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  • 昭和34年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 各所管別の事項|
  • 第2 総理府|
  • (防衛庁)|
  • 不当事項|
  • 工事

運搬費等を過大に積算したため工事費が高価と認められるもの


(6) 運搬費等を過大に積算したため工事費が高価と認められるもの

(一般会計) (組織)防衛本庁 (項)施設整備費

 防衛庁札幌建設部で、昭和34年5月、指名競争契約により株式会社勝呂組に奥尻サイト居住施設新設工事の内建築工事を75,448,000円(当初契約額76,100,000円)で請け負わせ施行しているが、運搬費の積算が適切を欠いたなどのため予定価格が過大となり、ひいて工事費が約220万円高価となっていると認められる。

 右は、航空自衛隊第九〇六四部隊の隊舎、器材庫等の新築、これに付帯する浄化そう、敷地および取付道路造成等を施行するもので、その予定価格76,220,000円のうち、
(ア)骨材費等8,725,774円についてみると、砂利は藻内川産(運搬距離35キロメートル)、砂および切込砂利は青苗川口産(同27キロメートル)、玉石は小かかり石産(同21キロメートル)を使用することとし、いずれも車扱専属制4トントラックで運搬するにあたり運搬道路の一部が悪路で途中で積載量を増減する必要があるため砂利は2箇所、砂、切込砂利および玉石は1箇所の積卸しを行なうこととして計算した運搬費に採取費、採取権費を加え立米当り砂利は3,080円、砂は2,080円、切込砂利は2,040円、玉石は2,120円と積算している。

 しかし、最近のトラック輸送はすべて5トン積み以上の車両を使用するのが通例で、各建設部でも多量の資材運搬の場合には5トン車で積算しており、また、貨物自動車の運賃料金については車扱専属制とするか、車扱重量制とするか、または自家用車利用とするかにより運搬費が異なるので3者のうち最も経済的な方法で積算すべきであり、本件の場合は運搬距離および道路の状況を考慮すれば重量制運賃率によるべきであると認められ、また、一部に悪路があることを考慮して別途に構外道路補修費を計上しているので、運搬途中で積卸しを行ない積載量を増減する必要はないものであり、現に、本件工事において請負業者は5トン車以上の車両を利用のうえ途中積卸しすることなく運搬している。
 いま、仮に途中積載量が増減しないものとして重量制運賃率を適用して運搬費を計算し、採取費および採取権費を加え立米当り単価を算出すると、砂利は2,257円、砂は1,873円、切込砂利は1,838円、玉石は1,903円となり、予定価格に積算された前記立米当り単価はこれに比べてそれぞれ823円、207円、202円、217円が過大となっており、したがって、総所要量で1,600,064円過大となっている。

(イ) 共通仮設費6,935,600円についてみると、このうち奥尻から部隊までの間12キロメートルのうち5.5キロメートルの専用道路は悪路で資材運搬に支障をきたすおそれがあるので全延長にわたり幅員1.5メートル、厚さ15センチメートルで総量1,237.5立米の切込砂利を敷設することとし、烏頭川産(運搬距離9キロメートル)立米当り単価1,000円の切込砂利を使用するものとして専用道路補修費メートル当り271円計1,490,500円を積算している。

 しかし、補修用切込砂利については専用道路沿いに山砂利を採取することが可能であり、従来もこれを採取のうえ補修用として使用していた状況であるから、この山砂利を使用する積算とすべきであったと認められる。
 いま、仮に右山砂利を使用すれば運搬距離は平均2.5キロメートルで足り、専属制5トン車を利用することとして計算すると立米当り単価は672円、補修費メートル当りでは198円となり、予定価格に積算された補修費は401,500円が過大となっている。

 以上各項により予定価格を修正計算すれば総額約7,389万円となり、本件工事費はこれに比べて約220万円高価となっていると認められる。