(損益勘定) (項)動力費
日本国有鉄道東京給電管理事務所で、昭和34年4月、随意契約により三菱造船株式会社に川崎発電区新1号汽かんおよび付属機器点検修繕工事を15,000,000円で請け負わせ施行しているが、工事内容の調査検討が不十分で労務費の積算が適切を欠いたため予定価格が過大となり工事費が約240万円高価となっていると認められる。
右は、33年3月完成した出力60,000キロワット火力発電設備のボイラー各部の点検手入れを行なう定期検査工事とかん内の酸洗い等を行なうもので、その積算についてみると、(ア)定期検査工事は主として分解手入れおよび組立てを施行するもので、その労務費を2,177人2、111,200円と積算しているが、定期検査工事のうち各種弁類その他点検手入れ等を除いた他の工事種目は前記給電管理事務所が33年5月行なった同汽かんの定期検査の際の工事と内容において差異はないから前回施行の際の積算額1,580人1,556、000円程度で足り、597人555,200円が過大となっており、(イ)組立指導工、検査工、溶接工等の派遣費はこれら工員を前記会社の長崎造船所から連れ越すものとし、前回施行の際の積算単価をそのまま採用して1人1日当り4,800円または5,500円として400人分2,144,000円を積算しているが、これは同時期に東京電気工事局が同会社に本件工事現場で施行させた川崎火力発電所蒸気発生装置新設工事の新2号ボイラー(出力75,000キロワット)すえ付工事における同一職種の連越し工派遣費の単価3,900円程度で足り、これに比べて本件積算単価は900円または1,600円計584,000円が過大となっており、(ウ)かん内酸洗いの労務費は1,970人1,921,000円と積算しているが、このうちには別途定期検査工事費に積算している内かん装置取出し、取付け手間等を重ねて積算しており、これを控除すれば805人900,000円程度で足り、1,165人1,021,000円が過大となっている。
いま、以上により工事費を修正計算すると総額12,544,620円となり、本件請負額はこれに比べて約240万円高価となる計算である。