田浦ほか23郵便局(注)
 で、昭和25年7月から34年6月までの間に、関係職員により繰替払現金等をほしいままに領得されたものが1事頂5万円以上のもので24事項62,408,727円(うち34年9月末現在補てんされた額8,301,864円)ある。
  右は、各郵便局において、
(ア) 貯金、保険担当の外務員が、郵便貯金の集金および簡易生命保険保険料収納の事務等に従事中、預入金または保険料を受領しながら受入処理をしないで領得したもの、
(イ) 窓口事務担当の内務員が、貯金、保険等の現金受払事務に従事中、郵便貯金預入金、簡易生命保険保険料または簡易生命保険契約者貸付金の弁済金を受領しながらその全部もしくは一部について受入処理をしなかったり、または郵便貯金払いもどし金受領証を偽造したりして現金を領得したもの、
(ウ) 特定郵便局長または普通郵便局貯金課課長代理が分任繰替払等出納官吏として勤務中、郵便貯金預入金を受領しながらその全部もしくは一部について受入処理をしなかったり、または郵便貯金払いもどし金受領証を偽造したりして現金を領得したもの
などである。 
  これら不正行為は、当局においても業務考査体制を強化してその未然防止および早期発見に努めてはいるが、なかには多年にわたっているものも見受けられ、なお、前記のような事例が絶えない状況であり、ことに職員を監督する地位にある特定郵便局長等が多額の現金を領得している事実の発生していることは遺憾である。
  前記24事項のうち1事項50万円以上のものをあげると左のとおり18件61,365,150円(うち34年9月末現在補てんされた額8,088,744円)である。
(注) 左に掲記した箇所のほか蒲田、船橋、大阪城東、広田、福島、沼田各郵便局
| 庁名 | 不正行為をした職員 | 不正行為期間 | 不正行為金額 | 補てんされた額 (34,9,30現在) | |
| (284) | 東京郵政局管内 田浦郵便局 | 出納員 郵政事務官 金田某 | 年月 29、4から 33、6まで | 円 629,300 | 円 317,000 | 
| 同人が貯金課外務員として積立郵便貯金の集金事務に従事中、積立郵便貯金預入金の受入手続をしないで領得したものである。 | |||||
| (285) | 名古屋郵政局管内 清水郵便局 | 分任繰替払等出納官吏 郵政事務官 横山某 | 31、12から 33、10まで | 4,934,000 | 0 | 
| 同人が貯金課課長代理として勤務中、通常郵便貯金の払いもどし金受領証を偽造して領得したものである。 | |||||
| (286) | 同 高山郵便局 | 出納員 事務員 大野某 | 31、8から 33、4まで | 1,371,500 | 63,266 | 
| 同人が貯金課外務員として定額郵便貯金等の募集および集金の事務に従事中、定額郵便貯金預入金等の受入手続をしないで、または通常郵便貯金の払いもどし金受領証を偽造して領得したものである。 | |||||
| (287) | 大阪郵政局管内 垂水郵便局 | 出納員 郵政事務官 平瀬某 | 32、2から 33、9まで | 593,853 | 21,240 | 
| 同人が保険課で窓口現金受払事務に従事中、簡易生命保険契約者貸付金の弁済金等の受入報告をしないで領得したものである。 | |||||
| (288) | 同 東淀川南方郵便局 | 出納員 郵政事務官 藤本某 | 31、12から 34、3まで | 4,853,155 | 1,033,402 | 
| 同人が窓口で現金受払事務に従事中、通常郵便貯金預入金等の預入報告をしないでもしくは少額にし、または通常郵便貯金の払いもどし金受領証を偽造して領得したものである。 | |||||
| (289) | 同 京都妙法院前郵便局 | 分任繰替払等出納官吏 特定郵便局長 浅井某 | 32、3から 34、1まで | 8,997,900 | 178,930 | 
| 同人が特定郵便局長として勤務中、定額郵便貯金預入金等の預入報告をしないでもしくは少額にし、または切手類売渡代金の受入手続をしないで、あるいは自己の保管している資金を領得したものである。 | |||||
| (290) | 同 神戸石井郵便局 | 出納員 郵政事務官 中島某 | 28、6ごろから 34、3まで | 11,206,432 | 250,000 | 
