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  • 昭和36年度|
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農業共済保険事業の運営が適切でないもの


(201)−(217) 農業共済保険事業の運営が適切でないもの

(農業共済再保険特別会計)

 農業共済保険事業の運営が適切を欠いている事例については、毎年度の検査報告に掲記してその適正をはかるよう注意してきたところである。昭和37年においては、主要農作物共済に関し北海道ほか9府県の70農業共済組合および4町村(共済金360,881,281円)について調査を行なったところ、共済金の全部または一部を支払わず、これをそのまま掛金、賦課金、組合諸経費に充当したり、共済金を補償対象外の組合員を含め共済面積割等で配分したりしているなど、共済金の経理当を得ないと認められるものが29組合において85,983,904円(国庫負担推定額3456万余円)あり、これを不当の態様別に示すと次表のとおりである。

府県名 調査済共済組合等数 調査済共済金額 共済金を組合員に全く支払わないもの 共済金の一部を組合員に支払わないもの 共済金を補償対象外の被害3割未満のものを含めて配分しているもの
組合数 共済金額 組合数 共済金額 組合数 共済金額 組合数 共済金額

栃木県

5

15,627,232

-

-

-

-

1

1,622,635

1

1,622,635
富山〃 7 39,942,195 1 782,600 2 18,671,660 1 2,823,150 4 22,277,410
大阪府 14 30,967,223 2 2,352,508 9 13,019,043 2 9,527,471 13 24,899,022
徳島県 6 84,096,140 - - 1 9,190,290 1 6,234,815 2 15,425,105
高知〃 10 44,428,900 - - 4 12,104,830 - - 4 12,104,830
福岡〃 6 15,611,496 1 1,541,855 2 5,389,723 1 2,119,080 4 9,050,658
大分〃 6 21,153,222 - - 1 604,244 - - 1 604,244
54 251,826,408 4 4,676,963 19 58,979,790 6 22,327,151 29 85,983,904

備考 ( )内の数字(ア)は正規の基準によらないで交付した共済金額、(イ)は目的外に使用した共済金額をうち書きしたものである。

 これら不当に経理された共済金のうち、正規の基準によらないで組合員に交付したものが55,054,522円、補償対象外の組合員を含めて未収の掛金、賦課金等に充てているものが1,346,928円あり、また、残額29,582,454円はうち26,022,897円を目的外に使用し,3,559,557円を長期間未払いのままとしている。しかして、これら組合のうちには、共済金の全部または大部分をそのまま掛金、賦課金に充当し、組合員からは掛金、賦課金を全く徴収していないものも見受けられた。
 なお、掛金の徴収については、一般的に組合の定款等に定める納期日が遵守されておらず、共済責任期間終了後なお掛金の一部を未納のままとしている組合等がほとんどで、共済金の支払いにあたり、未収の掛金等を共済金から差し引いて徴収しているものが上記のほか北海道ほか7県の22農業共済組合で25,830,215円ある。
 いま、検査の結果判明した不当経理のうち、共済金を目的外に使用したものが1組合当り20万円以上のものをあげると次表のとおり17件25,727,665円ある。

農業共済保険事業の運営が適切でないものの図1
備考 (ア)共済目的欄中、35、36はそれぞれ35年産、36年産を略したものである。
(イ)※印を付した欄の( )内の金額は共済金に合わせて支払った他の金額を外書きしたものである。