日本電信電話公社で、昭和30年度中、随意契約により富士通信機製造株式会社からワイパーアッセンブリほか200点のH型自動交換機部品を価格65,443,615円で購入しているが、そのうち本院で年間購入額50万円以上のワイパーアッセンブリほか8点454,990個価額34,340,500円について調査したところ、価格の検討等が不十分であったため約1100万円が高価となっている。
右H型部品は、もっぱら前記会社だけから継続購入してきたものであるが、購入価格の決定にあたり、適正原価をは握することなく単に旧統制額を物価変動によりスライドする方法だけに依存していたもので、購入価格は原価計算により適正に決定すべきものと認め、本院においてその所要材料、工数および専門業者からの納入価格を同会社について調査のうえ、これに30年度における公社の原価計算基準を適用して、直接労務費の1工数当り単金70円、製造間接費の1工数当り単金157円、一般管理費は工場原価の12%、支払利子は同じく2%、利益は総原価の7.5%とするなどして価格を計算したところ、これに比べ公社の購入価額はワイパーアッセンブリ1点を除き、左のとおり総額において約1100万円高価に失しているものである。
品名 | 購入数量 | 当局の計算 | 本院の計算 | ||
単価 | 価額 | 単価 | 価額 | ||
ワイパーアッセンブリ(H-1,021) |
個 296,810 |
円 30.00 |
円 8,904,300.00 |
円 31.21 |
円 9,263,440.10 |
バーチカルアマチャーアッセンブリ(H-1,025) | 38,512 | 141.20 | 5,437,894.40 | 87.96 | 3,387,515.52 |
ロータリーアマチャーアッセンブリ(H-1,048) | 25,042 | 226.00 | 5,659,492.00 | 89.97 | 2,253,028.74 |
コイル(H-1,074) | 13,349 | 211.90 | 2,828,653.10 | 130.42 | 1,740,976.58 |
コンタクトアンドブラケットアッセンブリ(H-1,117-A) | 25,200 | 198.90 | 5,012,280.00 | 79.82 | 2,011,464.00 |
〃(H-1,117-C) | 8,350 | 293.20 | 2,448,220.00 | 96.75 | 807,862.50 |
ワイパーコード(H-1,128-A) | 9,687 | 79.90 | 773,991.30 | 58.80 | 569,595.60 |
〃(H-1,128-B) | 20,730 | 84.20 | 1,745,466.00 | 69.93 | 1,449,648.90 |
〃(H-1,128-C) | 17,310 | 88.40 | 1,530,204.00 | 64.37 | 1,114,244.70 |
計 | 454,990 | 34,340,500.80 | 22,597,776.64 |