(工事勘定)(項)電化設備費
日本国有鉄道大阪電気工事事務所で、昭和30年5月から31年2月までの間に、指名競争契約または随意契約により日本電設工業株式会社ほか2会社に米原駅構内電車線路支持物新設その2工事ほか18件の同種工事を総額86,407,000円で請け負わせ、31年3月までに完成しているが、鉄柱およびコンクリート柱の基礎工事を設計に相違して施行したためその出来高において約490万円相当額が不足している。
右工事は、東海道線電化工事の一環として主として米原、大阪間に電車線路支持物を設置する工事で、30年5月以降逐次着工し31年3月までに各工事ともすべて設計どおり完成したこととして検収を了しているが、電車線路支持鉄柱およびコンクリート柱の基礎コンクリートは、設計によると地中の深さを2.1メートルから2.4メートルとし、安定をよくするためそのく体コンクリートは型わくを使用して角錐台形とし、かつ、その下部に底盤を付し、厚さ30センチメートルの基礎ぐり石を施行することとなっているのに、実際に施行したものは全部傾斜のない不整形な直方体状で、底盤もなく基礎ぐり石を施行していないもの、根入れの深さやコンクリートの容積が不足しているものが多く、また、その施行方法も地中に垂直に根掘をし、地盤不良の場合は松矢板等で土留をしてコンクリートを打ち込みながら矢板を引き抜く簡易な工法によったため形状の整わないものとなっていて、その出来高において約490万円相当額が不足しているものである。
なお、予定価格の積算においても、現地の実情の工事施行の実体は握が十分でなく、かつ、いずれも同種工事であるのに統一した積算基準によらず担当者によって区々であって、鉄骨製作単価を過大に積算したり、労務費において合理性のない過大な割増を採用したり、型わくの転用を考えないで1回限りで全損としているものもあるなど過大な積算と認められるものが少なくない。