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  • 昭和33年度|
  • 第3章 政府関係機関の会計|
  • 第2節 各政府関係機関別の事項|
  • 第2 日本国有鉄道|
  • 不当事項|
  • 工事

掘さく費等を過大に積算したため工事費が高価と認められるもの


(348) 掘さく費等を過大に積算したため工事費が高価と認められるもの

 (工事勘定) (項)諸設備費

 日本国有鉄道東京電気工事局で、昭和33年10月から34年4月までの間に、指名競争契約により日本電設工業株式会社および新生電業株式会社に武蔵境、新宿変電所間60キロボルト油入ケーブル用管路施設ならびに人穴新設その他その1工事およびその3工事を23,021,880円および11,690,000円で請け負わせ施行しているが、土砂掘さく費の積算が適切を欠いたなどのため予定価格が過大となり、工事費が約698万円高価となっていると認められる。
 右工事は、武蔵境、新宿変電所間60キロボルト油入ケーブル新設のため特高ケーブル用管路延長その1工事1,412.4メートル、その3工事820メートルの埋設を施行するもので、予定価格をその1工事は23,232,764円、その3工事は11,996,129円としたものであるが、その積算にあたり次のとおり過大と認められるものがある。

(ア) 道路舗装延長1,207メートルの取りこわし444.2立米(その1工事234.4立米、その3工事209.8立米)はコンクリートの厚さを30センチメートルと見込み、取りこわしは立米当り5人を基準とし、これに昼間作業では地勢割増15%、夜間作業では夜間割増25%、能率低下割増50%を加算して立米当り5.6人から9.4人とし計3,392.7人2,867,200円(一般経費を含む。)を積算しているが、右舗装の大部分は取りこわしの容易な厚さ5センチメートル程度のアスファルトの簡易舗装で、基礎ぐり石等を含めても厚さ30センチメートル程度にすぎないものであって、取りこわしは立米当り1.5人程度を基準とすれば足りるものであり、これにより計算すれば1,020.5人856,553円となり、2,372.2人約200万円は過大となる計算である。

(イ) 管路掘さく5,921.1立米(その1工事4,314.7立米、その3工事1,606.4立米)は深さ1メートルまでを砂利交り土砂として立米当り0.7人、1メートル以下は普通土として2メートルまで0.7人、2メートル以下3メートルまでを0.9人とし、これに前記地勢、夜間、能率低下の各割増および水場割増30%をそれぞれ加算して立米当り0.8人から2.03人として計6,553.1人4,190,496円(一般経費を含む。)を積算しているが、他の同種工事の例によるも、前記割増を加算しても0.46人から1.22人程度が相当と認められ、これにより計算すると4,099.7人2,785,990円となり、2,453.4人約140万円が過大となる計算である。

(ウ) 管路の埋めもどし5,543.8立米(その1工事4,038立米、その3工事1,505.8立米)は立米当り0.5人とし、これに前記割増を加算して立米当り0.5人から0.94人計3,858.9人2,518,783円(一般経費を含む。)を積算しているが、他の同種工事の例によるもつき固めを含めて0.3人程度を基準とすれば足りるものであって、これにより計算すれば2,313.1人1,572,593円となり、1,545.8人約94万円は過大となる計算である。

(エ) 掘さく土のうち埋めもどし土に流用する3,717.4立米は人肩または手車により工事に支障のない場所に運搬預け土し、埋めもどしに使用する際の持ちもどり運搬にそれぞれ200メートル以内の小運搬を要することとして立米当り基準を預け土運搬に0.7人、持ちもどり運搬に0.7人を、また、管路基礎コンクリート用骨材等1,305.4立米は使用にあたって仮置きした箇所から平均200メートル以内を人肩または手車で運搬することとして立米当り基準を0.7人と見込んでいて、この基準は手車運搬を立米当り0.3人、人肩運搬を立米当り2.1人とし、手車運搬は右運搬量の80%で0.24人、人肩運搬は20%で0.42人計0.66人を0.7人としてこれに前記割増を加算して立米当り0.8人から1.32人計8,777.3人5,679,978円(一般経費を含む。)を積算しているが、200メートル内外の人肩運搬は通常0.62人程度を基準とすれば足りるものであって、これにより計算すれば4,559.6人3,100,621円となり、4,217.7人約257万円は過大となる計算である。

(オ) 右のほか、その1工事で型わく製作取付け1,992.1平米について平米当り0.3人とし、これに前記割増を加算して平米当り0.3人から0.56人とし計839.5人588,909円(一般経費を含む。)を積算しているが、実際の型わく製作取付面積は291.5平米であるから1,700.6平米分717.8人約50万円が過大と認められる。
 いま、以上により工事費を修正し再計算すると総額約2772万円となり、本件請負額はこれに比べて約698万円高価となる計算である。