(工事勘定) (項)諸設備費
日本国有鉄道新潟鉄道管理局で、昭和34年2月から6月までの間に、指名競争契約により鉄道建設興業株式会社に新潟操車場拡張その1(土工)工事を26,512,794円(当初請負額26,500,000円)で請け負わせ施行しているが、盛土資料の採取、運搬費等の積算が適切を欠いたため予定価格が過大となり、工事費が約457万円高価となっていると認められる。
右工事は、新潟操車場客貨車支区新設のための盛土工を主体とする工事で、予定価格とほぼ同額で請け負わせたものであるが、盛土工事費18,797,600円の積算にあたり、盛土資料は30,800立米のうち20,000立米(盛土A)を新潟市下場所在土取場で、10,800立米(盛土B。積算は今後の工事を考慮して30,000立米で計算)を新潟市大山町所在土取場でそれぞれパワーショベル、ブルドーザーで採取してダンプトラックに積み込み、運搬して取り卸したうえ敷きならし、整地等を行うこととし、往復運搬距離を盛土A4キロメートル、盛土B15キロメートル、1積込運搬所要時間を盛土A23.5分、盛土B40.5分、1日実働時間を線路横断に要する時間1.5時間を考慮していずれも5.5時間、トラック1台の1日運転回数を盛土A14回、盛土B8回、1日トラック使用車両数を盛土A7台、盛土B13台、採取、積込、運搬、取卸しの所要日数を盛土A92日、盛土B128日として立米当り単価を盛土A604円、盛土B622円と算定しているが、
(ア) 盛土資料の採取、積込、運搬、取卸しに使用するパワーショベル、ブルドーザーおよびダンプトラックの使用料金については、新潟市所在の業者から聴取した料金等により1日(8時間)当りパワーショベル23,000円、ブルドーザー22,000円、ダンプトラック7,500円(運転手賃金、燃料費、諸雑費を含む。)を積算しているが、本件のように多量の盛土工事を長期間施行する場合は、工事局の積算例に徴しても業者の使用する機械の減価償却費、修繕費等を算定要素として積算するのが適当と認められ、仮にパワーショベル、ブルドーザーおよびダンプトラックについて工事局の同種工事の積算例に準じ年間減価償却費率をパワーショベル9%、ブルドーザー13%、ダンプトラック15%、年間機械修繕費率をパワーショベル2%、ブルドーザー17%、ダンプトラック12%(いずれも時価に対する比率)とし、また、現場修理費を機械修繕費の25%とし、右比率は機械の1日実働時間を6時間としていることからしてこれを1日実働時間7時間で修正し、その他運転手賃金、燃料費等を加算して1日当り使用料金を計算すると、パワーショベルは18,601円、ブルドーザーは13,226円、ダンプトラックは盛土A5,085円、盛土B5,826円程度となるものであり、
(イ) 盛土資料の採取、積込、運搬、取卸しの所要日数については沈下および余盛に要する土量の増加を設計数量の25%と見込み、これをダンプトラック運搬量の計算に適用し、1台の運搬量は3立米の75%として設計数量を1日運搬総量(盛土A220立米、盛土B234立米)で除し、盛土A92日、盛土B128日を要することと積算しているが、右25%は沈下および余盛に要する土量の増加を示すものであるから、運搬 土量は設計数量の25%増しとし、1台の運搬量は3立米として所要日数を算定すべきであるのに、所要運搬土量の増加率をダンプトラック運搬量の計算に誤って適用しているもので実情にそわないものであり、1台の運搬数量を3立米、所要運搬土量を設計数量の25%増しとして所要日数を計算すれば盛土A85日、
盛土B120日で足りる計算であり、
本件盛土工事費の積算は過大と認められる。現に、本院調査の結果によれば、請負業者は本件盛土工事のうち採取、積込、運搬、取卸し(積算単価立米当り盛土A574円、盛土B584円総額約1777万円)を立米当り300円総額9,240,000円で下請施行させている状況である。
いま、仮に盛土工事の所要日数を盛土A85日、盛土B120日とし、1日当り機械使用料金をパワーショベル18,601円、ブルドーザー13,226円、ダンプトラック盛土A5,085円、盛土B5,826円として計算すると、盛土工事費は立米当り盛土A417円、盛土B539円総額約1416万円となり、その他の工事費を合わせて総額約2193万円となるものであって、本件請負額はこれに比べて約457万円高価となる計算である。