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  • 昭和37年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第6節 各所管別の事項|
  • 第1 総理府|
  • (防衛庁)|
  • 不当事項|
  • 物件

木船用塗料の購入にあたり従来の消費実績を考慮しなかったため不経済となっているもの


(2) 木船用塗料の購入にあたり従来の消費実績を考慮しなかったため不経済となっているもの

(一般会計) (組織)防衛本庁 (項)防衛本庁

 防衛庁調達実施本部で、海上幕僚監部の要求により、昭和37年7月、指名競争後の随意契約により藤倉化成株式会社からエナメルフタル酸樹脂灰色(木部下塗用)9,900リットルを2,494,800円で購入しているが、在庫状況、従来の消費実績等からみて購入の必要はなかったものと認められる。
 本件塗料は、木船の維持保存のため塗別線以上の外げん等の木部に下塗りするため使用するもので、購入量は海上幕僚監部で37年度から試行することとした消費基準量改正案による所要量に実績使用量を考慮して決定したとしているが、実際の調達要求は、海上自衛隊横須賀補給所納めとした7,560リットルについては消費基準量改正案により、同自衛隊佐世保ほか2補給所納めとした2,340リットルについては35年度に定めた消費基準量によって所要量を算定したものである。

 しかしながら、同自衛隊横須賀地方総監部における受払状況をみると、

36年度 繰越受け  260リットル 調達量 2,700リットル 消費量 648リットル
37年度 繰越受け 2,312リットル 調達量 7,560リットル 消費量 514リットル

で、38年度への繰越しは9,358リットルとなっており、消費実績の多い36年度に比べても14.4年分の在庫となり、また、全総監部の受払状況をみても、

36年度 繰越受け 1,210リットル 調達量 6,750リットル 消費量 1,309リットル
37年度 繰越受け 6,651リットル 調達量 9,900リットル 消費量 2,093リットル

で、38年度への繰越しは14,458リットルとなっており、37年度消費量に比べて6.9年分の在庫となる状況である。

 しかして、35年度に定めた基準量は35年度当初まで使用していた油性塗料の資料を勘案して作成したものであり、改正案は年1回の外部甲板、船内各部等までも含めた塗装を行なうための所要量にその10%を補修用として加算のうえ算定したものであるというが、上記消費基準量および同改正案による下塗り塗装の実施は在来塗膜の除去が困難であることなどのため実際には施行されておらず、これが今までの消費実績として現われているものと認められ、とくに本件塗料のようにその特性上長期間保存すれば性能の劣化をきたすものの購入にあたっては消費の実績を考慮すべきであるのに、このような実情を考慮しないで漫然と従来の基準およびそれ以上過大な量を定めた改正案により購入したのはその処置当を得ない。