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  • 昭和31年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 各所管別の不当事項および是正事項

建設省


第11 建設省

(一般会計)

 昭和31年度において建設省の支出した河川改修、総合開発事業、道路改良等の直轄工事および災害復旧国庫負担工事等に要した経費は1106億3千8百余万円であり、90億8千2百余万円を翌年度に繰り越し、5億7千4百余万円を不用額としているが、本年においても建設省の施行する直轄工事および地方公共団体の施行する補助工事に重点を置いて検査を実施した。

(公共事業毎に対する国庫補助の経理について)

 地方公共団体が施行する公共土木施設の建設改良および災害復旧ならびに公営住宅の建設等に対する国庫補助金または国庫負担金の支出済額は687億6千3百余万円で、建設省所管支出済歳出額の62%に当っている。
 右に対する検査については、昭和31年における検査の結果、既往年度に比べて改善の跡が認められたが、災害復旧事業になお相当数の不当事項を指摘したので、32年においてもこれに重点を置き、また、公営住宅建設事業についてもとくに留意して検査を実施した。
 その結果、不当事項として指摘したものは、国庫補助を除外すべき額1工事10万円以上のもので36工事1千余万円であって、前年度に比べさらに減少しているが、公営住宅建設事業については、公営住宅建設のための団地計画もないまま建設し、特定の者を入居させているなど公営住宅法(昭和26年法律第193号)の趣旨に反するものがあったり、工事の一部について使用材料が仕様書および図面に比べ寸法、数量が不足しているなど手抜きしたものが多数あったりしたので注意して是正させた。
 また、工事完成前に査定の内容を検査し是正を促すため、工事完成後の検査の際あわせて28年から31年までの発生災害について早期に検査を行なったところ、改善の跡が見受けられたが、なお建設省において本院の注意により減額是正することとしたものが工事費において1500万円(うち28、29、30年発生災害分7百余万円を含む。)ある。

(昭和29、30両年度の検査報告掲記事項の事後処理状況について)

 昭和30年度決算検査報告で指摘した不当工事のうち、国庫補助を除外すべき額1工事20万円以上のものは39件で、そのうち当局において国庫補助を返還または減額することとしたものは11件、この処理に代えて手直しまたは補強することとしたものは20件、一部を返還または減額し、一部を手直しまたは補強することとしたものは8件である。
 右のうち国庫補助を返還または減額することとしたもの19件については32年9月末現在16件が処理済となっている。また、昭和29年度決算検査報告に掲記したもののうち国庫補助を返還または減額することとしたもので31年9月末現在処理未済となっていた12件のうち32年9月末現在なお処理未済となっているものが6件ある。
 また、手直しまたは補強することとしたもののうち、岩手ほか10県内の昭和30年度決算検査報告掲記の分11箇所、昭和29年度決算検査報告掲記の分24箇所につきその施行状況を32年4月から7月までの間に現地について検査したところ、30年度分については、工事が完成していたものは6箇所で、4箇所は工事中であり、1箇所は未着工であった。また、29年度分については、実地検査当時なお工事中のものが秋田県内に一箇所あった状況である。
 なお、検査当時工事中または未着工となっていた29年度分1箇所、30年度分5箇所のうち、32年9月末現在工事を完成した旨の報告のあったものは30年度分4箇所となっている。