日本電信電話公社で、昭和30年6月から31年7月までの間に、随意契約により株式会社佐々木製作所ほか4会社から25ミリメートルほか4種類のケーブルリング総数17,122,740個を124,686,663円(うち31年度分6,218,290個44,192,393円)で購入しているが、予定価格の積算にあたり主要材料である硬鋼線の価格が適切でなかったため約970万円が高価となっている。
右は、30年5月、予定価格を1,000個当り25ミリメートルものは材料費3,010円51、労務費1,259円76、工場間接費1,049円80、一般管理費532円(工場原価の10%)支払利子79円80計5,931円87に利益4%237円27を加えて6,169円14と算出し、これに荷造運賃164円50を加算し、これから残材料の価格177円50を控除した6,156円14を査定して6,150円とし、その他も同様な方法によって35ミリメートルものは6,830円、45ミリメートルものは9,700円、55ミリメートルものは13,200円、65ミリメートルものは17,900円と決定しそれぞれこの価格をもって購入している。しかして、このように予定価格の50%余を占める材料費のうち約56%を占める硬鋼線の価格を、径3.2ミリメートルから3.5ミリメートルのものはキログラム当り130円とし、25ミリメートル、35ミリメートルおよび45ミリメートルのケーブルリングに使用する総量を55.26キログラム価額7,183円80、径4.5ミリメートルのものはキログラム当り132円とし、55ミリメートルおよび65ミリメートルのケーブルリングに使用する総量を89.06キログラム価額11,755円90としている。
しかし、本院の調査によれば、30年1月から7月までの間における硬鋼線の卸売価格はキログラム当り径2.9ミリメートルから3.5ミリメートルのもので87円、径4.0ミリメートルから5.0ミリメートルのもので92円程度で、その後31年2月まではわずかの値下りをみせている状況であり、このことは予定価格の積算にあたり市場取引価格を十分に調査していれば当然判明していたはずのもので、当局の積算はこれに比べキログラム当り40円または43円が高価となっているものである。
いま、仮に本院の調査した価格により予定価格を積算し、これによって契約したとすれば総額において約970万円は低額に購入することができたものである。