愛知用水公団は、当初主たる財源を余剰農産物資金融通特別会計からの借入金(年利4分)に依存して総事業費321億2800万円の計画により昭和30年10月10日発足したものであるが、第3次余剰農産物の受入中止により、主要財源を資金運用部資金等の政府資金(年利6分5厘)に振り替えるなど資金計画の全面的変更により、32年6月、総事業費は331億円に増額された。
しかして、同公団は、前記特別会計から32年9月末までに36億8000万円を借り入れ、事務所、宿舎等の取得、役職員の給与、旅費、実施計画作成費等に25億8千3百余万円を支出しているが、発足以来すでに満2箇年を経過した同月末にいたってもまだ本工事には着手することができない状況である。
なお、当初の事業計画では、本工事期間を31年2月から35年8月までとして、組織、機構、資金繰り等一切の計画を樹立していたところ、国際復興開発銀行との借款契約の締結が著しく延引したのに伴い、事業実施計画も32年6月末にいたるまで縦覧公告の運びにいたらないなど約2箇年の遅延をきたしたため、32年8月本院会計実地検査当時においては、工事計画を変更して9月着手、35年12月完成として本工事期間を約3箇年に短縮するのやむなきにいたっていたものである。