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  • 昭和36年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第6節 各所管別の事項|
  • 第4 厚生省|
  • 不当事項|
  • 補助金

国庫補助金の経理当を得ないもの


(170)−(184) 国庫補助金の経理当を得ないもの

(一般会計) (組織)厚生本省
(項)保健衛生諸費 (項)保健所費 (項)伝染病予防費補助 (項)簡易水道等施設費 (項)環境衛生対策費 (項)離島振興事業費 (項)環境衛生施設災害復旧費

1 保健所、伝染病等予防事業に対する国庫補助金の経理当を得ないもの

(170)−(178)  公衆衛生関係国庫補助金の経理の実態に関し、昭和37年中、保健所法(昭和22年法律第101号)、伝染病予防法(明治30年法律第36号)に基づく事業を中心として、北海道ほか27都府県についてその精算状況を検査したところ、国庫補助基本額のうちに厚生省で定めた補助金の交付基準で認めていない経費を含めていたなどのため補助金が過大に交付されていて返納を要するものが秋田県ほか11府県(注) において12事項2,756,553円あり、そのうち1事項20万円以上のものをあげると次表のとおり9件2,360,262円である。 

(注)  次表に掲記した県のほか群馬県、京都府、宮崎県

(1) 保健所費補助金

県名 補助団体 事業
年度
国庫補助基本額 国庫補助金交付済額 国庫補助基本額から控除すべき額 国庫補助金交付済額中返納を要する額 摘要
(170) 秋田県 秋田県 35 86,473,290 28,818,473 1,020,360 334,163 補助対象外の薬事監視員、と畜検査員の人件費、旅費を含めていたもの
(171) 長野〃 長野〃 126,750,390 42,305,680 771,750 257,250 補助対象外の薬事監視員の人件費、旅費を含めていたもの
(172) 三重〃 三重〃 100,781,590 33,593,863 606,000 202,000 補助対象外の薬事監視員の人件費、旅費等を含めていたもの
314,005,270 104,718,016 2,398,110 793,413

(2) 法定伝染病予防費補助金

県名 補助団体 事業
年度
国庫補助基本額 国庫補助金交付済額 国庫補助基本額から控除すべき額 国庫補助金交付済額中返納を要する額 摘要
(173) 大分県 大分県 35 12,166,707 6,083,353 474,660 237,330 防疫用備品費、事務費を過大に計上していたもの

(3) 防疫業務委託費

県名 補助団体 事業
年度
国庫負担基本額 国庫負担金交付済額 国庫負担基本額から控除すべき額 国庫負担金交付済額中返納を要する額 摘要
(174) 埼玉県 埼玉県 35 2,787,392 2,860,893 268,024 268,024 防疫業務に従事していない職員の人件費、旅費等を含めていたもの
(175) 新潟〃 新潟〃 4,557,584 4,619,556 264,696 264,696
(176) 岐阜〃 岐阜〃 2,354,295 2,354,295 266,524 266,524
(177) 山口〃 山口〃 4,454,168 4,470,000 265,183 265,183
(178) 鹿児島〃 鹿児島〃 3,832,222 3,830,859 266,455 265,092
17,985,661 18,135,603 1,330,882 1,329,519

2 簡易水道等施設費補助金等の経理当を得ないもの

(179)−(184)  昭和35、36両年度において市町村が事業主体となって施行した簡易水道施設およびし尿処理施設に対する国庫補助金の経理に関し、北海道ほか27都府県の工事現場1,105箇所のうち491箇所について検査したところ、設計に対し工事の出来高が不足しているもの、実績報告書の精算額より低額で施行しているもの、または補助の対象とならないものに補助金を交付しているものなどがあり、国庫補助金を除外すべきことの判明したもので、除外すべき額1工事10万円以上のものが埼玉ほか8県(注) において12工事8,670,810円となっており、このうち国庫補助金を除外すべき額1工事20万円以上のものをあげると次表のとおり6件7,906,858円である。

(注)  次表に掲記した県のほか岐阜、三重、長崎各県

県名
 工事名

事業主体

事業
年度

工事費

左に対する国庫補助金

工事費から除外すべき額

左に対する国庫補助金
(179) 埼玉県
 北葛飾郡庄和村簡易水道新設事業 庄和村 34
35
24,280,000 6,070,000 24,280,000 6,070,000
計画給水人口5,000人として国庫補助を受け事業を施行したものであるが、実際は申請の当初から約6,900人に給水することとしていたものであり、このように給水人口が5,000人をこえるものは水道法(昭和32年法律第177号)に定める簡易水道事業とは認められない。
(180) 千葉県
君津郡袖ケ浦町長浦地区簡易水道新設事業 袖ケ浦町 35 12,000,000 3,000,000 1,730,000 432,500
配水池等のコンクリートは配合比1:2:4で施行したこととしているが、実際は配合の悪いもので施行したばかりでなくつき固めも不十分であったなどのため、すでに側壁部から漏水している状況である。
(181) 新潟県
新潟市し尿処理場新設事業 新潟市 36 42,131,000 10,532,750 1,415,432 353,858
工事費の算出にあたり、諸経費として年次計画による36年度分600,425円、追加工事分3,643,449円計4,243,874円を計上しているが、諸経費算定の基準となる請負直接費の算定が適切を欠いたため1,415,432円相当額が過大に積算されている。
(182) 山梨県
北巨摩郡大泉村簡易水道新設事業 大泉村 35 25,000,000 6,250,000 842,000 210,000
道路復旧工延長3,325メートルは敷砂利総量598立米を施行したこととしているが、実際はうち963メートル分173立米は全く施行しておらず、また、2,362メートル分425立米はうち236立米を施行したにすぎないなどのため、工事費842,000円相当額が出来高不足となっている。
(183) 長野県
上水内郡牟礼村広域簡易水道新設事業 牟礼村 35 20,000,000 5,000,000 2,189,402 547,350
配水管布設延長11,471メートル等を工事費20,000,000円で施行したこととして精算しているが、実際は18,813,000円で施行しており、また、精算額のうち1,002,402円は本件工事着手以前に実施済みの配水管延長927メートル等の工事費を含めていたものである。
(184) 滋賀県
甲賀郡甲西町下田地区簡易水道新設事業 甲西町 35 9,160,000 2,290,000 1,172,600 293,150
補助の対象とならない試掘井に要した工事費609,600円を補助対象事業費に算入しており、また、配水池のコンクリートは配合比1:2:4で施行したこととしているが、実際は配合の悪いもので施行したばかりでなくつき固めも不十分であったため、すでに側壁部から漏水している状況である。