昭和30年12月から31年11月までの間に、検査の結果、法令、制度または行政に関し改善を要する事項があると認め、会計検査院法第36条の規定により主務官庁に意見を表示しまたは改善の処置を要求したものは、次のとおり1件である。
日本電信電話公社における整理退職者の優遇処置について(昭和31年11月28日付検第313号日本電信電話公社総裁あて)
日本電信電話公社で、昭和30、31両年度において、職員の停年制度に代る人事の慣行として、高年齢に達した者を整理退職させ、そのうち大多数の者に対しては、退職後も引続き最高12箇月を限度として臨時嘱託という名目で退職前の給与水準により手当を支給する処置をとっているものがある。
公社では、右の人員整理を経営上やむを得ない事由に基くものとし、国家公務員等退職手当暫定措置法(昭和28年法律第182号)第5条および附則第6項を適用して既に現行法上許容される最高限度の退職手当を支給しているが、さらに、これに加えて退職者に対する特別の優遇処置を講ずるため実質的には退職手当の変形とみなされる臨時嘱託に対する手当を支給したのは、現行法上の退職手当制度の趣旨からみて正規の取扱とは認めがたい。ついては、公社が今後もこのような特別の優遇を行うとすれば、すみやかに所要の処置を講ずる要がある。