが次のとおりある。

(タイプレートの改造にあたり契約相手方の選定が適切でないため不経済となっているもの)

(2152)  日本国有鉄道東京鉄道管理局で、昭和30年度中、指名競争契約または随意契約により軌条用タイプレートの改造を大和産業株式会社ほか4会社に総額6,791,003円で請け負わせているが、契約相手方の選定が適切でなかったため約130万円高価となっていると認められる。
 右は、常磐線ほか管内各線のタイプレートを取り替えるためA型46,848枚をB型に改造する工事であって、前記5会社に請け負わせるにあたって1件工事を平均1,300枚程度に細分し、1枚当り130円から169円で契約したものであるが、契約の相手方である各会社はいずれも自ら改造工事を行う施設を所有せず、全面的に下請加工させており、加工業者の下請価格は1枚当り110円程度となっている。
 いま、仮に相当数を一括し当局において直接加工業者と契約して改造させることとすれば、持込運賃を考慮しても1枚当り116円程度で実施することができたものと認められ、これによれば総額約540万円となり、本件改造価額は約130万円高価となる計算である。

(車両更新修繕の主要取替部分品を支給扱としなかったため工事費が高価となっているもの)

(2153)  日本国有鉄道工作局で、昭和30年4月および12月、指名競争契約により汽車製造株式会社東京製作所ほか2会社に、電動車58両の更新修繕工事を予定価格と同額の229,128,000円で請け負わせているが、主要取替部分品を支給扱として施行すれば約1100万円を節減することができたものと認められる。
 右は、電動車の更新修繕にあたり、修繕材料および部分品をすべて請負人持ちとして施行したもので、その予定価格1両当り4月契約分3,972,000円、12月契約分3,920,000円の積算にあたり、材料費のうちにCB8A遮断器ほか10点の主要部分品の価額として、659,000円をそれぞれ積算し、これに対し一般経費としてその12%相当額を計算しているが、これら主要部分品については、日本国有鉄道部内工場が行う同種の修繕工事に使用しまたは本件修膳車両と同種の新製電車の製作請負の場合に交付するため資材局において一括調達しているものであるから、本件工事においても新製電車の場合と同様主要部分品を支給扱とすることは十分可能であり、支給材料取扱経費を考慮しても著しく有利なものと認められる。
 いま、仮にCB8A遮断器ほか10点の主要部分品を支給扱として施行したとすれば、主要部分品の価額は資材局の調達価格により計算して4月分517,220円、12月分525,158円にすぎず、取扱経費5%を考慮しても修繕工事費は総額217,775,266円(1両当り4月分3,772,969円、12月分3,270,930円)となり、約1100万円を節減することができたものである。