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  • 昭和34年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 各所管別の事項|
  • 第2 総理府|
  • (防衛庁)|
  • 不当事項|
  • 工事

砂質盛土材の採取方法の検討が適切を欠いたため工事費が高価と認められるもの


(7) 砂質盛土材の採取方法の検討が適切を欠いたため工事費が高価と認められるもの

(昭和33年度) (一般会計) (組織)防衛庁 (項)施設整備費

(一般会計) (組織)防衛本庁 (項)施設整備費

 防衛庁大阪建設部(昭和34年4月以降名古屋建設部)で、34年2月、指名競争入札後の随意契約により鹿島建設株式会社に航空自衛隊岐阜基地滑走路新設その他工事を373,633,000円(当初契約額371,500,000円、33年度支出額50,000,000円)で請け負わせ施行しているが、予定価格の積算にあたり砂質盛土材の採取方法の検討が十分でなかったなどのため工事費が約721万円高価となっていると認められる。

 右工事は、岐阜基地に幅員45メートル、延長2,100メートルの滑走路および誘導路等を新設する土木工事と、既存建物の移設等の工事とを施行するもので、その予定価格を371,500,000円としたものであるが、そのうち土木工事関係において滑走路等の路床の盛土に使用する砂質土56,520立米については、同基地内東側の指定の場所18,740平米の表土を厚さ1.8メートル掘さくし33,730立米すき取り、その下部の砂層をブルドーザーで深さ3メートル押土集積し、これをパワーショベルでダンプトラックに積み込み、滑走路等の新設箇所まで運搬し、ブルドーザーで敷きならすまでと右表土の埋めもどしとを合わせ立米当り単価を400円と見込み22,608,000円を積算している。

 しかし、本件工事に先立って行なった地層調査の結果および現地の状況を十分に検討すれば、砂質土についてはパワーショベルで直接地山を二段掘りによって深さ6メートル程度切り取り採取することができることは当然予期されたところである。これに対し、当局は、採取予定地と付近県道との比高が約5メートルあり、表土の厚さは平均1.8メートルであったので差引き厚さ約3メートルの砂を採取することが可能であり、また、地下貯留水が地表面下約1.2メートル付近にあらわれているところもあったので、県道の路面高より低いところまでも切り取り採取することは困難であると考えたというが、県道は坂道になっていて採取予定地との比高は平均約7メートルあるばかりでなく、貯留水があらわれていてもこれは地下水位とは考えられず、表土下砂層6メートル程度を切り取り採取することは可能であったと認められる。また、このような現地の状況においてはパワーショベルにより直接砂をダンプトラックに積み込めば足り、とくに集積用のブルドーザーの経費を積算する要はないものと認められる。

 いま、仮に砂層を深さ6メートルまで切り取り採取することとすれば採取地の面積は本件予定価格に積算した面積の5分の3程度となり、したがって、これらに要するすき取費および埋めもどし費は本件積算額の5分の3程度で足り、これに基づきさらに集積用のブルドーザーの経費を控除して盛土立米当りの単価を修正計算すると287円となり、前記単価400円はこれに比べて113円の開差を生じ、総量56,520立米で6,386,760円が過大となり、これに諸経費を加えると本件工事費は約721万円高価となっていると認められる。