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  • 昭和36年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第7節 会計事務職員に対する検定

出納職員に対する検定


第1 出納職員に対する検定

 昭和36年12月から37年11月までの間に、出納職員が現金を亡失した事実について所管庁から報告を受理し処理を要するものは繰越分を含め220件83,857,558円、その処理をしたものは189件72,025,400円で、その所管別内訳は次表のとおりである。
 なお、処理未済件数は31件11,832,158円である。

出納職員に対する検定の図1

 報告を受理し処理をしたもの189件72,025,400円は、出納職員に弁償責任があると検定したもの11件8,500,553円、出納職員に弁償責任がないと検定したもの17件9,485,018円で、その他の161件54,039,829円は、出納職員が現金を亡失したことによって生じた損害の全額が弁償済みとなったなどのため別途処理したものである。
 しかして、弁償責任があると検定した11件の内訳を所管別にみると、大蔵省1件1,158,308円、郵政省8件5,615,076円、建設省2件1,727,169円であり、これを態様別にみると、出納職員の不正行為によるもの6件6,664,384円、出納職員が善良な管理者の注意を怠ったことによるもの5件1,836,169円である。いま、1事項100万円以上のものについて、その概要を述べると次のとおりである。

(1) 関東信越国税局管内伊勢崎税務署分任国税収納官吏大蔵事務官石島某が、総務課管理係に勤務中、31年2月15日から34年10月30日までの間に納税者から領収した源泉所得税等1,158,308円を国庫に払い込まないで領得した事実について、本件は出納官吏が自己の取扱いにかかる現金を領得したものであるから、37年6月、石島出納官吏に対し弁償責任があると検定した。

(2) 東京郵政局管内電通ビル内郵便局分任繰替払等出納官吏土橋某が、特定郵便局長として勤務中、36年9月27日銀行預金から5,000,000円を引き出し、自己の借財の返済等に充てたうえ、残余をかい帯逃亡した事実について、本件は出納官吏が自己の取扱いにかかる現金を領得したものであるから、37年6月、土橋出納官吏に対し弁償責任があると検定した。

(3) 中部地方建設局豊橋工事事務所資金前渡官吏建設事務官粕谷某が、同工事事務所庶務課長として勤務中、36年4月22日から11月6日までの間にその補助者会計係長熊谷某に資金前渡官吏の職印を使用され、前後20余回にわたり不正小切手により預託金を引き出され前渡資金1,357,043円を亡失した事実について、本件は粕谷出納官吏が平素印箱に施錠しないで事務机の上に置いたまま離席するなど職印の取扱いが厳正を欠き、出納官吏として善良な管理者の注意を怠ったものと認められたので、37年8月、同出納官吏に対し弁償責任があると検定した。