| 同人が窓口で現金受払事務に従事中、通常郵便貯金預入金および定額郵便貯金預入金の預入報告をしないでもしくは少額にし、または通常郵便貯金の払いもどし金受領証を偽造するなどの方法により領得したものである。 | |||||
| (291) | 同 三木福井郵便局 | 分任繰替払等出納官吏 特定郵便局長 若田某 | 28、4から 34、4まで | 7,281,275 | 1,435,281 | 
| 同人が特定郵便局長として勤務中、通常郵便貯金預入金の預入報告をしないでもしくは少額にし、または通常郵便貯金の払いもどし金受領証を偽造して領得したものである。 | |||||
| (292) | 同 彦根川原郵便局 | 出納員 郵政事務官 村林某 | 28、8から 33、7まで | 2,483,708 | 567,734 | 
| 同人が窓口で現金受払事務に従事中、通常郵便貯金預入金の預入報告をしないでもしくは少額にし、または通常郵便貯金の払いもどし金受領証を偽造するなどの方法により領得したものである。 | |||||
| (293) | 広島郵政局管内 広島駅前郵便局 | 出納員 事務員 井本某 | 32、2から 33、4まで | 1,067,000 | 194,500 | 
| 同人が貯金課外務員として定額郵便貯金等の募集および集金の事務に従事中、通常郵便貯金預入金の受入手続をしないで領得したものである。 | |||||
| (294) | 同 広島御幸橋郵便局 | 郵政事務官 多賀谷某 | 25、7から 34、3まで | 9,170,267 | 2,899,138 | 
| 同人が窓口の現金受払事務等に従事中、定額郵便貯金預入金等の預入報告をしないでまたは少額にするなどの方法により領得したものである。 | |||||
| (295) | 同 呉宮原十一郵便局 | 郵政事務官 河内某 | 30、9から 33、10まで | 1,217,000 | 54,441 | 
| 同人が窓口で現金受払事務に従事中、定額郵便貯金預入金等の預入報告をしないでもしくは少額にし、または通常郵便貯金の払いもどし金受領証を偽造して領得したものである。 | |||||
| (296) | 同 仁方郵便局 | 出納員 事務員 富岡某 | 31、4から 33、11まで | 1,353,952 | 218,346 | 
| 同人が保険関係の内務事務に従事中、簡易生命保険保険料等の受入報告をしないで領得したものである。 | |||||
| (297) | 熊本郵政局管内 土井首郵便局 | 分任繰替払等出納官吏 特定郵便局長 山口某 | 33、4から 〃、10まで | 1,081,000 | 111,000 | 
| 同人が特定郵便局長として勤務中、定額郵便貯金預入金の預入報告をしないで領得し、また、資金を受領したままかい帯逃走したものである。 | |||||
| (298) | 同 古賀郵便局 | 出納員 事務員 森田某 | 30、8から 34、1まで | 924,495 | 231,598 | 
| 同人が貯金、保険関係の内務事務に従事中、簡易生命保険保険料の受入報告をしないでまたは少額にするなどの方法により領得したものである。 | |||||
| (299) | 仙台郵政局管内 細倉郵便局 | 出納員 事務員 蘇武某 | 32、9から 34、6まで | 1,195,868 | 445,868 | 
| 同人が窓口で現金受払事務に従事中、積立郵便貯金預入金の預入報告をしないでもしくは少額にし、または公務扶助料の給与金受領証を偽造して領得したものである。 | |||||
| (300) | 同 小高郵便局 | 出納員 事務員 加藤某 | 32、1ごろから 34、1まで | 508,597 | 0 | 
| 同人が窓口の現金受払事務等に従事中、ほしいままに簡易生命保険保険証書の亡失報告をして入手した再度発行の証書を使用し貸付金を請求して、または放送受信料等の受入報告をしないでもしくは少額にして領得したものである。 | |||||
| (301) | 同 斉郵便局 | 分任繰替払等出納官吏 特定郵便局長 阿部某ほか1名 | 31、2から 33、9まで | 2,495,848 | 67,000 | 
| 阿部亮三が特定郵便局長として勤務中、また、事務員阿部はるめが為替、貯金事務に従事中、それぞれ単独でまたは共謀して定額郵便貯金等の預入金の預入報告をしないでもしくは少額にし、または公務扶助料の給与金受領証を偽造するなどの方法により領得したものである。 | |||||
| 計 | 61,365,150 | 8,088,744 | |||