(一般会計) (組織)防衛本庁 (項)防衛本庁
防衛庁における物資、器材の調達は年々増加しているので、調達要求にあたり、業務運営に支障のない限り再使用可能なものについてこれが活用をはかる配意が必要と認められるが、これに対する関心が十分でないため不経済な結果をきたしている事例が次のとおりある。
(5) 防衛庁調達実施本部で、陸上幕僚監部の要求により、昭和36年3月、随意契約により大阪金属工業株式会社に3.5インチロケット演習弾15,000発の製造を総額106,500,000円で請け負わせているが、このうち本件演習弾収納用木箱5,000箱4,255,782円(一般管理費、利益相当分を含む。)については、従来収納されていた木箱の使用を考慮すれば調達の要がなかったもので、約340万円が不経済となっている。
本件木箱は、陸上自衛隊で、同自衛隊武器補給処吉井弾薬支処において保管中の3.5インチロケット演習弾15,000発を改造することとし、その噴進筒部だけを新規に製造して、弾頭は従来のものを取りはずし官給のうえこれと結合して完成弾とし、これを収納するため新たに調達したものであるが、他方、上記吉井弾薬支処における改造前演習弾の収納されていた木箱の処理状況をみると、発生した5,074箱のうち、2,500箱は同弾薬支処において取りはずした噴進筒部を入れて使用し、2,574箱は前記会社への官給弾頭の輸送に使用したのち同会社から同自衛隊関西地区補給処三軒屋弾薬支処に返送させていて、改造弾収納用としては全く使用していない状況である。
しかして、本件完成弾収納用木箱5,000箱の製作費を工作ロス等を見込んで総額4,255,782円と算定し、また、別途官給品輸送用木箱の上記三軒屋弾薬支処への返送に要する輸送費125,842円を本件契約額に計上しているが、改造前の演習弾を収納していた木箱は、材質も良くきわめて良好な状態で保管されていて、多少の経費を見込めば完成弾収納用としてそのまま再使用することができるものであり、また、取りはずした噴進筒部は不用品として処理されるもので、その容器としては数多く発生している他の弾薬の空箱を利用すれば足りたものと認められるから、新規にこれを調達する要はなく、返送に要する輸送費も計上する要がなかったものと認められる。
いま、仮に従来の木箱を再使用したとすれば、外部を塗装するための経費等約97万円と官給品輸送用木箱の返納経費とを考慮して計算しても約340万円を節減することができたものと認められる。
(6) 防衛庁調達実施本部で、陸上幕僚監部の要求により、昭和36年8月および37年1月、一般競争後の随意契約により高島株式会社および丸紅飯田株式会社東京支社にほろ4,066枚の製造を総額13,363,378円で請け負わせているが、トラック1/4トンジープ用ドア・アッシーのフレームを回収利用しなかったため約140万円が不経済となっている。
本件契約のうち、上記トラック1/4トンジープ用ドア・アッシー2,093枚価額8,019,000円についてみると、ドア・アッシーはフレームとカーテンからなり、カーテンは老化または破損により交換の必要を生ずるものであるが、フレームはほとんど損耗することがなく再使用することが可能なもので、また、カーテンは容易にフレームに取付け、取りはずしすることができ、陸上自衛隊では、この種物品は耐用年数を経過していてもその材質が良好であるときは修理して再使用すべきものとしていて、すでに29年度(初度調達年度)から35年度までに4,188枚のドア・アッシーを交換用として調達補給しているのであるから、交換により発生したフレームの回収をはかり再使用を考慮したとすれば、本件調達分2,093枚のドア・アッシーのフレームは購入の要がなく、カーテンの購入だけで足りたものと認められる。しかして、37年2月会計実地検査当時、交換により発生したフレームについて調査したところ、大部分のものはその所在場所、数量等が不明であり、本院の指摘により当局において回収を開始するとともに調査を実施した結果、同年8月末において、36年度の調達補給により発生したものを含め、売却したもの2,410枚、回収のうえ在庫となっているもの1,695枚、現況不明のもの2,176枚と判明した状況である。
いま、仮に本件調達にあたりドア・アッシー2,093枚についてはドア・カーテン(ハンドルおよびプレートを含む。)だけを調達したとすれば、これに要する経費は各地区補給処におけるドア・カーテンの取付けおよび修理に要する材料費等を考慮しても総額約650万円で足り、約140万円を節減することができたものと認められる。