中小企業金融公庫の昭和31年度中の新規貸付実行額は、設備資金314億2千余万円、運転資金68億1千8百余万円、商工組合中央金庫貸付金10億円計392億3千8百余万円で、これから回収額247億1千7百余万円および滞貸償却額3億1百余万円を差し引いた年間純増加額は142億1千9百余万円に上り、年度末貸付残高は640億7千1百余万円となっている。
新規貸付実行額のち代理店扱のものは358億3千2百余万円で、直接貸付は計画額60億円に対しその実績は24億5百余万円にとどまっている。直接貸付は30年10月から開始し、本年度も4支店を増設したが、事務能力不足等のため計画額の半ばに達していない状況である。
31年度においては、一応8億1千9百余万円の利益をあげたが、これを全額滞貸償却引当金等に繰り入れたため国庫に納付すべき利益金はなかった。
なお、承継貸付金の年度末貸付残高30億8千4百余万円のうち延滞となっているものは21億1百余万円に上っており、従来その管理がすべて代理店に委託されていたため管理が行き届かず本院でも善処方を要望していたところ、32年3月復金承継貸付金20億3千5百余万円のち復金直接貸分8億6千1百余万円を公庫の直接管理に切り替えた。
また、代理店に対する業務委託手数料は、従来実収利息に対し甲方式(代理店8割保証)は40%から45%、乙方式(代理店3割保証)は25%から30%の割合となっていて高率に過ぎると認め昭和29年度決算検査報告に掲記したところ、31年4月以降の新規貸付分については甲方式は34%から38%、乙方式は21%から25%の割合に改めた。