昭和31年度における国税収納金整理資金への受入金の徴収決定済額は9908億6千8百余万円、収納済額は9615億1百余万円であって、その収納割合97.0%は前年度の95.3%に比べ好転しており、収納済額も前年度に比べ1452億2千6百余万円増加している。収納未済額は215億1百余万円(既往年度分を加えると695億4千7百余万円)で、前年度に比べ50億8千7百余万円(既往年度分を加えたものにおいては146億5百余万円)の減少となっており、不納欠損額も78億6千4百余万円で、前年度に比べ54億2千2百余万円減少している。なお、本資金から31年度一般会計歳入へ組み入れた額は9256億8千5百余万円、31年度交付税及び譲与税配付金特別会計歳入へ組み入れた額は217億7千7百余万円である。
本年度の国税収納金整理資金に対する検査は、主として所得税および法人税の賦課ならびに徴収上の処置等に重点を置いて実施したものであるが、課税資料の収集活用が不十分なため課税漏れを生じたり、不注意により法規の適用を誤って徴収過不足を生じていたものが依然として見受けられ、徴税事務の一層適確な処理が望まれるところである。
(1) 処分収入および利用収入
全国10財務局の昭和31年度における国有財産の処分収入および利用収入の徴収決定済額は129億8千6百余万円、これに対する収納未済歳入額は4億1千3百余万円で徴収決定済額の3%余に当り、前年度の7%余に比べで低率となったが、既往年度分の収納未済歳入額6億4千6百余万円を加えると収納未済歳入額は10億5千9百余万円に達する状況で、そのおもなものは国有財産の使用料4億2千6百余万円、土地および建物の売渡代金2億6千余万円、船舶の売渡代金1億9百余万円である。このように収納未済歳入額の多いのは、債務者の資力不足がおもな原因と認められるが、使用料については徴収決定の処置が遅延したこともその一因と認められる。
右のほか、31年度末までに徴収決定すべき使用料で徴収決定にいたっていなかったものは、当局の計算によるも約8億1千8百余万円(うち31年度分約2億9千5百余万円)に上っている。
(2) 普通財産の管理
全国10財務局管内の普通財産の管理については、逐年改善の跡が認められるが、まだ財産の現況をは握していないもの、所在不明となっているもの、同一物件で物納と農地買収とが重複しているもの、無断で占拠されているもの、売渡処分等が行われているのに台帳がまっ消されていないもの、使用料の徴収決定が長期にわたり遅延しているもの、交換渡しした機械で相手方が無断でこれを処分しているものなどがあるのにこれらに対して適宜な処置がとられていないものがあり、当局においても財産管理の基本となる実態調査を32年5月以降主要都市所在財産について逐次実施しその整理促進をはかっているが、なお一段の努力を要する。