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  • 昭和31年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 各所管別の不当事項および是正事項|
  • 第9 郵政省|
  • (郵政事業特別会計)(簡易生命保険及郵便年金特別会計)|
  • 不当事項|
  • 不正行為

職員の不正行為により国に損害を与えたもの


(933)−(951) 職員の不正行為により国に損害を与えたもの

 深川豊洲ほか28郵便局(注) で、昭和24年11月から32年6月までの間に、関係職員により、繰替払現金をほしいままに領得されたものが1事項5万円以上のもので30事項46,219,121円(うち32年9月末現在補てんされた額8,210,001円)ある。
 右は、各郵便局において、

(ア) 貯金、保険担当の外務員が、郵便貯金預入金および簡易生命保険保険料の集金事務に従事中、預入金または保険料を受領しながらその全部または一部について受入処理をしないで領得したもの、

(イ) 窓口事務担当の内務員が、為替、貯金等の現金の受払事務に従事中、郵便貯金預入金もしくは簡易生命保険保険料を受領しながらその全部もしくは一部について受入処理をしなかったり、または郵便貯金払もどし金受領証を偽造して現金を領得したもの、

(ウ) 特定郵便局長が分任繰替払等出納官吏として勤務中、郵便貯金預入金を受領しながらその全部もしくは一部について受入処理をしなかったり、または郵便貯金払もどし金受領証を偽造して現金を領得したものなどである。

 これらの不正行為の防止については、当局においても相当意を用いているにもかかわらず、なお前記のように多額の国損が発生しており、ことに、局内職員の監督の任にある特定郵便局長が多額の現金を領得している事実の発生していることは遺憾である。今後さらに監督を厳にし、事故防止のための施策を徹底する要がある。
 前記30事項のうち1事項50万円以上のものをあげると左のとおり19件43,177,735円(うち32年9月末現在補てんされた額7,467,487円)である。

(注)  深川豊洲、荒川尾久、本所、豊島、五反田、都和、新栃木、雀宮、矢場川、前橋、加須、岩、焼津、名古屋藤江、草津、京都北、京都西ノ京上合、東住吉、生野、神戸石井、魚橋、旭、大宰府、博多、佐志生、飯田高原、大館、神楽、胆振幌内各郵便局

郵便局 不正行為をした職員 不正行為期間 不正行為金額 補てんされた額
(32.9.30現在)

(933)

