日本電信電話公社関東電気通信局茨城電気通信部で、昭和35年2月10日、指名競争契約により株式会社奈良部商店にC銅線くずほか61点のくず類を価額285,200円で売り渡したこととしているが、実際は右物品のうち鉄くず1,240キログラムほか8点(同商店の見積額17,390円)は、同電気通信部において使用可能と認められた工事用機器類で再用品として評価すれば約90万円となるものであり、2月8日ごろすでに関東通信建設株式会社に引き渡されていたものである。
右工事用機器類は、同電気通信部が直営工事用備品として保有していた建柱機ほか145点であるが、同年1月電信電話工事の請負を目的とする前記関東通信建設株式会社が設立され、同会社から工事用機器類の譲渡方の依頼があったので2月6日形式的に技術認定を行ない、老朽品または破損品であるとの理由で鉄くず1,240キログラム、木くず100キログラム、布くず30キログラムほか6点のくず類26キログラム合計1,396キログラムとして同月8日ごろ右会社に引渡しを行なったものである。
しかしながら、右工事用機器類は、34年6月関東電気通信局からたな卸しの指示を受けこれに基づいて現品調査を行なった際良品として報告されたものが大部分であり、その他のものも使用可能と認められるもので、これを売り渡す理由はなく、とくに常備標準量の定めのあるものについてはこれを確保すべきであったのにその必要数を欠いてまで引渡しを行なったものもあり適正な処置とは認められない。しかも、本件引渡物品は2月10日C銅線くずほか52点の売渡入札を行なう際これを鉄くずほか8点として売渡物件に含め、右鉄くずほか8点は他に引渡済みであるがこれを合わせて見積るよう説明して入札させ、表面上はあたかも落札者である奈良部商店との間に前記工事用機器類を含めた62点の物品が285、200円をもって引き渡されたように契約書等の必要書類を整えていたものである。