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  • 昭和34年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 各所管別の事項|
  • 第6 農林省|
  • 不当事項|
  • 補助金

公共事業に対する国庫補助金等の経理当を得ないもの


(165)−(189) 公共事業に対する国庫補助金等の経理当を得ないもの

(一般会計) (組織)農林本省 (項)土地改良事業費(項)開拓事業費(項)農業施設災害復旧事業費(項)昭和34年発生農業施設災害復旧事業費(項)篠津地域泥炭地開発事業費
(組織)林野庁 (項)治山事業費(項)林道事業費(項)山林施設災害復旧事業費 (項)昭和34年発生山林施設災害復旧事業費
(組織)水産庁 (項)漁港施設災害復旧事業費

 地方公共団体、土地改良区、森林組合等が施行した土地改良、治山施設、林道開設、災害復旧等の工事に対する国庫補助金または国庫負担金(以下「国庫補助金」という。)は土地改良法(昭和24年法律第195号)、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律(昭和25年法律第169号)等の根拠法規に基づいて交付されるものである。本院において、昭和35年中、その経理および工事施行の状況について、全国の工事現場42,963箇所のうち北海道ほか40府県につきその6.3%に相当する2,718箇所(工事費18,382,409,683円、国庫補助金11,025,591,616円)を実地に検査したところ、農業施設、治山施設等において、とくに頭首工およびえん堤の玉石コンクリートの施行にあたり玉石の層とコンクリートの層とに分離して打設したり、玉石を中詰としその表面をコンクリートで被覆したりしているなど工事の施行のきわめて不良な事例が相当数見受けられたほか、石積工事における胴込量が設計に比べて不足しているもの、事業主体が正当な自己負担をしていないものなどがあり、工事の施行および経理についてさらに適正を期する要がある。しかして、国庫補助金を除外すべきことの判明したもので除外すべき額1工事10万円以上のものが北海道ほか12府県(注) において43工事35,159,780円あり、右のうち国庫補助金を除外すべき額1工事20万円以上のものをあげると左のとおり25件32,534,495円である。

