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  • 昭和34年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 各所管別の事項|
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地下ケーブルの売渡価額が低廉と認められるもの


(10) 地下ケーブルの売渡価額が低廉と認められるもの

(一般会計) (部)政府資産整理収入 (款)国有財産処分収入 (項)国有財産売払収入

 関東財務局横浜財務部横須賀出張所で、昭和34年9月、随意契約により関東火工株式会社に横須賀市所在元海軍水雷学校の地下ケーブル(鋼帯がい装または鉛被の電力線路および電信線路)5,512メートルを881,490円で売り渡しているが、評定価格の算定にあたり発生材重量を過少に算定したため売渡価額が約53万円低額となっていると認められる。

 右物件の評定価格の算定についてみると、34年5月から7月までの間に前記会社に発掘させた地下ケーブルを規格別に2一種類に分類し、銅線、鉛被、鋼帯の構成部分についてそれぞれ直径、内径、外径、厚さ等を測定してメートル当りの基準重量を算出し、これに同会社作成の発掘作業日報に記載されている規格別延長を乗じて発生材の推定総重量を銅くず1号444.751キログラム、同2号1,698.695キログラム、鉛くず5,550.060キログラム、鋼くず級外812.246キログラムとし、財団法人経済調査会の調査による市場価格を採用して発生材の総価額を1,029,862円と算定し、これから発掘工事費として148,374円を控除し評定価格を881,490円と決定したものである。

 しかし、評定価格の算定の基礎となる発生材の重量算出にあたり、すでに発掘済みであった現品の規格別延長を実測することなく、発掘の際当局が立会い確認をしていない前記会社作成の作業日報に記載されている数量をそのまま採用したのは当を得ないものであり、同会社が本件物件を他に転売した際の重量を本院会計実地検査の際調査したところ、左のとおり当局算定重量との間に著しく開差を生じている状況である。

材種別 当局算定重量 転売重量 転売重量と当局算定重量との差 同上の当局算定重量に対する比率

銅くず1号
キログラム
444.751
キログラム
1,280.400
キログラム
835.649

187
銅くず2号 1,698.695 2,675.800 977.105 57
鉛くず 5,550.060 8,117.200 2,567.140 46
鋼くず 812.246

(実貫していない。)

 いま、仮に各発生材の重量を鋼くず以外は関東火工株式会社の転売重量に、鋼くずは当局算定重量によることとし、当局採用の単価を用いて計算すれば発生材の総価額は1,718,656円となり、これから買受人が実際に要した発掘工事費、切断選別費等約29万円を控除しても評定価格は約142万円となり、本件売渡価額はこれに比べて約53万円低額となる計算である。