地方公共団体が施行した公共土木施設の建設、改良および災害復旧等の工事に対する国庫負担金または国庫補助金(以下「国庫負担金」という。)は、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法等の根拠法規に基づいて交付されるものである。昭和37年中、その経理および工事施行の状況について全国の工事現場74,673箇所のうち北海道ほか34都府県につきその9.0%に相当する6,743箇所(事業費56,271,190,367円、国庫負担金37,103,348,538円)を実地に検査したが、これを会計別にみると、一般会計においては災害復旧事業を主として3,761箇所、道路整備特別会計においては道路の改良事業等1,920箇所、また、治水特別会計においては砂防事業、中小河川改修事業等1,062箇所となっている。検査の結果は工事の施行が不良なため工事の効果を著しく減殺しているものまたは設計に対して工事の出来高が不足しているものがあり、国庫負担金を除外すべきことの判明したもので除外すべき額1工事10万円以上のものが北海道ほか31府県において145工事139,518,576円となっていて、前年度に比べて74工事112,284,204円増加しており、このうち国庫負担金を除外すべき額1工事20万円以上のものをあげると別表第3のとおり123件136,439,784円ある。
この種不当な事例が多数に上っているのは、主として、近時建設工事量が逐年増加し、ために建設業者のうちに十分な受注能力のないものが見受けられる状況となっているのに、事業主体において、工事の発注にあたって業者の資力、受注工事量等を十分に調査、検討しないで契約したり、工事が年度末に集中して年度内完成を急ぐあまり適正な工事施行が困難となったり、工事の施行にあたって実地の監督、検査を十分行なっていなかったりしていることによるものと認められ、とくに山間へき地に施行する砂防工事において監督、検査が十分でなかったため生じた不当な事例が多い状況である。
また、主務省における補助事業の実績確認の処置とくに公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法に基づく成功認定もはなはだしく遅延し、いきおい補助工事における不当な事例の早期発見が困難となっている状況で、補助事業の実績確認の処置を促進する要があると認められる。
さらに、工事の着手が遅延しまたは工事が予定どおり進ちょくせず、年度内に工事が完成しないのに繰越しの手続きをとることなく年度内に完成したものとして処理しているなど事実と相違する経理を行なっている事例が少なくない。