(注)  左に掲記した道府県のほか秋田、栃木、愛知、兵庫各県

道府県名 工 事 事業主体 工事費 同上に対する国庫補助(負担)金 同上のうち34年度までの交付済額 国庫補助(負担)工事費から除外すベき額 同上に対する国庫補助(負担)金相当額
うち35年度以降交付予定額中減額を要する額
(165) 北海道 江別市南美原地区区画整理ほか1 南美原土地改良区 150,161,000 67,751,000 67,751,000 1,773,238 799,822
農地815町5反の区画整理および水路延長22,423メートルを工事費150,161,000円で施行したこととしているが、実際は148,387,762円で施行しており、事業主体はその負担したとしている82,410,000円のうち1,773,238円を負担していない。
(166) 青森県 三戸郡田子町野面頭首工34年災害復旧 田子町 3,216,000 2,090,400 2,090,400 370,000 240,500
井ぜき延長37メートルの復旧にあたり、えん体および水たたき481立米は配合比7:3の玉石コンクリートで施行したこととしているが、実際は配合比5:5程度で、コンクリートも配合の悪いもので施行したにすぎず、工事費370,000円相当額が出来高不足となっている。
(167) 千葉〃 安房郡千倉町千倉漁港32年災害復旧 千葉県 820,000 546,940 546,940 820,000 546,940
防波堤延長8メートルの復旧にあたり、堤体下部洗掘箇所に割石39立米を充てんし、これをコンクリート方塊67個(1個1.3メートル×1.0メートル×1.0メートル)で被覆し根固めを施行したものであるが、方塊のすえ付けが粗雑で空げきが大きく、充てんした割石はすでに流失している状況である。
(168) 神奈川〃 川崎市平瀬川筋堤塘33年災害復旧 川崎市 6,536,000 4,248,400 4,248,400 1,314,000 854,100
堤とう延長497メートルの復旧にあたり、掘さく3,785立米、盛土10,266立米を施行したこととしているが、土積計算に誤りがあり、実際は掘さくは4,226立米、盛土は8,253立米で足り、工事費1,314,000円相当額が積算過大となっている。
(169) 山梨〃 北巨摩郡白州町中込原地区34年災害荒廃地復旧 山梨県 8,685,656 5,790,000 5,790,000 576,000 383,970
えん堤延長54メートルの施行にあたり、えん体の玉石コンクリート1,550立米は配合比7:3で施行したこととしているが、実際は配合比6:4程度で施行したにすぎず、工事費576,000円相当額が出来高不足となっている。
(170) 山梨市久保堰頭首工34年災害復旧 山梨市 2,686,000 2,417,400 2,417,400 235,000 211,500
井ぜき延長40メートルの復旧にあたり、練積石垣399平米の胴込コンクリートは平米当り0.18立米総量71立米を施行したこととしているが、実際は半量程度を施行したにすぎないなどのため工事費235,000円相当額が出来高不足となっている。
(171) 山梨市隼堰頭首工34年災害復旧 山梨市 1,841,000 1,656,900 1,196,650 246,944 222,249
(222,249)
井ぜき延長21メートルの復旧にあたり、えん体54立米は配合比6:4の玉石コンクリートで施行したこととしているが、実際は玉石30立米を中詰としこれを厚さ20センチメートルのコンクリート総量24立米程度で被覆したにすぎないなどのためすでにえん体の一部から漏水している状況である。
(172) 北巨摩郡須玉町大堰頭首工34年災害復旧 須玉町 1,140,000 741,000 720,200 651,000 423,150
(20,800)
井ぜき延長22メートルの復旧にあたり、えん体は配合比5:5の玉石コンクリート68立米を控45センチメートルの雑割練石張163平米で被覆し、また、張石の胴込コンクリートは平米当り0.2立米総量32立米を施行したこととしているが、実際は玉石コンクリートはコンクリートの層と玉石の層とに分離して打設し、張石は不ぞろいな雑石を使用し、胴込コンクリートはぐり石を多量に混入して施行しているなどのためすでにえん体の各所から漏水している状況である。
(173) 北巨摩郡須玉町源太原堰頭首工34年災害復旧 須玉町 1,357,000 1,221,300 1,221,300 1,357,000 1,221,300
井ぜき延長22メートルの復旧にあたり、えん体は配合比5:5の玉石コンクリート143立米を雑割練石張204平米で被覆し、張石の胴込コンクリートは平米当り0.17立米総量34立米を施行したこととしているが、実際は玉石コンクリートは多量の玉石を混入しコンクリートの充てんが不十分なため空げきを生じ、また、張石の胴込コンクリートは半量程度を施行したにすぎず、えん体としての効果が著しく減殺されている。

(174)

山梨県 北巨摩郡須玉町松平堰頭首工34年災害復旧 須玉町 4,844,000 4,359,600 2,031,300 259,000 233,100
(233,100)
井ぜき延長31メートルの復旧にあたり,えん休の練石張295平米の張石は控45センチメートルのものを使用し、胴込コンクリートは平米当り0.22立米総量64立米を施行したこととしているが、実際は練石張のうち72平米は控30センチメートル程度のものを使用し、また、胴込コンクリートは平米当り0.15立米または0.17立米総量48立米程度を施行したにすぎないなどのため工事費259,000円相当額が出来高不足となっている。
(175) 北巨摩郡白州町前沢頭首工34年災害復旧 白州町 7,739,000 6,965,100 6,965,100 7,739,000 6,965,100
井ぜき延長43メートルの復旧にあたり、えん体は配合比5:5の玉石コンクリート1,104立米を控45センチメートルの雑割練石張932平米で被覆し、また、張石の胴込コンクリートは平米当り0.23立米総量214立米を施行したこととしているが、実際は玉石コンクリートは玉石を多量に使用し玉石の層と粗悪なコンクリートの層とに分離して打設し、また、張石は控35センチメートルのものを使用し、胴込コンクリートはぐり石を多量に混入して施行しているなどのためえん体としての効果が著しく減殺されている。

