東京、福岡両通商産業局で、鉱工業に関する技術の研究、新規試作品の試作奨励のため国庫補助金を交付しているが、交付時または精算時の審査が十分でなかったため補助の対象とは認められないものに対し交付した結果となっているものが次のとおりある。
(202) 東京通商産業局で、昭和34年12月、ゲルマ工業株式会社が実施する咽喉送話方式と防爆電話機併用による鉱山等救護用通信機の試作研究に要する経費2,331,970円のうち金型費1,497,670円、購入部品費200,700円および直接人件費198,000円に使途を指定し、鉱工業技術研究費補助金900,000円を交付しているが、同会社は、本件試作研究に必要欠くことのできない金型を購入していないばかりでなく、その他の経費についても指定どおり使用したものとは認められない状況である。
(203) 福岡通商産業局で、昭和35年3月、福岡県を通じ葵産業株式会社が輸出向け製品として新規に意匠の改善等をとり入れて試作するらん胎漆器300個に要する経費1,218,800円のうち意匠代500,000円、機械装置費500,000円および原材料費113,800円に使途を指定し、中小企業輸出振興事業費補助金500,000円を交付しているが、同会社においては、同月本件試作を完了したこととしているのに、意匠の改善についてはその跡がみられないばかりでなく、意匠代、機械装置費についても指定どおり使用、したものとは認められない状況である。