(道路整備特別会計) (項)道路事業費
(治水特別会計) (治水勘定) (項)河川事業費
東北、北陸両地方建設局で、工事の施行にあたり、監督および検収が当を得なかったため施行が設計と相違していて設計に比べて工事の効果が低下しているものが次のとおりある。
(573)
東北地方建設局で、昭和37年7月、指名競争契約により株式会社熊谷組に149,940,000円で請け負わせ施行した1級国道4号線金成道路改良第2工事は、38年3月、設計どおりしゅん功したものとして検収を了しているが、こ道橋の袖練石積擁壁を設計と相違して施行したため、その強度が設計に比べて著しく低下していると認められ、また、路側練石積擁壁等の出来高において工事費134,000円相当額が不足している。
本件工事は、延長5,129メートルの道路を改修するもので、うち2号、3号両こ道橋の袖練石積擁壁計153平米(工事費1,166,000円)は、設計書および図面によると、長さ6メートルの基礎ぐい20本または16本を打ち込み、基礎コンクリートは厚さ40センチメートルで総量12立米、また、胴込コンクリートは1立米にセメント225キログラム配合で平米当り0.23立米総量35立米を施行することとなっているのに、実際は基礎ぐいが設計位置を著しくそれて打ち込まれているものが少なくないばかりでなく、基礎コンクリートの厚さは15センチメートルから24センチメートル程度施行したにすぎず、胴込コンクリートは養生が十分でなかったなどのため著しく粗悪なものとなっており、擁壁はすでに不等沈下またはき裂を生じている状況で、設計に比べて擁壁の強度が著しく低下しているものと認められる。
また、路側練石積擁壁251平米の基礎コンクリートについて厚さ45センチメートルで総量24立米を施行することとなっているのに、実際は25センチメートルで総量14立米を施行したにすぎないなどのため、工事費134,000円相当額が出来高不足となっている。
本件に対しては、請負人の負担において2号、3号両こ道橋の袖練石積擁壁を工事費70万円で再施行し、また、路側練石積擁壁の基礎コンクリート等の出来高不足工事費相当額134,190円を返還させた旨の報告があった。
(574)
北陸地方建設局で、昭和37年8月、指名競争契約により株式会社山崎組に14,600,000円で請け負わせ施行した川口第三築堤護岸工事は、37年12月、設計どおりしゅん功したものとして検収を了しているが、コンクリート護岸を設計と相違して施行したため、その強度が設計に比べて著しく低下していると認められる。
本件工事は、信濃川支川魚野川延長450メートルを改修するもので、法覆格子わく張りコンクリート3,600平米は、設計書および図面によると、1立米にセメント220キログラム配合のコンクリートで、格子わくは幅30センチメートル厚さ41センチメートル、張りコンクリートは厚さ12センチメートルで総量716立米を施行することとなっているのに、実際はうち1,225平米(工事費2,200,000円)については、張りコンクリートは粗骨材とモルタルが分離した粗悪なコンクリートで厚さ5センチメートルから10センチメートル程度施行したにすぎず、また、格子わくは築堤盛土のつき固めが不十分なままコンクリートを打設したためくい違いやき裂が生じている状況で、設計に比べて護岸の強度が著しく低下しているものと認められる。
本件に対しては、請負人の負担において法覆格子わく張りコンクリートの張りコンクリートを工事費62万余円で打ち替えた旨の報告があった。
(575)
北陸地方建設局で、昭和37年5月、指名競争後の随意契約により株式会社加賀田組に12,500,000円で請け負わせ施行した阿賀野川灰塚護岸工事は、37年9月、設計どおりしゅん功したものとして検収を了しているが、練石張護岸の胴込コンクリートを設計と相違して施行したため、その強度が設計に比べて著しく低下していると認められる。
本件工事は、護岸延長300メートルを改修するもので、練石張護岸1,200平米の胴込コンクリート180立米(工事費986,000円)は、設計書および仕様書によると1立米にセメント270キログラム配合のコンクリートで平米当り0.15立米を施行することとなっているのに、実際はその数量が不足しているばかりでなく、つき固めも不十分な粗悪なもので施行しているため、設計に比べて胴込コンクリートの強度が著しく低下しているものと認められる。
本件に対しては、請負人の負担において練石張護岸を工事費47万円でモルタル注入により補強した旨の報告があった。