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  • 昭和31年度|
  • 第2章 国の会計|
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国庫補助金等の経理当を得ないもの


(220)−(251) 国庫補助金等の経理当を得ないもの

 (組織)厚生本省 (項)保健所費補助 ほか5科目

(1) 保健所、結核等予防事業に対する国庫補助金の経理当を得ないもの

(220)−(236) 保健所法(昭和22年法律第101号)に基く事業その他公衆衛生関係の予防事業に対する昭和30年度国庫補助金の経理の実態に関し、32年中、北海道ほか24府県および小樽ほか23市についてその精算状況を検査したところ、補助基本額に補助の対象とならない経費を含めたり、誤算があったためすでに提出した精算書では補助不足となっていたものが補助超過となり、または補助超過がさらに多くなり国庫補助金の返納を要するものが北海道ほか14府県(注) において22事項8,350,578円あり、そのうち1事項20万円以上のものをあげると左のとおり17件7,549,923円である。

(注)  左に掲記した道府県のほか宮城、福井両県

〔1〕 保健所費補助金

道府県名 補助団体 事業
年度
国庫補助基本額 国庫補助金交付済額 国庫補助基本額から控除すべき額 国庫補助金交付済額中返納を要する額 摘要

(220)

北海道

北海道

30

263,047,882

89,996,634

4,622,646

1,540,882

{

補助対象外の人件費、庁費を含めていたもの
(221)  同 小樽市 13,189,436 4,396,307 892,051 297,179 { 補助対象外の人件費、旅費等を含めていたもの
(222) 千葉県 千葉県 90,907,326 31,299,448 1,139,493 379,828 { 補助対象職員数の誤算によるもの
(223) 愛知〃 愛知〃 144,593,614 48,384,055 1,451,167 483,719 { 補助対象外の人件費、旅費等を含めていたもの
(224) 京都府 京都市 84,860,506 28,799,046 1,005,485 335,162  同
(225) 大阪〃 大阪府 108,897,725 36,235,901 791,245 200,408  同
(226) 大阪府 大阪市 30 153,644,066 51,939,904 731,115 243,705 { 補助対象外の人件費、庁費を含めていたもの
(227)  同 堺〃 13,677,419 4,570,111 828,391 276,131 { 補助対象外の人件費、旅費等を含めていたもの
(228) 兵庫県 兵庫県 111,787,850 38,887,895 1,345,767 448,588  同
(229)  同 神戸市 49,198,501 16,511,282 1,353,045 451,013 { 補助対象職員数の誤算によるもの
(230) 山口県 山口県 80,184,978 27,348,520 1,101,715 367,238 { 補助対象外の人件費、旅費等を含めていたもの
(231) 徳島〃 徳島〃 50,348,620 16,987,690 2,007,930 669,310 { 補助対象外の人件費、庁費を含めていたもの
(232) 福岡〃 福岡〃 168,552,013 57,362,413 1,554,230 518,076 { 補助対象外の人件費、旅費等を含めていたもの
(233) 大分〃 大分〃 77,510,140 25,815,240 1,031,138 322,239  同
1,410,400,067 478,534,446 19,855,418 6,533,478

〔2〕 結核予防費補助金

県名 補助団体 事業
年度
国庫補助基本額 国庫補助金交付済額 国庫補助基本額から控除すべき額 国庫補助金交付済額中返納を要する額 摘要

(234)

宮崎県

宮崎県

30

48,088,540

24,151,075

568,973

284,487


補助対象外の経費を含めるなどしていたもの

〔3〕 性病予防費補助金

県名 補助団体 事業
年度
国庫補助基本額 国庫補助金交付済額 国庫補助基本額から控除すべき額 国庫補助金交付済額中返納を要する額 摘要

(235)

広島県

広島県

30

4,816,148

3,046,721

901,360

450,679

補助対象外の経費を含めていたもの

(236)

熊本〃 熊本〃 2,747,893 1,373,946 562,557 281,279 補助対象外の経費を含めるなどしていたもの
7,564,041 4,420,667 1,463,917 731,958

 このような事態については、毎年度の検査報告に掲記して注意を促してきたところであり、関係当局の改善への努力はうかがわれるが、なおこのような事例があるのは、本件国庫補助金の算定の基礎となる経費の範囲についての解釈が地方公共団体に徹底していなかった向もあるとともに算定方法が複雑である関係もあり、また、一部の地方公共団体において正当交付額以上に交付を受けようとする傾向も依然として跡を絶たないことによるものと認められる。

