(工事勘定) (項)諸設備費
(損益勘定) (項)修繕費
日本国有鉄道新潟支社で、昭和36年8月から11月までの間に、公開競争契約により日本電設工業株式会社ほか2会社に新津、荻川間ほか1区間ケーブル張替その他工事ほか3件工事をケーブル等(価額計24,979,317円)を支給のうえ総額24,574,367円(当初契約額24,420,000円)で請け負わせ施行しているが、直流電化区間に交流電化区間用の通信ケーブルを施設したため、約280万円が不経済となっていると認められる。
本件工事は、新津、新潟間(荻川、亀田間を除く。)の通信設備を改良するため既設の架空通信線路を撤去し新たに地下埋設の市外ケーブルを施設するなどの工事であるが、本件市外ケーブルは0.9ミリメートル100対発泡ポリエチレン絶縁ポリエチレンシース市外星搬送複合ケーブルA形(以下「A形ケーブル」という。)を使用することとして、その所要量10,990メートルのうち請負人持ちとしたものを除き10,780メートルについて36年1月から9月までの間に日本国有鉄道資材局に準備要求を行ない、これに基づいて同局がメートル当り1,956円または1,983円(価額計21,160,740円)で購入したものを請負人に支給して工事を施行したものである。
しかしながら、日本国有鉄道制定の物品規格仕様書によれば、発泡ポリエチレン絶縁ポリエチレンシース市外星搬送複合ケーブルは、誘導防止のため特殊規格となっている交流電化区間用のA形とその他一般用のB形(以下「B形ケーブル」という。)とに区分され、その価格はB形ケーブルがA形ケーブルより低価となっていて、従来から直流電化に決定した区間にはすべてB形ケーブルを施設していたものであり、一方、日本国有鉄道では、本件ケーブルの準備要求を行なう以前の35年11月に、本件工事区間を含め長岡、新潟間は直流電化を行なうことと決定し同支社に指示していたのであるから、本件工事の施行にあたっては低価なB形ケーブルを使用すべきであったと認められるのに、高価なA形ケーブルを使用したのは処置当を得ない。現に、東京電気工事局で36年10月から37年3月までの間に施行した本件工事区間に接続する長岡、新津間の工事ではすべてB形ケーブルを施設している状況である。
しかして、B形ケーブルのメートル当り価格は資材局の調査によれば1,701円または1,724円で、本件A形ケーブルのメートル当り価格に比べて255円または259円低価となっているから、いま、仮に本件工事にB形ケーブルを使用したとすれば、10,990メートルのケーブル価額は計18,780,862円で足り、本件工事に使用したケーブル価額計21,613,647円との差額約280万円はこれを節減することができたものと認められる。