(款)建設改良費(項)電信電話施設費
日本電信電話公社で、昭和30年5月から31年4月までの間に、随意契約により日本通信建設株式会社に東京、仙台、札幌間マイクロウェーブルートのうち黒石ほか8中継所の無線新増設工事を総額50,370,000円で請け負わせ、31年7月までに完成しているが、契約の方法が適切を欠いたため運送費において約350万円が不経済となっている。
右は、最寄国鉄駅から山頂所在の前記各中継所局舎まで無線、空中線および電力等の機器を運搬のうえこれを施設する工事で、予定価格の積算にあたり、機器運搬費(諸経費を含む。)8,918,682円、施設工事費(諸経費を含む。)42,045,585円計50,964,267円と決定し前記金額で契約したものであるが、機器の運送費の積算についてみると、機器運搬予定時期には別途施行中の各山頂への連絡道路が未完成であるかまたは積雪期に入るため車両による運搬は不可能であると推定し、機器は山ろくから人力または馬そりをもって山頂局舎まで運搬することとして運送費7,312,696円および諸経費1,605,986円計8,918,682円を積算したものである。
しかし、機器の運搬予定時期である30年5月下旬から11月初旬または31年4月下旬には連絡道路はほとんど完成する予定になっていてこれを利用することができ、また、その時期からみてもとくに車両運搬が全く困難なほどの積雪期に入っているとも思われず、大部分の機器についてはこれを車両により運搬するものとして積算すべきであったと認められ、少なくとも本件工事のように人力または馬そりによる運搬と車両による運搬とでは運送費において多大の差違があるのであるから、契約にあたっては、将来必要に応じて契約金額を改訂する旨の条件を付するなどの処置をとり経費の節減をはかるべきであったと認められる。現に、業者も一部の機器を除き連絡道路を利用して車両により運搬している状況である。
いま、仮に請負人が実際に車両運搬したものについて車両により運搬することとして再計算すれば、当局の計算によっても約350万円の運送費を節約することができたものである。