(組織)防衛庁 (項)防衛庁
防衛庁技術研究所で、昭和32年1月、指名競争入札後の随意契約により浦賀船渠株式会社に目黒試験場大水槽曳引車等トロリーワイヤー取付工事を15,600,000円で請け負わせ、4月、更改契約による工事費15,582,405円を支払っているが、詳細設計を確定しないまま契約したところ材料費の積算が適切を欠いたり、また、施行にあたって設計変更に対する減額を行わなかったため工事費は約180万円過大となっていると認められる。
右工事は、目黒試験場大水槽の船型試験用えい引車に給電するためトロリーワイヤーの架設とその付帯施設を行うものであるが、その予定価格の積算にあたっては前記会社から徴した見積図面二葉と見積書に基いてこれを15,608,000円と算定し、工事の施行にあたって逐次詳細図面を提出させこれに承認を与えて確定することとして入札し、結局、予定価格とほとんど同額の前記金額で契約したものであるが、予定価格の材料費9,398,950円の内容をみると、各材料については非常に高価なものが少なくなく、市場価格等の調査もほとんど行わないで積算したものと認められる。
いま、主要材料のトロリー線ほか12品目の予定価格4,540,620円について本院において当時の市場価格と比較すると、トロリー線ほか1品目については左のとおり
名称 | 数量 | 予定価格 | 当時の市場価格 | 差引額 | ||
単価 | 金額 | 単価 | 金額 | |||
トロリー線(みぞ付硬銅線) 110平方ミリメートル |
4,400メートル |
円 650 |
円 2,860,000 |
円 550 |
円 2,420,000 |
円 440,000 |
ベークライト板 80m/m×25m/m×2m |
126枚 | 5,800 | 730,800 | 3,304 | 416,304 | 314,496 |
であり、その他のケーブルヘッド等11品目についても同様に予定価格949,820円は637,098円が適当と認められ、計1,067,218円、諸経費を合わせ1,232,636円が高価となっており、また、引込線電路工事についてみると、当初予定の高圧鋼帯がい装被鉛紙ケーブルは使用せず、承認図で決定したものは低価なジュート巻紙ケーブルで、しかもほとんど低圧用のものとなっているため予定価格に比べ509,560円、諸経費を合わせ588,541円の開差を生じている。
右のほかにも高価と認められるものもあるが、そのままとして計算しても本件工事費総額は約180万円が過大となっている。
なお、32年3月末本件工事が完成したこととして4月末工事費全額を支払っているが、約33万円に相当する地下ケーブルの接続工事は、これに関連するえい引車等電源装置の完成が33年3月末となっているため32年10月現在まだ着手もされていない。