(176)

北巨摩郡白州町馬飼場頭首工34年災害復旧 白州町 6,000,000 5,400,000 5,400,000 6,000,000

5,400,000

井ぜき延長26メートルの復旧にあたり、えん体は配合比5:5の玉石コンクリート645立米を控45センチメートルの雑割練石張476平米で被覆し、また、張石の胴込コンクリートは平米当り0.23立米総量109立米を施行したこととしているが、実際は玉石コンクリートは玉石を多量に使用し玉石の層と粗悪なコンクリートの層とに分離して打設し、また、張石は控35センチメートルのものを使用し、胴込コンクリートはぐり石を多量に混入して施行しているなどのためすでにえん体の各所から漏水している状況である。

(177)

東山梨郡勝沼町休息比久尼堰頭首工34年災害復旧 勝沼町 2,980,000 2,682,000 2,682,000 324,000

291,600

井ぜき延長48メートルの復旧にあたり、練積石垣219平米は平米当り胴込コンクリート0.23立米総量50立米、裏込コンクリート0.2立米総量43立米を施行したこととしているが、実際は胴込コンクリートは0.14立米総量30立米程度を施行しただけで、裏込コンクリートは全く施行していないなどのため工事費324,000円相当額が出来高不足となっている。

37,272,656 31,233,300 28,423,950 17,387,944 15,351,969
(476,149)

(178)

長野県 東筑摩郡麻績村宮裏34年災害荒廃地復旧 長野県 2,222,000 1,481,333 1,481,333 2,222,000

1,481,333

えん堤延長48メートルの施行にあたり、玉石コンクリートえん体267立米は配合比7:3で施行したこととしているが、実際は玉石を多量に使用し玉石の層とコンクリートの層とに分離して打設したため玉石コンクリートとしての強度が著しく低下している。

(179)

東筑摩郡麻績村室沢34年災害荒廃地復旧 長野県 1,535,000 1,023,332 1,023,332 1,535,000

1,023,332

えん堤延長45メートルの施行にあたり、玉石コンクリートえん体185立米は配合比7:3で施行したこととしているが、実際は玉石を多量に使用し玉石の層とコンクリートの層とに分離して打設したため玉石コンクリートとしての強度が著しく低下している。
(180) 長野県 飯田市山本地区客土 飯田市山本農業協同組合 8,934,000 2,680,000 2,680,000 2,210,560 663,168
農地78町3反の客土9,792立米を工事費8,934,000円で施行したこととしているが、実際は6,723,440円で施行しており、事業主体はその負担したとしている6,254,000円のうち2,210,560円を負担していない。
(181) 東筑摩郡四賀村橋下頭首工34年災害復旧 四賀村 1,278,000 830,700 830,700 401,000 260,650
井ぜき延長24メートルの復旧にあたり、えん体は配合比7:3の玉石コンクリートで80立米を施行したこととしているが、実際は玉石57立米を中詰としこれを粗悪なコンクリート厚さ20センチメートル総量23立米程度で被覆したにすぎないためすでにえん体の各所から漏水している状況である。
13,969,000 6,015,365 6,015,365 6,368,560 3,428,483
(182) 三重県 津市竹谷地区34年災害荒廃地復旧 三重県 1,549,420 1,032,946 1,032,946 961,372 640,914
えん堤延長24メートルの施行にあたり、えん体は配合比6:4の玉石コンクリートで185立米を施行したこととしているが、実際は玉石115立米を中詰としこれを厚さ30センチメートルのコンクリート総量69立米で被覆したにすぎず、玉石コンクリートとしての強度が著しく低下している。
(183)

