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  • 昭和31年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 各所管別の不当事項および是正事項|
  • 第1 総理府|
  • (防衛庁)|
  • (一般会計)|
  • 不当事項|
  • 物件

水中機器の購入にあたり処置当を得ないもの


(5) 水中機器の購入にあたり処置当を得ないもの

(組織)防衛庁(項)防衛庁

 防衛庁調達実施本部で、海上幕僚監部の要求により、昭和31年3月、指名競争入札後の随意契約により株式会社小松製作所に仮称55式機雷3型15個の製作を単価425,000円総額6,375,000円で請け負わせ、検収の結果不合格となり値引受領の処置をとり181,500円を減額し、32年1月6,193,500円を支払っているが、契約に際し使用部品についての規定が不十分であったため目的に適しないものを受領するにいたっている。
 本件機雷は、水平磁界誘導型機雷で浅海敷設用として製作された円筒形のものであるが、構成の主要部分で磁気の変動を起爆装置回路に伝える第1継電器が缶体のどのような姿勢においても正しく作動しなければならないにもかかわらず、15個中6個は作動にむらがあり、9個は缶体の軸の回りに左右45度から180度までの間に全く作動しない点が生ずるような状況であり、ことに浅海では海底の凹凸、傾斜、波浪の影響がはなはだしく、このように作動が不安定なものは実用上不適当として全数不合格となったものである。このことは、さきに技術研究所で試作した際、国産継電器については全円周作動の確保には疑いがあることが判明していたのであるから、契約にあたっては、継電器について完全な作動を確保することができるような製品をとくに指定するか、ジンバル装置を付加することを明示するか、または全円周作動を確認したうえで採用することを明示すべきであるのに、なんらの規定もせず、しかも、製作中31年9月本機雷5個の部品検査の際第1継電器が全円周作動せず不合格のものであったのにそのまま製作させたため、結局、製品全数不合格となり、やむを得ずある限られた状況において使用に耐えるとして181,500円を減額し受領したものである。しかし、本機雷の適格品の製作は十分可能な状態にあったのに処置適切を欠いたため、性能に疑いのあるものを受領する結果となったもので当を得ない。