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  • 昭和31年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 各所管別の不当事項および是正事項|
  • 第1 総理府|
  • (防衛庁)|
  • (一般会計)|
  • 不当事項|
  • 物件

えい索巻揚機を高価に購入しているもの


(10) えい索巻揚機を高価に購入しているもの

(組織)防衛庁(項)防衛庁施設費

 防衛庁調達実施本部で、海上幕僚監部の要求により、昭和31年3月および32年2月、指名競争契約により株式会社日立製作所から掃海艇(小形)用えい索巻揚機4台を1台当り4,365,230円または4,980,000円総額18,075,690円で購入しているが、材料の積算当を得なかったため約170万円が高価となっている。

 右えい索巻揚機は、主材料アルミ合金で小形掃海艇に塔載し、普通掃海具用えい索の巻取り、繰出しを行うもので、巻胴、電動機および管制器等から成っている。本件31年3月契約分の予定価格の積算についてみると、仕様書には総重量2,250キログラムとしているが、全体図しか添付されていないので同会社が提出した原価見積計算書および概略部品目録を参考とし、材料費2,663,600円、予備品252,800円、直接経費116,660円、労務費232,000円、間接経費858,400円計4,123,460円の製造原価に12%の一般管理費を加えた総原価の5%の利益およびこん包費運賃7,000円を加え4,856,188円と算出したもので、うち材料費(電気関係部分を除く。)の積算にあたっては、機械部分各部の所要材料を計算して素材重量を2,590キログラムとし、これに単価を乗じている。しかし、素材重量2,590キログラムはこれらの資料からみると過大と認められ、31年9月同会社が提出した承認図においては巻揚機の総重量は1,550キログラムとなっており、この承認図によってその機械部分の素材重量を計算すると1,400キログラム程度となり、予定価格の積算の際採用した2,590キログラムより約1,200キログラム少なく、実際の完成品も電気関係部分を含み総重量約1,250キログラムとなっている。

 このように、承認図が提出された際、その重量が仕様書に規定した重量と著しく相違することが明らかとなったのに、他の構造、材質の変更を認めこれに要する経費65,230円を増額しただけで、右材料の計算重量の相違については契約の変更であるから減額すべきであるのにそのままとしているため、材料費の積算において約695,000円が過大となっている。労務費等については同種品の実績等からみてやや過大と認められる点もあるが、一応これらを採用して予定価格を防衛庁計算方式によって計算すると1台当り約410万円となり、契約金額は約26万円高価な計算となる。また、32年2月契約分は材料費において前回そのままの2,590キログラムに仕様変更による増加分75キログラムを加え2,665キログラムとし、これに材料の単価値上りをみているほかは前回と同じ計算によっているため、同様に契約金額は約96万円高価な計算となり、結局、本件購入総額は約170万円が高価となる計算である。