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  • 昭和31年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
  • 第2節 各団体別の不当事項|
  • 第3 日本電信電話公社|
  • 不当事項|
  • 工事

工事の施行にあたり予定価格の積算当を得ないため不経済となっているもの


(1124) 工事の施行にあたり予定価格の積算当を得ないため不経済となっているもの

(項)局舎建設費

 日本電信電話公社東海電気通信局で、昭和31年10月、大日本土木株式会社に船山マイクロ・ウエーブ中継所局舎新築工事(鉄骨平家建21.18坪)を7、350、000円、山ろくから右局舎に通ずる道路補修工事を3,250,000円で請け負わせ施行しているが、予定価格の積算にあたり局舎建設資材の運搬費の検討が不十分であったため約280万円が不経済となっている。

 右工事は、31年10月下旬指名競争の形式で契約したこととしているが、実際は同年9月中旬前記会社を指定して予定価格を作成することなく工事の施行を開始したもので、10月中旬にいたってその予定価格を局舎新築工事費7,360,000円、道路補修工事費3,260,000円とし、前記価額で契約したものである。しかし、この予定価格の積算にあたり、当局は、局舎新築工事費において、建築資材の山上げ等の運搬費が実際には総額5,016,295円を要すると計算したが、これをそのまま積算すると局舎の新築工事費が割高となることをおそれ、右必要見込運搬費の約半額2,455,000円を道路補修費に作為積算したばかりでなく、右必要運搬費5,016,295円についてみても、うち直接運搬費2,217,999円は、山頂までの距離最長約4千メートルを骨材については1日2往復で75キログラム、セメントについては1往復で50キログラム、鉄骨その他資材については2往復で50キログラムを運搬することとし、所要人夫約2200人その人夫賃を1日1,000円として計算しているが、他の電気通信局における同種工事の積算についてみると、人夫賃は最高700円、本件と運搬距離が同程度の場合の人夫1人当り運搬量は1日2往復平均74キログラムであり、これに比べ人夫賃はきわめて割高となっており、一方、1人当り運搬量は過少となっている状況で、また、諸経費のほか食料費、人夫募集費等運搬雑費1,827,920円を積算しているが、これは他の電気通信局にもその積算の例がない。

 いま、仮に人夫賃を1日700円とし、人夫1人1日当り運搬量を74キログラムとして再計算すると、建築資材総重量139.1トンに対して所要人夫は延1,880人でその費用の総額は1,316,000円となり、これに当局の採用した諸経費24%を加えると合計約163万2千円となるが、仮に工事の施行時期、環境の特殊性等を認めて3割程度の割増を認めるとしても総額2,121,000円を積算すれば十分と認められ、これに比べて当局積算額5,016,295円は約280万円過大となっているものと認められる。