国民金融公庫の昭和30年度中の新規貸付実行額は493億7千7百余万円で、これから回収額420億4千2百万余円を差し引いた年間純増加額は73億3千5百余万円に上り、年度末貸付残高は73万5千余件477億6千5百余万円となっている。
30年度においては30年8月以降、普通貸付および更生資金再貸付の利率が年9分9厘6毛であったものを9分6厘に引き下げたが、一応9億6千9百余万円の利益をあげ、そのうち7億3千余万円を滞貸償却引当金等に繰り入れ、残額2億3千9百余万円を31年5月国庫に納付した。
しかして、年度末における6箇月以上の元金延滞額は24万3千余件54億1千余万円で、年度末貸付残高に対し件数において33.1%、金額において11.3%の割合となっており、29年度末における件数36.3%、金額12.4%の割合に比べやや低下の傾向を示している。
また、同公庫は受託金融機関の回収不能貸付金についてその元金の半額を補償させることとしていたが、昭和28年度決算検査報告に掲記したとおり、その補償を行わせる時期が明確でなかったところ、30年5月代理業務契約の一部を変更し、保証責任履行時期を明確にして、最終弁済期限到来後1年を経過したときは元金だけでなく利息の半額をも代って弁済させることとし、既往貸付分については、経過処置として向う1年間履行を猶予することとした。