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  • 昭和33年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 各所管別の事項|
  • 第11 建設省|
  • (一般会計)|
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  • 補助金

災害復旧工事の計画が当を得ないもの


(334) 災害復旧工事の計画が当を得ないもの

 (組織)建設本省 (項)河川等災害復旧事業費

 山形県最上郡大蔵村が、昭和31年度から33年度までの間に施行した村道清水滝ノ沢線26年災害復旧工事は、工事費5,974,068円(国庫負担金3,984,703円)でずい道延長228メートルを復旧したものであるが、被災原因を十分調査することなく工事を施行したため完成直後ずい道内部にき裂を生じ崩壊のおそれがある状況で復旧の目的を達していない。
 右は、26年4月、ずい道の巻立コンクリート(厚さ15センチメートル)が全延長にわたり崩壊したものを、融雪期の漏水によるものとして厚さ30センチメートルまたは45センチメートルに増強することとし、32年3月着工、33年10月完成したものであるが、本件工事箇所を含む周辺一帯は昭和16年ごろから地すべりの徴候が認められていたので、山形県はこれが防止のため26年以降山腹工、床固工等を施行している状況で、本件ずい道が被災したのもその崩壊状況等からみて単なる漏水によるものとは認められないばかりでなく、被災後本件工事に着工するまでの6年間においてもその付近一帯に引続き地すべりが起っておりずい道内にも地盤の変動が生じていたのであるから、着工にあたっては当然これらの事実について原因を十分調査すべきであったのにこれを行なわず、とくに着工して間もなく付近一帯に大地すべりが起きた際ずい道内にも明らかにこの影響と認められる落盤があったのに根本的にこれが対策を検討することなく当初の工法でそのまま継続施行したため、完成直後東側出入口は地すべりにより延長30メートルにわたり各所にき裂を生じ、崩壊のおそれがありきわめて危険な状況となっていて復旧工事の目的を達していない。