(建設勘定)(項)電信電話施設費
日本電信電話公社東京電気通信局東京電気通信調整所で、昭和34年7月および10月、随意契約により一色電機通信工業株式会社ほか5会社に東京局番3数字化工事の進ちょくに伴い撤去されたセレクター25,772個を総額16,321,016円(ほかに支給材料54,148,251円)で同工事において使用する吸収セレクターに改造させているが、右撤去セレクターは簡易な補修を行なえばそのまま他に転用することができたのに改造を行なったため約3200万円が不経済となっていると認められる。
右は、東京電気通信局において、管内各電話分局の局番をいっせいに3数字化するにあたり、これに必要な吸収セレクター71,510個のうち25,772個は3数字化工事によって撤去するセレクターで修理を要しないものを改造して使用することとして、前記電気通信調整所がその改造を前記6会社に請け負わせ実施したものである。
しかしながら、右の改造費は前記のとおり支給材料を含め総額70,469,267円であるが、一方、本件改造を行なわず吸収セレクターを新品で購入することとした場合の価額は25,772個分で329,626,200円であり、また、他方、同公社では右撤去品と同種の新品セレクターを購入しているがこの購入価額は25,772個分で302,997,648円となるから、吸収セレクターは新品を購入し、撤去したセレクターは他に転用したとすれば支出額の増加は26,628,552円で足りたこととなり、必要な補修費等を考慮しても、本件改造費に比べてより経済的であったと認められる。
右に関し、当局は、改造にかえて新品の吸収セレクターを購入することが経済的であることは判明しており、撤去したセレクターのうち42,138個については東京電気通信局管内の端子増設工事用等に充当することとしたが、残余の25,772個については、全国各地域に分散している電話局ごとにその所要量を調査し、これを製造業者別、所要期別等に割り振ることは多くの時間と手数を要するのでこれを吸収セレクターに改造したというのであるが、撤去したセレクターは早晩同電気通信局管内の端子増設工事用等に転用することができることは当然予期されたところであるから、これをそのまま保有し所要に応じて転用すべきであったと認められ、製造業者別および所要期を考慮しても同電気通信局が34年10月から35年9月までの間に受け入れた新品の同種セレクターのうち22,577個については右撤去セレクターを充当することができたものである。
いま、仮に本件改造を行なわず、撤去したセレクターはこれをそのまま保有し所要に応じて他に転用したとすれば、清掃、接点研摩および不良部品交換程度の簡易補修費等を考慮しても約3200万円は節減することができた計算となる。