(2) 簡易水道施設費補助金の経理当を得ないもの

(237)−(238)  昭和28、29および30年度において、市町村が事業主体となって布設した簡易水道に対する国庫補助金の経理に関し北海道ほか24府県について実地に検査したところ、補助工事を申請どおりに施行していなかったり、低額に施行した工事を申請どおりに施行したものとして精算しているなどのため国庫補助金の超過交付となっているものが宮城ほか2県(注) において4事項953,257円あり、そのうち1事項20万円以上のものをあげると次のとおり2件736,525円である。

(注)  宮城、山梨、兵庫各県

(237)  宮城県で、栗原郡若柳町(旧大岡村)が昭和28、29両年度に施行した簡易水道新設事業費10,920,000円に対し交付した国庫補助金2,730,000円につき、大岡村では補助申請額どおりの事業を施行し国庫補助金に過不足がないものとして精算を了しているが、その精算内容をみると、配水管工事について当初設計額より606,463円低額で請け負わせ、また、送水管工事延長529メートル工事費1,295,085円相当のものが施行されていないため事業費は9,018,452円が正当であって、差額1,901,548円に対する国庫補助金475,387円が超過交付となっている。
 なお、右事業の施行にあたっては、付近に水源が得られなかったため、既設の旧岩ヶ崎町上水道用水源から分水を受け、同村までの間は隣村旧沢辺村の簡易水道送水管を利用する計画で、これに対し沢辺村に負担金4,000,000円を支払うこととしていたところ、29年12月大岡村が若柳町に合併となり、これに伴って生じた諸般の事情から負担金の支払が解決をみないまま遷延した。このため28、29両年度の事業は一応施行されたが、布設した配水管も沢辺村との接続点が中断されていて32年7月会計実地検査当時においても全く通水されていなかったばかりでなく、30年度に施行することとしていた配水池工事も中止のままとなっていて、簡易水道としての完全な機能が果されておらず補助の効果も十分には達せられていない。

(238)  山梨県で、南都留郡河口湖町(旧大石村)が昭和29、30両年度に施行した簡易水道新設事業費6,900,000円に対する国庫補助金1,725,000円につき、大石村では国庫補助金に過不足がないものとして精算を了しているが、請負費および夫役賃金等が設計額より少額で足りたため実際の工事費は5,855,446円にすぎず、差額1,044,554円に対する国庫補助金261,138円が超過交付となっている。

(3) 児童保護費負担金の経理当を得ないもの

(239)−(242)児童福祉法(昭和22年法律第164号)に基く児童福祉施設の児童保護に要した費用として都道府県または市町村が昭和30年度に支弁した金額に対する国庫負担金は54億3千6百余万円であって、右国庫負担金の交付基準は、厚生省において国庫負担基準額の限度を定め実支弁額がこれを上回る場合は限度額を、また、下回る場合はその実支弁額をそれぞれ国庫負担基準額とし、もし同法第56条の規定に基く徴収金がある場合には右限度額または実支弁額から徴収決定済額を控除したものを国庫負担基本額とし、その10分の8相当額を国庫負担金として交付しているが、その経理状況を検査した結果は次のとおりである。

(精算にあたり処置当を得ないもの)

(239)−(241)  事業主体における精算処置の当否についての検査は前年に引き続き施行することとし、本年は北海道ほか27府県および管内445市町村について実地に検査したところ、国庫負担基準額を誤ったり、徴収金の一部を脱漏していたりして精算を了していたため、国庫負担金の超過交付となっているものが千葉、愛知両県および大阪府において4事項1,324,472円あり、そのうち1事項20万円以上のものをあげると左のとおり3件1,171,921円である。

府県名 事業主体 施設種別 国庫負担基本額 国庫負担金交付済額 国庫負担精算済額 国庫負担基本額から控除すべき額 精算済額中さらに返納を要する額 摘要

(239)

愛知県

愛知県

養護施設ほか10

149,286,120

121,110,400

119,428,895

292,796

234,236

{

国庫負担基本額の算定にあたり徴収金の一部を脱漏していたことによるもの

(240)

大阪府 大阪府 養護施設ほか7 256,562,608 204,822,551 205,250,084 1,280,174 596,604 { 国庫負担基本額の算定にあたり支出額を過大に計上したことなどによるもの

(241)

吹田市 保育所ほか1 2,645,126 2,116,101 2,116,101 426,351 341,081 { 国庫負担基本額の算定にあたり徴収金の一部を脱漏していることによるもの

408,493,854 328,049,052 326,795,080 1,999,321 1,171,921

(保育所に関する経理が適切でないもの)