名張市布生羽後地区34年災害荒廃地復旧 三重県 4,408,714 2,939,142 2,939,142 448,000 298,666
えん堤5箇所の施行にあたり、うち4箇所のえん体は配合比6:4の玉石コンクリートで114立米から198立米総量594立米を施行したこととしているが、実際は配合比5:5程度で施行したにすぎないなどのため工事費448,000円相当額が出来高不足となっている。

(184)

員弁郡藤原村篠立地区34年災害荒廃地復旧 三重県 3,619,877 2,413,251 2,413,251 3,619,877

2,413,251

えん堤延長42メートルの施行にあたり、えん体は配合比6:4の玉石コンクリート575立米をコンクリート厚さ20センチメートル総量100立米で被覆し、間詰コンクリート17立米を施行したこととしているが、実際は玉石486立米を中詰としこれをコンクリート厚さ30センチメートル総量190立米で被覆したにすぎず、間詰コンクリートは全く施行していないためすでにえん体の各所から漏水している状況である。
(185) 員弁郡藤原村林道篠立線34年災害復旧 藤原村 1,680,000 1,512,000 1,512,000 513,000 461,700
林道延長66メートルの復旧にあたり、切土4,171立米を施行したこととしているが、実際は3,240立米程度を施行したにすぎないため工事費は国庫補助金を下回る1,167,000円で足り、事業主体はその負担したとしている168,000円を全く負担していないばかりでなく345,000円の剰余を生じたこととなっている。

11,258,011 7,897,339

7,897,339

5,542,249

3,814,531

(186)

京都府 綾部市神度頭首工34年災害復旧 綾部市 773,000 695,700 695,700

773,000

695,700
井ぜき延長20メートルの復旧にあたり、玉石コンクリートえん体および水たたき等に使用したコンクリート総量127立米は、いずれも配合比1:3:6で施行したこととしているが、実際は粗悪な骨材を使用した配合の悪いもので施行したためコンクリートの強度が低下しており、すでにえん体の各所から漏水している状況である。

(187)

船井郡園部町学校前頭首工34年災害復旧 園部町 1,326,000 1,193,400 1,193,400 1,063,000

956,700

井ぜき延長16メートルの復旧にあたり、えん体の玉石コンクリート173立米および木工沈床56平米の玉石コンクリートブロック126個総量19立米は、いずれも配合比5:5で施行したこととしているが、実際はえん体は玉石96立米を中詰としこれを配合の悪い玉石コンクリート総量77立米で被覆したにすぎないためえん体内部に空げきを生じ、すでに各所から漏水しており、また、木工沈床の玉石コンクリートブロックも配合の悪い粗悪なもので施行したためき裂を生じている状況である。
2,099,000 1,889,100 1,889,100 1,836,000 1,652,400

(188)

和歌山県 有田郡清水町島河原堤塘28年災害復旧 清水町 9,180,000 8,262,000 8,262,000 326,000

293,400

堤とう延長600メートルの復旧にあたり、鉄線じやかご1,300本は中詰ぐり石1本当り1.14立米総量1,482立米を施行したこととしているが、実際は0.88立米総量1,144立米程度を施行したにすぎず、工事費326,000円相当額が出来高不足となっている。

(189)

日高郡美山村上初湯川水路28年災害復旧ほか35 美山村 235,824,000 211,939,100 211,939,100 6,184,000 5,552,350
水路延長1,398メートルの復旧ほか35工事を工事費235,824,000円で施行したこととしているが、実際は231,332,000円で施行しており、事業主体はその負担したとしている23,884,900円のうち4,492,000円を負担していない。また、ことのほかに右工事のうち水路延長1,398メートルの復旧ほか3工事は石垣の胴込コンクリートが不足していたり、粗悪な骨材を使用しているなどのため工事費1,692,000円相当額が出来高不足となっている。

245,004,000 220,201,100 220,201,100 6,510,000

5,845,750

合計

470,335,667 341,872,944 339,063,594 41,921,991 32,534,495
(476,149)