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  • 昭和36年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第6節 各所管別の事項|
  • 第1 総理府|
  • (防衛庁)|
  • 不当事項|
  • 工事

送電線移設工事の設計当を得ないなどのため不経済となっているもの


(4) 送電線移設工事の設計当を得ないなどのため不経済となっているもの

(一般会計) (組織)調達庁 (項)施設提供等諸費

 横浜調達局で、昭和37年2月、指名競争後の随意契終により株式会社清和電設に根岸住宅地区送電線移設工事を3,823,857円(当初契約額2,850,000円)で請け負わせ施行しているが、送電線路の負荷容量、電線の規格についての調査が不十分で設計が過大となったなどのため、工事費が約110万円不経済となっていると認められる。
 本件工事は、東京電力株式会社神奈川支店山手変電所から根岸住宅地区へ送電している既設電線路の一部を移設するもので、撤去電線等を一部利用して交流3相3線式3,000ボルト送電線路1,560メートルを架設したものであるが、予定価格の積算にあたり、設計において新電線の規格を100mm2 一種綿絶縁電線(許容電流322アンペア)としその価格をメートル当り494円、延長2,631メートル1,299,714円としているが、この種高圧架空送電線には裸電線を使用することが通例となっており、また、同住宅地区の契約電力から勘案すれば最大負荷電流は220アンペア程度と認められるもので、電流容量等につき相当の余裕をみても低価な55mm2 硬銅撚線(許容電流320アンペア)を使用することとすれば足りたものと認められる。

 また、諸経費についてみると、純工事費3,172,649円に22%を乗じたものを査定して651,208円と積算しているが、純工事費のうち電線、コンクリート柱等の主材料費は2,411,500円で76%を占めており、しかも、これらの材料は工事請負人において取扱いにほとんど手数を要しないものであるから主材料費に対しこのように高率な諸経費を計上することは過大に失するものと認められる。
 いま、仮に新電線は55mm2 裸電線(メートル当り207円)を使用することとし、諸経費率は主材料費分10%、その他については当局の定めた諸経費率により、本件工事の予定価格を修正計算すれば、当局の計算によっても約266万円となり、本件工事費は約110万円を節減することができたものと認められる。
 なお、本件工事施行の状況をみると、新電線については100mm2 一種綿絶縁電線を使用することとなっているのに、実際に架設された電線は100mm2 裸電線で、これを設計どおり完成したものとして検収しているのは当を得ない。