日本国有鉄道各工事事務所等において、工事材料として請負人に古軌条を交付した場合使用残材は契約上すべて請負人から回収することになっているが、その処理の実情をみると、交付の際に残材発生見込数量をあらかじめ算定しなかったり、しゅん功の際に使用数量について十分な調査をしないで工事請負人の返納数量をそのまま受け入れているなどのため、残材が回収不足となっていると認められるものが次のとおりある。
(2155) 日本国有鉄道岐阜工事事務所で、昭和29年12月から30年5月までの間に、指名競争契約により飛島土木株式会社ほか1会社に総額103,887,870円で請け負わせ施行した米原駅改良に伴う旅客乗降場新設その他工事ほか3工事の材料として請負人に古軌条18,239メートル換算重量計約588トンを交付し、工事完成後残材として約51トンを回収しているが、本院において調査した実際の使用数量は15,561メートル約505トンにすぎないため約83トンの残材が発生する計算となり、約32トン(仮に完成当時における日本国有鉄道の1級鋼くず売渡実績による単価トン当り17,700円により計算すると約57万円となる。)がなお回収不足となっていると認められる。
(2156) 日本国有鉄道東京工事事務所で、昭和29年12月から30年4月までの間に、株式会社間組に11,089,504円で請け負わせ施行した日暮里駅乗降場上家新築その他工事の材料として請負人に古軌条3,156.82メートル換算重量計約103トンを交付し、工事完成後残材として約11トンを回収しているが、本院において調査した実際の使用数量は1,920.9メートル約63トンにすぎないため約40トンの残材が発生する計算となり、約29トン(仮に前記同様の単価で計算すれば約50万円となる。)がなお回収不足となっていると認められたので、同工事事務所に注意したところ、31年10月ロス相当分を除き約28トンを請負人から返納させた。