昭和36年度における損益は、営業損益において利益465億8610万余円、営業外損益において損失1億5913万余円であって、差引き464億2697万余円の純利益となり、これを前年度の営業利益81億6946万余円、営業外損失27億0121万余円、差引き純利益54億6824万余円に比べると、営業利益において384億1664万余円の増加、営業外損失において25億4208万余円の減少で、純利益においては409億5872万余円の増加となっている。
営業利益が増加したのは、36年度当初から平均12%の運賃値上げを行なったほか、輸送量において旅客6.3%、貨物7.2%が増加したことなどにより営業収入は5053億9041万余円となって979億2182万余円24%が増加したのに対し、一方、営業経費は4588億0430万余円となり、595億0518万余円14.9%の増加にとどまったことによるものである。経費増加のおもなものは減価償却費248億2191万余円、人件費208億4520万余円である。
昭和36年度の修繕費および工事経費の決算額は、修繕費659億1092万余円、工事経費2070億9257万余円である。
工事経費についてみると、国鉄新5箇年計画の初年度として工事勘定支出予算を前年度より672億7002万余円増加し、1924億7002万余円の設備投資を行なうこととしたほか、輸送量が予定を上回り運輸収入が予算に比べて増加したことなどにより145億4891万余円を工事勘定の支出に充てたことなどのため、その決算額は前年度の1164億0570万余円に比べて906億8686万余円の増加となっており、支出予算現額2412億0041万余円に対して336億1795万余円を翌年度に繰り越し、4億8989万余円を不用額としている。
また、上記工事経費の決算額のうち東海道幹線増設費は523億6435万余円となっているが、このうち85億3481万余円は国際復興開発銀行からの外貨借入金を充当したものである。
なお、新線建設に要した資金については日本国有鉄道新線建設補助特別措置法(昭和36年法律第117号)に基づいて国がその利子を補助することとなり、36年度においては3億0875万円の交付を受けた。
検査の結果についてみると、予定価格の積算にあたり他局の事例、現地の実情等についての調査検討が十分でなかったため材料加工費および機械損料を過大に見込むなど積算が適切を欠いている事例が見受けられるから、その適正を期するよう一層の留意が望ましい。
昭和36年度における貯蔵品の購入額は1545億5216万余円で、前年度の1164億1486万余円に比べて381億3730万余円、年度末貯蔵品残高は241億2202万余円で、前年度末の200億7343万余円に比べて40億4858万余円それぞれ増加しており、その回転率を石炭および車両を除いた一般貯蔵品についてみると4.18となっていて、前年度の4.16に比べてわずかに向上を示している。