(242)  児童福祉施設のうち保育所は施設数においてその83%を占め、この国庫負担金も前記54億3千6百余万円の約2分の1を占める24億3千1百余万円の巨額に達しているが、保育所に入所した児童に要する費用は、原則として児童福祉法第56条第1項の規定に基き市町村長が本人またはその扶養義務者から徴収することとなっており、例外として本人またはその扶養義務者に負担能力がない場合にかぎり、同条第2項の規定により市町村が代って費用の全部または一部を負担しなければならないことになっていて、この場合には、市町村長が、児童福祉司、社会福祉主事または児童委員の意見を聞いたうえで負担能力の程度を決定することとなっている。しかるに、昭和32年中の会計実地検査において、山形県ほか20府県管内の1,191市町村における保育所4,089箇所のうち、その約30%に当る354市町村の保育所1,240箇所88,238世帯についてその運営状況を調査したところ、本人または扶養義務者の負担能力の程度を決定するにあたってはこれらのものの収入、資産等の状況についてよく調査すべきであるのに、負担能力決定の基本である各世帯の収入認定についてこれをしている市町村はほとんどなく、また、児童福祉司等の意見を徴している例もきわめて少ない状況で、扶養義務者の申告額をそのまま容認しているため、勤労所得者の申告額と収入額とが著しく相違していると認められるものがあったり、自営業者でさらに勤労収入がある場合これを全く脱漏したり、または職業等からみて十分に費用の負担能力があると認められる者について負担能力を過少にみているなどの事例が多数見受けられた。
 いま、仮に市町村に備え付けてある児童保護台帳、市町村民税課税台帳その他の関係資料に記載してある収入に厚生省の徴収基準を適用して徴収すべき金額を算定すれば、市町村長が徴収決定した徴収金との聞に開差の認められるものが山形県ほか19府県(注) 管内の257市町村において徴収額で約7965万円、国庫負担金相当額で約5513万円ある。

(注)  山形、栃木、富山、石川、福井、山梨各県、京都、大阪両府、兵庫、奈良、岡山、広島、徳島、香川、愛媛、高知、福岡、熊本、宮崎、鹿児島各県

(4) 国民健康保険助成交付金の経理当を得ないもの

(243)−(251)  国民健康保険助成交付金の経理状況については、昭和28年度以降毎年度の検査報告に掲記して注意を促してきたところであるが、32年中の会計実地検査においても、30年度分助成交付金として30年度中概算交付した49億7千9百余万円、31年度中追加交付した10億4千3百余万円の対象となった3,089保険者のうち、北海道ほか21府県で、その約9%に当る296保険者について交付金の経理状況の適否を調査したところ、関係当局の指導監督が強化されていて、従来見受けられた交付要件に適合しないものを適合したものとして交付している事例は見受けられず改善への努力の跡がうかがわれはするが、なお、交付金算定の基礎となる保険料調定額、同収納額、一般会計繰入金、療養給付費保険者負担分が事実と相違した申請に対して交付したため超過交付となったものが北海道ほか8県(注) において18事項5,202,716円(うち追加交付分3,797,111円)あり、そのうち1事項20万円以上のものをあげると左のとおり9件3,752,897円である。

(注)  北海道、宮城、埼玉、富山、石川、山梨、愛媛、宮崎、鹿児島各県

道県名 保険者 助成交付金交付済額 正当交付額 超過交付額

摘要


(243)


北海道

北村

2,315,673

2,059,589

256,084


保険料収納額および療養給付費保険者負担分が事実と相違していたことによるもの

(244)

 同 平取町 4,765,275 4,291,146 474,129 保険料調定額、同収納額および療養給付費保険者負担分が事実と相違していたことによるもの

(245)

富山県 高岡市 21,127,617 20,754,982 372,635 保険料収納額が事実と相違していたことによるもの

(246)

 同 礪波〃 11,560,217 10,815,315 744,902  同

(247)

 同 入善町 4,777,268 4,554,594 222,674  同

(248)

石川県 能都〃 2,453,443 2,176,835 276,608 保険料収納額および療養給付費保険者負担分が事実と相違していたことによるもの

(249)

愛媛〃 広見〃 4,159,914 3,583,929 575,985 保険料収納額が事実と相違していたことによるもの

(250)

宮崎〃 小林市 5,122,964 4,671,350 451,614 保険料調定額、同収納額ならびに一般会計繰入金および療養給付費保険者負担分が事実と相違していたことによるもの

(251)

 同 飯野町 3,115,431 2,737,165 378,266 一般会計繰入金等が事実と相違していたことによるもの

59,397,802 55,644,905 3,752,897