中小企業金融公庫の昭和30年度中の新規貸付実行額は設備資金237億2千5百余万円、運転資金60億2千9百余万円計297億5千4百余万円で、これから回収額177億1千7百余万円および滞貸償却額3億5千余万円を差し引いた年間純増加額は160億8千7百余万円に上り、年度末貸付残高は498億5千2百余万円となっている。
新規貸付実行額のうち代理店扱の甲方式(代理店8割保証)によるものは288億2千3百余万円、同じく乙方式(代理店3割保証)によるものは6億2千4百余万円、直接貸付によるものは3億6百余万円で代理店扱の甲方式によるものが圧倒的に多くなっている。直接貸付は代理貸付による欠陥を補うため3支店を増設するなどして30年10月から開始されたものであるが、計画額21億円に対しその実績は事務能力が不足していることなどのため前記のとおり3億6百余万円にすぎない状況である。
本年度においては、30年8月以降、貸付利率が年1割であったものを9分6厘に引き下げたが、一応6億1千3百余万円の利益をあげ、これを全額滞貸償却引当金等に繰り入れたため国庫に納付すべき利益金はなかった。
承継貸付金の年度末貸付残高51億3千3百余万円のうち延滞となっているものは25億9千9百余万円で、復金承継貸付金が大部分を占め、期限経過後長期間にわたり元利金の回収のない不良債権が多く、業務委託金融機関に対し貸付残高に応ずる手数料を支払っている状況であるから、直接管理に切り替えるなど適切な処置が望ましい。