深川豊洲

分任繰替払等出納官吏
特定郵便局長
 椎名某
年 月
24.11から
31.8まで


3,153,650


60,000
同人が特定郵便局長として勤務中、定額郵便貯金預入金等の預入報告をしないでもしくは少額にし、または自己が保管している資金を領得したものである。
(934) 荒川尾久 郵政事務官
 渡部某
27.1から
31.8まで
952,780 167,180
同人が窓口で現金受払事務に従事中、定額郵便貯金預入金等の預入報告をしないでもしくは少額にし、または簡易生命保険保険料等の受入報告をしないで領得したものである。
(935) 本所 出納員郵政事務官
 大滝某
30.12から
31.7まで
922,861 37,861
同人が貯金課外務員として積立郵便貯金等の集金事務に従事中、積立郵便貯金預入金等の受入手続をしないでまたは通常郵便貯金の払もどし金受領証を偽造して領得したものである。
(936) 豊島 出納員郵便事務官
 天野某
31.10から
31.11まで
504,950 504,950
同人が貯金課外務員として定額郵便貯金の募集事務に従事中、定額郵便貯金預入金の受入手続をしないで領得したものである。
(937) 都和 分任繰替払等出納官吏
特定郵便局長
 桜井某
26.7ごろから
32.1まで
13,829,400 1,791,350
同人が特定郵便局長として勤務中、定額郵便貯金預入金の預入報告をしないでまたは少額にするなどの方法により領得したものである。
(938) 新栃木 分任繰替払等出納官吏
特定郵便局長
 関根某
25.12から
31.10まで
3,618,628 144,600
同人が特定郵便局長として勤務中、定額郵便貯金預入金等の預入報告をしないでもしくは少額にし、または簡易生命保険保険料の受入報告をしないなどの方法により領得したものである。
(939) 矢場川 郵政事務官
 三田某
28.8から
32.3まで
927,536 79,536
同人が窓口で現金受払事務に従事中、定額郵便貯金預入金等の預入報告をしないでまたは通常郵便貯金の払もどし金受領証等を偽造して領得したものである。
(940) 加須 出納員事務員
 岡野某
26.5から
31.6まで
845,691 7,000
同人が貯金保険課外務員として積立郵便貯金等の集金事務に従事中、通常郵便貯金預入金の受入手続をしないでまたは郵便貯金払もどし金受領証等を偽造して領得したものである。
(941) 郵政事務官
 青木某
28.1から
32.4まで
2,673,911 823,911
同人が窓口で現金受払事務に従事中、定額郵便貯金預入金の預入報告を少額にしまたは通常郵便貯金の払もどし金受領証等を偽造して領得したものである。
(942) 焼津 出納員
郵政事務官
 曾根某
30.3から
31.9まで
2,216,300 446,489
同人が貯金課外務員として定額郵便貯金等の募集および集金事務に従事中、定額郵便貯金預入金等の受入手続をしないでまたは少額にして領得したものである。
(943) 名古屋藤江 分任繰替払等出納官吏
特定郵便局長
 青柳某
26.7から
32.2まで
3,150,000 2,156,000
同人が特定郵便局長として勤務中、定額郵便貯金預入金等の預入報告をしないでまたは通常郵便貯金の払もどし金受領証を偽造するなどの方法により領得したものである。
(944) 京都北 出納員事務員
 上野某
30.2から
31.8まで
1,043,000 336,000
同人が保険課に勤務し外務員の取扱にかかる簡易生命保険保険料の収納事務に従事中、簡易生命保険保険料を少額に受入手続して領得したものである。
(945) 京都西ノ京上合 出納員
郵政事務官
 村山某
29.7ごろから
31.10まで
709,000 420
同人が窓口で現金受払事務に従事中、定額郵便貯金預入金等の預入報告をしないでまたは少額にして領得したものである。
(946) 東住吉 出納員事務員
 今西某
29.7から
31.11まで
708,000 67,226
同人が貯金課外務員として積立郵便貯金等の集金事務に従事中、積立郵便貯金預入金等の受入手続をしないで領得したものである。
(947) 分任繰替払等出納官吏
特定郵便局長
 国米某
26.3から
31.8まで
2,720,667 74,700
同人が特定郵便局長として勤務中、定額郵便貯金預入金等の預入報告をしないでまたは通常郵便貯金の払もどし金受領証等を偽造して領得したものである。
(948) 大宰府 出納員
郵政事務官
 栗原某
30.2から
32.6まで
891,700 293,900
同人が窓口の現金受払事務等に従事中、定額郵便貯金預入金の預入報告を少額にしまたは通常郵便貯金の払もどし金受領証を偽造して領得したものである。
(949) 博多 出納事務員
 黒木某
31.8 550,000 422,500
同人が窓口で現金払渡事務に従事中、自己が保管している現金を領得したものである。
(950) 佐志生 分任繰替払等出納官吏
特定郵便局長
 渡辺某
30.10から
31.12まで
1,913,797 400,000
同人が特定郵便局長として勤務中、定額郵便貯金預入金の預入報告をしないでもしくは少額にし、または通常郵便貯金の払もどし金受領証を偽造するなどの方法により領得したものである。
(951) 飯田高原 出納員事務員
 数田某
28.1から
32.4まで
1,845,864 103,864
同人が窓口で現金受払事務に従事中、通常郵便貯金預入金等の預入報告を少額にしまたは郵便貯金払もどし金受領証等を偽造して領得したものである。
43,177,735 7,467,487