(昭和30年度)(組織)防衛庁(項)防衛庁(組織)防衛庁(項)防衛庁
陸上自衛隊関西地区補給処で、陸上幕僚監部の指示により、昭和31年11月および32年3月、随意契約により株式会社日本製鋼所から105ミリ榴弾砲用撃発体400組ほか14品目を価額43,599,230円で、および撃発体組部品100組を単価66,956円価額6、695,673円で購入しているが、右のうち撃発体400組(単価66,844円価額26,737,948円)および同組部品100組合計価額33,433,621円は補給処および在庫統制隊において適正な在庫品等の管理をはかれば取急ぎ購入する要はなかったものである。
右撃発体は、本体ほか8部品をもって組み合わされ、105ミリ榴弾砲および75ミリ榴弾砲に使用するもので、その購入数量は在庫統制隊から提出された30年度火器部品請求補給実績表に基いて算定することとしているが、これによると、部隊からの要求数量254組、補給処在庫量48組、保有基準によって補給処が保有すべき数量268組であり、これに対し前記のとおり購入したものである。しかし、右実績表の数値について検討すると、部隊からの要求数量254組はその全量が関西地区補給処から要求されたものであるが、同補給処支援の特科部隊には保有基準量が不足しているものはなく、また、補給処の実際の在庫量は287組あり、保有基準による補給処の保有量を満たしてなお余っている状況であるのに、在庫記録カードの整理不良のため239組を脱漏しているなど実績表は事実と著しく相違しているものであり、結局、さしあたり必要のない500組を購入する結果となったものである。
なお、本品の故障は撃針等組部品中の限られた部分に発生するのが大部分であり、その部分の部品を交換すれば足りるもので、補給処においてはすでに交換用部品を購入しその要求を満たしている状況である。
右のほか、陸上自衛隊武器補給処で、陸上幕僚監部の指示により、31年1月、随意契約により株式会社日本製鋼所から105ミリ榴弾砲ほか3種の火器部品169点を総額64,611,280円で購入しているが、うち105ミリ榴弾砲用ナット200個単価43,176円価額8,635,200円および155ミリ榴弾砲用ピン1,000個単価3,408円価額3,408,000円は、在庫量の調査が十分でなかったり、部隊から請求がないのに購入したため必要度の低いものがはなはだしく多量に購入され保有部品の間には著しく均衡を失する結果となっている。
右火器部品は、供与火器の整備用に使用されるものであるが、30年度調達の火器部品の購入数量は、30年4月から8月までの5箇月間に部隊から各補給処に請求された実績数量から15箇月分の所要数を算出し、これから既交付数と在庫数とを差し引いたものに経済個数を加味して決定されたものである。しかして、
(ア) 105ミリ榴弾砲用ナットは砲架の旋回周りに使用されるものであるが、請求数21個、交付数3個、在庫数零であるため前記の方式により60個となるが、200個を購入したものである。しかし、本院が在庫統制隊および陸上幕僚監部の資料によりその在庫数について調査したところ、購入当時中央統制品として132個、補給処貯蔵品として420個以上計552個以上が補給処在庫数であったのであるから在庫数零としたのは誤りであり、また、補給カタログをみてもその消耗度はきわめて低いものであるから、本件ナットはさしあたり購入の要があるものとは認められない。現に、その後の使用実績をみても30年4月から32年3月までの間に61個交付されているにすぎない状況である。
(イ) 155ミリ榴弾砲用ピンは、平衡機の取付けに使用されるものであるが、算出根拠となる請求実績がなかったのに、29年における消費基準表を勘案して1,000個を購入したものである。しかし、同基準表の数値の算出根拠もなく、補給カタログによってみても砲100門に対し補給処補給用として年間3個あれば足り、きわめて消耗度の低いもので、現有装備砲数に対しては年間7個程度あれば十分と認められるのに、単なる推定によって大量に購入したものであって、現に、本件ピンは32年10月にいたっても全数未使用のまま保管されている状況である。
このような調達を行なって消耗率の低い部品の在庫数が過大となっているのに、一方では消耗率の高い部品のうち在庫数のきわめて少ないものもある状況で、保有数に不均衡をきたしているのは適切とは認められない。