(損益勘定)(項)現場諸費
日本国有鉄道東京鉄道管理局で、昭和30年度中、随意契約により鉄道整備株式会社に池袋ほか3電車区の電車清掃作業を請け負わせ64,795両分の作業代金として計43,019,680円を支払っているが、予定価格の積算にあたり過年度の実績は握が十分でなかったため作業費が約360万円高価となっているものと認められる。
右は、1両当り作業料金を、労務費については労務者1人1日当り賃金を341円、17メートル車所要人工を0.9人工として1両当り306円90と計算し、各電車区別清掃対象電車の平均車両長に応じて電車区別に320円(0.93人工)から433円(1.26人工)と算定し、材料費については洗ばけほか27品目をあげ、29年度における直営および一部請負箇所の実績を勘案して所要数量を査定し、また、その単価は区決算価格(地方資材部の購入価格に用品割掛5%を加算した価格)等を採用して1両当り219円から220円とし、これに被服費、機器費、管理費(労務費、材料費、被服費および機器費の合計額の15%)を加算して1両当り633円から767円と算定し、これを610円から735円に査定し、清掃実績数量に応じて支払うこととし、前記作業代金を支払ったものである。
本件契約業務は27年10月から随意契約により前記業者に引続き独占的に施行させている特殊なものであるから、その作業料金の決定にあたっては過年度の施行実績を勘案し適正な料金を決定すべきものと認められ、29年度の施行実績が労務費については同鉄道管理局の1両当り積算人工0.93人工から1.19人工に対し、0.65人工から0.92人工、材料費についてはその大半を占める洗ばけ、清掃剤等について積算価格洗ばけ1個当り270円、清掃剤キログラム当り87円に対し、それぞれ210円、60円にすぎなかったなどの事情を十分考慮し決定すべきであったと認められるのにこの配意を欠き、労務費について1両当り0.93人工から1.26人工、材料費について洗ばけ1個当り270円、清掃剤キログラム当り80円と算定した結果著しく過大となったものである。
いま、仮にこれらの点について29年度における実績を考慮するなど実情に即した作業料金で積算したとすれば、1両当り543円から673円で総額約3939万円となり、前記支払額に比べ約360万円低額となる計算である。