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  • 昭和30年度|
  • 第3章 政府関係機関その他団体の会計|
  • 第2節 各団体別の不当事項|
  • 第6 農林漁業金融公庫|
  • 不当事項|
  • その他

農林漁業資金の貸付後の管理不十分なもの


(2183)−(2185)農林漁業資金の貸付後の管理不十分なもの

 農林漁業金融公庫(農林漁業資金融通特別会計から承継した分を含む。)が業務委託金融機関を通じ貸し付けた農林漁業資金のうち、本院においては昭和31年2月から9月までの間に3203件138億1千4百余万円の貸付金について実地に調査した結果、前年度調査未了であったものを含め、管理不十分と認められたものが405件417,017,878円あり、このうち同公庫では305件292,190,332円については是正の処置を済ませている。

 このような事態が発生しているおもな原因は、同公庫の貸付は貸付対象事業に補助金の交付があったときは一定額を繰上償還させることになっているのに、補助金を交付する地方公共団体との連絡が緊密を欠いていること、内部監査が必ずしも十分でないこと、受託金融機関の事実の確認についての努力が十分でないことによるものと認められる。

 なお、本院指摘事項に対する是正にあたって、繰上償還の請求を要すると認めた場合は即時繰上償還を請求するよう同公庫で指導しているが、受託金融機関でこれが必ずしも励行されていない状況であり、また、本院の調査したところによると、貸付対象事業についての貸付先の経理が全く不明であったり、または事実と相違して経理されていたりして事業の実態の確認が困難であるものが多く本院においてなお調査中であるが、今後これらの点に対する十分の指導が望ましい。

 いま、前記の農林漁業資金の貸付後の管理不十分と認められたもののうちまだ是正の処置が済んでいないおもなものをあげると、次のとおりである。

(受領済補助金相当額の繰上償還をさせていないもの)

(2183)  農林中央金庫および島根県信用農業協同組合連合会扱で、昭和27年7月から30年4月までの間に、青森県三本木市大光寺堰土地改良区ほか15箇所に対し水路災害復旧事業ほか20件の資金として67,080,000円を貸し付けているが、右は、別途国または地方公共団体等から補助金の交付を受けたときはこの補助金相当額を期日前に償還することを条件として貸し付けているのに、既に補助金が交付済となってもその償還の処理をしないでそのままになっていたものが11,337,527円ある。

(農林漁業金融公庫の業務方法書に規定する貸付の限度をこえているもの)

(2184)  農林中央金庫ほか8箇所扱で、昭和26年7月から31年1月までの間に、香川県綾歌郡長柄池土地改良区連合ほか36箇所に対し堤とう新設事業ほか41件の資金として354,650,000円を貸し付けているが、このうち借受人が当初申請どおりの工事を施行しなかったりまたは実際の工事費が申請額より少額で完成したなどのため、公庫の業務方法書に規定する貸付の限度をこえる結果となっていたものが82,058,741円ある。

(貸付の目的以外に使用されているもの)

(2185)  農林中央金庫ほか2箇所扱で、昭和27年3月から30年4月までの間に、岡山市岡山木材株式会社ほか4箇所に対し林道開発事業ほか4件の資金として30,300,000円を貸し付けているが、林道工事費として貸し付けたのに山林購入代金等に使用されたりまたは真珠養殖用竹いかだ等の増設資金として貸し付けたのに作業場等の買取資金に使用されるなど貸付の目的以外の資金に使用されていたものが21,576,869円ある。